銀の鎧細工通信
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2005年07月04日(月) それはナシでしょ。 (銀土)

こいつはもしかしたらさ、
もしかしなくてもさ、
そうするよな、


俺みたいになったら、


死ぬよな。





行く先々で顔を合わしては莫迦の様に喧嘩をする。
いい歳した大人が何をしているのか、と周囲の呆れ顔も、自分の中で
「何でわざわざこんな事をしているんだ、暇にしても程がある、物好きにしても酔狂に過ぎる」、そんな考えもぎゃあぎゃあと騒ぎあって意地を張っているうちにどうでも良くなってしまうのだ。

銀時と土方は発想こそ似通っているものの、性格は大分違う。
こんな事も有るのだな、と不思議な気になるのは、風呂屋から上がって珈琲牛乳を互いに飲んでいる時に目があった瞬間。(珈琲牛乳に関しても、「真似するな」「てめーこそ」の応酬があり、番台の婆さんに鋭く風呂桶をフリスビー投げされて黙らされた)

「んだよ」
土方がむっつりと問う。

「俺と土方くん、性格は違げーのになァ」
素直な感情を口にすると、決まって「知るかよ、そんな事」とそっぽを向いて話をそらす。
どこまでも頑な。
それはどちらも似たようなものだ。
感情を押し殺して生きている土方と、感情を押し隠して生きている銀時。
表に出している態度こそ違えども、通じる部分が確かにある。

けれど、銀時はもう仲間を置いて去った事がある。
それ以前に仲間があまりにも死にすぎた事がある。
それが、失くしたのか、捨てたのか、諦めたのか、は解らない。
結局、荷物を手放して生きていく事を選択した、生き続けていく事しか思い浮かばなかった。義に殉じて後を追うだとか、復讐の弔い合戦を続けていく事は考えなかった。
終わってしまったのだ、という実感はひたすらに抉り込まれる様に深くて、ひどくがらんどうだった。


過去に縛られて振り回されて生きるのはやめようとだけ思った。
終わってしまった事なのだから、忘れはしなくても不毛で無残な引き摺り方だけはしたくなかった。
だから話さない、昔の事は。
敢えて話したりしない。
誰も知らなくていい。
身勝手だと散々罵られもしたが、話すような事だとは今も思わない。
にぎやかな最近の身辺に、ようやく押し隠して日々を過ごす事に満更でもないと思えてきている。


「人の顔見ながら呆けるな、気持ちわりーな」
手の甲で唇を拭いながら不機嫌を丸出しに睨みつけてくる、我に帰る。


(でも、こいつは失くした事がないんだよなあ・・・)


残り少ない珈琲牛乳を飲み干して(少しぬるくなってしまった其れ)、ケースに返す。
土方の横のロッカーで互いに着替え始める。
改めてみると大小の傷が無数にある。
以前ホテルの暗闇の中で「お前の体って傷だらけなんだな」と云った土方自身の体にも。傷は。

二の腕の刀傷に指を当てる、他に客は居ないが居たとしたらきっとぎょっとして見ない振りをしただろう。そんな事は構わない。
そうした事を「立場ってモンがあんだよ、俺には」と云って激昂する土方も今はさせるがままにしている。
たかが隊服を脱いだだけで気にならなくなるのなら、どんなに重いのだろう、あの黒い隊服は。

「大体1年くらい前のモンだよ」

訊かずに応えた。
「ふうん・・・でも俺知らないや、この傷が出来た時の土方くん」

「そりゃ、そん時はこんな腐れ縁になってねェ頃だからな」
いたって普通に云うが、
(腐れ縁って、体の関係も含めて云ってんのかな、この人)
銀時はこういう土方の不用意さが時々怖い。

「無用心だな〜」

思ったままを口に出す。
でもいつも含みを持たせたものの云い方をする、これが癖になった。

「何だと、上等だコラ」
(やっぱりね)
思ったとおりの土方の反応にますます銀時は危惧を深めた。

「用心が足りないって事」
服をほぼ着終え、チャックを引き上げる。
剣呑な態度に乗ってこない銀時に、頭をめぐらせる。
「万事屋?」

「なに」


「今の、どういう意味で云った?」
眉を顰めて訊く、

ふ、と笑う。


「俺とアンタ、発想は似てるけど」



「似たような事が起った時に、同じ様にするかは解らねェ、って意味」

言葉を耳から飲み込んで頭で消化する。
暗い表情で
「・・・俺は侍だからな」
ぼそりと云った。

「俺だって侍だよ、俺なりにな」


立場が違う、経験が違う、人間が違う、
でも遭ってしまった似たような発想の持ち主。
でも遭ってしまった似たような境遇の持ち主。
でも、まだ生きている人間。


「ホントはそんな用心、しなくてもいいに越したこたァねーが、」

「しねえよ、いや、し過ぎるほどしてるつもりだ」
銀時の説教じみた言葉を遮って強く云い放つ。

「それでも、どうなるかなんて、解らねえだろうが」
弱さが揺らぐ、不安なのは持っているからこそ、だ。

(いじめてるみたいな気持ちになってきちゃったなー)


くるりと背中を向けて頭をガシガシかきながら、
「ま、云う通り解らねーよ」

猫背で振り向きながら口を開いた。
「でも、それはナシでしょ」

また背中を向けて息をすう、今から云う事は無駄だし卑怯だから。
「あのゴリラ、絶対に望まねーだろうな」


死んで花実が咲くものか


侍ならば義に殉じてナンボ?


生きてたって咲かない花実もあるけれど


(ごめんね、土方くん。俺、アンタの自己満足で後追いとかされるの見たくねーんだわ。俺の我儘なんだわ)

まだ見ぬ、しかし可能性としてはいつでも起こり得る事態に土方は考えを光速回転させ始めてしまったようだ。

振り返って腕を掴むと
「喉渇かねえ?呑みにいこうぜ、オフなんだろ」

そう云って二の腕をぽんと叩いた。

目だけで「ん?」と促すと、
不敵に笑って「上等だ」と応える。


(随分懐いちゃって、まーあ)
呆れながらも、うれしい。
だからこそ、
それはナシだと改めて思う。



結局は最後に、土方がどうしたって。







END


本誌で銀さんが土方を名前で呼んでいたのに動揺しました。
なので変換が出にくい(笑)「多串くん」(私のパソコンは「おおぐしくん」と変換すると「大串くん」しか出ませんし)改め「土方くん」呼ばわりにしました。使い分けでどっちもオーケイなのね!やった!

下の名前にもびっくらこきましたが。
最初は「じゅうしろう・・・?」と読んで思わず浮竹体調の顔が浮かび、ルビを見て「とうしろう」なんだと解ったら日番谷の顔が浮かびました。
とうしろーでトシ・・・?ええ・・・・・・?いいけどさ。笑。

次は沖土の予定です。
でもDグレで遂にエリアーデ編が完結したことですし、エリクロエリも書きたい。てっか、プロフィールにエリアーデが何故居ないのだ!!
ティキが好きなのは解るさ作者さんよ!しかしエリアーデにも思い入れはあったように感じていたのでいたく残念でした。
彼女の皮、と彼女の関係が知りたかった・・・。
それを捏造してレズビアン二次創作小説が書きたかったのに・・・。

女(の子)同士の話が書きにくいジャンルばかりでややいじけています。笑。陸奥と絡めずに・・・いやそれでも女女カップリは難しいな、銀魂・・・ううむ。
NARUTO時代はサクいのサクですとかね、色々楽しかったですが。
あ、今も我愛羅テマリは好きです。


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