一度だけの人生に
ひろ



 自己批判

「ほんとうに私は、どれが本当の自分だかわからない。読む本がなくなって、真似するお手本がなんにも見つからなくなった時には、私は、いったいどうするだろう。手も足も出ない、萎縮の態で、むやみに鼻をかんでばかりいるかも知れない。何しろ電車の中で、毎日こんなにふらふら考えているばかりでは、だめだ。からだに、厭な温かさが残って、やりきれない。何かしなければ、どうにかしなければと思うのだが、どうしたら、自分をはっきり掴めるのか。これまでの私の自己批判なんて、まるで意味ないものだったと思う。批判をしてみて、厭な、弱いところに気附くと、すぐそれに甘くおぼれて、いたわって、角をためて牛を殺すのはよくない、などと結論するのだから、批判も何もあったものでない。何も考えない方が、むしろ良心的だ。」

太宰治『女生徒』


耳の痛い言葉。
「角を矯めて牛を殺すのはよくない」が
半意識的であり、また、やはり半分は無意識的だから
余計に辛い。

迷って、立ち止まってみる。
周りの多くの人は内心迷っているのか、
それとも迷い無く、何かに突き進んでいるのか
分からないけれども、とにかく進んでいく。

僕のように立ち止まっている人も
少ないながら、いるみたいだ。

どっちが真摯な態度なのか分からない。


2003年04月25日(金)
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