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■ 己を愛するがごとく
「君はいったい、いまさら自分が誠実な人間になれると思っているのですか。誠実な人間とは、どんな人間だか知っていますか。おのれを愛するが如く他の者を愛する事の出来る人だけが誠実なのです。君には、それが出来ますか。いい加減の事は言わないでもらいたい。君は、いつも自分の事ばかりを考えています。自分と、それから家族の者、せいぜい周囲の、自分に利益を齎らすような具合いのよい二、三の人を愛しているだけじゃないか。もっと言おうか。君は泣きべそを掻くぜ。「汝ら、見られんために己が義を人の前にて行わぬように心せよ。」どうですか。よく考えてもらいたい。出来ますか。せめて誠実な人間でだけありたい等と、それが最低のつつましい、あきらめ切った願いのように安易に言っている恐ろしい女流作家なんかもあったようですが、何が「せめて」だ。それこそ大天才でなければ到達出来ないほどの至難の事業じゃないか。自分はどうしても誠実な人間にはなり切れなかったから、せめて罪滅しに一生、小説を書いて行きます、とでも言うのなら、まだしも素直だ」
太宰治『風の便り』
自分はどうしても 誠実な人間にはなれなかったから、 せめて罪滅ぼしに一生、 自殺をせずに生きていきます。
と言うのは変ですかね?
2003年06月06日(金)
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