銀の鎧細工通信
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2005年03月21日(月) 薔薇の葬列 (Dグレ、エリクロエリ)


きっと、初めのうちには覚えていたの。
私が「誰」で、この皮が「誰」だったのか。
この皮の持ち主だった女は、私のことを想い過ぎて、
死んだ私を想って想って、呼び戻してしまった。
そうして私はこの女を殺してその皮に入り込み、アクマになった。

何で私を呼び戻したの、アクマになんかにしたの。
ひどいじゃない。



どうして強く、精一杯生き続けてくれなかったの。
私が死んでも。
居なくなっても、ねえ。
ひどいじゃない、あんまりよ、私に殺させるなんて、ねえ。






気が付いたらそんな悲しみも自分の出生も忘れて、ただ殺してた。
だって私はアクマだもの。単純に空腹に従ったわ。
「罪に苦悩し
己の姿に絶望し
現実を憎悪する」
この苛立ちで私は進化する兵器。
その苛立ちの為にお腹を空かせては人を殺して育つメカ。

進化すればするほどに呪いは忘れた、
そんなものよりも綺麗な洋服や最新の化粧品に
興味が湧いたわ。
自分が誰なのかも、皮が誰だったのかも忘れてしまったから、
罪悪感に苦悩する事もなくなったわ。
自分の姿は進化と共に幾らでも変えられた、
乱れたセットは直せばいいし、
崩れたメイクはしなおせばいい。


だから羨ましかった、どうしても得られないものが。

だから嬉しかった、伯爵の命令とはいえ、行った先で
アレイスターと出逢えた事。

自分の進化をはじめて喜べた、進化の先に芽生えた
自分の自我を祝福できた。
お洒落やショッピングでは満たされない空腹感が満たされる喜び。

彼を騙して、共に暮らす事が出来たのはここまで進化していたから。




私を壊す事の出来るアレイスター、その牙は怖かったわ、
でも私は村人を、彼はアクマを、殺す事で一緒に居られた。

騙しあってたわね、こんなの恋愛ごっこだったかも知れないわね。
でも私は知ってた、貴方がエクソシストだって。
でも貴方だってうすうす気付いていたでしょう?
だから私の血を欲しては、そんな自分を「忌まわしい吸血鬼」だと
責めては罵った。そうして泣いたわね。

・・・私の所為にはしなかったわね。
私がアクマだと、貴方は疑わなかったわね。
何処か気付いていたはずよ。
貴方は寄生型、勝手に牙が反応する筈。
それをずっと耐えていてくれたわね。
やさしいアレイスター、やさしい私の、私だけの吸血鬼。



ああ、何処かでオレンジのガキの絶叫がする、
今好い所なんだから邪魔しないでよ。
私とアレイスターの最期の恋愛ごっこの瞬間なのよ。
「ごっこ」が「本当」に変わる最期の一瞬。最後のチャンス。
あら?ちょっと待って今何て叫んだ?あのガキ。
「I LOVE YOU」?!
それ、今アレイスターが私の身体に駆け上りながら、
声に出さずに口だけで云ったわよ?


そう、そうなのアレイスター。


貴方もごっこ遊びを止める決心がついたみたいね。
じゃあ私は本音を云うわ。
本当のことを一部だけ、云うわ。


「そとへ行けないのを全部じじいのせいにしてさ
自分が城を出て傷つくのが恐いだけでしょーーが!!」


「臆病者!!」

云ってやったわ。
これで、もし私が壊されても貴方、外部に出られるでしょう?
だって本当の事だものね、これは呪いよ。アクマの呪い。
貴方は私の言葉によって外部に出られる様になる。


「エリアーデ」
やさしいアレイスター、こんな醜い姿の私でも名前を呼んでくれるのね。
私だと思ってくれているのね。
貴方の嘘なんてバレバレの見え見え、「醜いお前は見たくない」なんてね、
自分の吸血鬼じみた容貌を何より気にしている貴方が、そんな風に
他人を観るはず無い事くらい解ってるわよ。
知っているの、お見通しよ。

捨て身の攻撃、
「跡形もなく消えよう」と聴こえた。








聴こえたでしょう?私の声。


「あなたを」


「愛したかったのにな・・・」

これからも

「ずっと」

「私だけの吸血鬼で・・・」



ねえ、後悔していないわよ、アレイスター。
貴方、動けたのだから観ていたでしょう?

干乾びて落ちて行く貴方を見下ろす私を、

貴方に血を吸い尽くされて壊される私を、



一番キレイだったでしょう?
これまでで一番、眩しいくらい「きれい」だったでしょう?




後悔していないわ。

忘れないで、アレイスター。私のことを。
これも呪いよ、最期の呪い。
解けない呪いよ、忘れないでね。
貴方を愛した美しい女のこと、
吸血鬼を愛した女のこと、

エクソシストと恋をしたアクマのこと。

覚えていてね、その最期の美しさを。

アレイスター、やさしい私の吸血鬼。







END


BGMはCoccoの『遺書』ですからね、本気です。
書きながら泣きました、ちょっと。
こんな事初めてだ、自分で小説書きながら泣きそうになるなんて。

タイトルはピーターが初めて出た映画のタイトルです。
ゲイ・ボーイと近親相姦、叶わない父親への愛が血まみれを招く、
これも非常に美しい悲恋の映画です。超オススメ。


・・・エリアーデ大好きです。やばいです。
ラビが叫んでいるところ、あれはアレイスターの顔とかぶせてあるのは
彼の叫びでもあったのだと解釈しています!!
だから、口パクで云ったことにしちゃった。

あそこまで進化して、自分を抑えられるアクマなら、味方にして
しまえば良かったのに、と想ってばかりいます。
アレイスターとコンビを組ませれば彼は何時でもフルパワーで闘えるし、
ああ、でもアクマの殺人衝動はアクマを殺しても満たされないのかな。
伯爵の呪いは、所有はどれだけ自我が進化しても解けないのかな・・・。

あまりにも悲しい、美しい恋。
十分、恋をしていたと思う。二人は箱庭で。
何で師匠、アレンたちを送り込んだの、どうしてそっとしておいて
あげなかったの。

「次号、クロウリーがアレン達に語ったこととは?!そして・・・!?」
迂闊な事語ったら許さないぞ、アレイスター!
星野さんは最後まできっちりエピソードを描ける人なので、
信じてますよー。うう・・・エリアーデ・・・・・・。

女性の1人称モノはたまにすっごく書きたくなります、
しかもこういう「オンナ」っぽい、はすっぱな人の。
銀魂でも鋼でも無理だったからすごく嬉しい。
ああ、ラストさんでも書けたな、彼女も殺されてしまって涙。
どうせならアルに殺して欲しかった、せめて。
バトロワでは光子でガンガンかけたんですけどね。

エリクロでもクロエリでもいいけど、このカップリングは
私の殿堂に入りました。大好きで愛しい。読み直してまた泣く。




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