一度だけの人生に
ひろ



 方向

どうせ、僕らを夢中にさせるような、
僕らを満足させるような、そんなものは
世の中に無いんだ。と言わんばかりの閉塞感。
僕だけじゃなくて、僕の回りの友人全員が
感じているかのように、言い、行動しています。

僕らが弱いのだろうか?
僕らの意志の力が弱いのだろうか?
それとも贅沢を言いすぎなのだろうか?

挫折するもの。放棄するもの。
けっこう、いや、かなりいる。

迷っているんだ。
これから、何のために
生きていけば良いのか、わからないんだ。

どれが良いのかもわからずに、
人生の重大なものの決断を迫られて、
みんな苦しいんだ。辛いんだ。

トコロテン方式で、社会に押し出されていくことが、
未来を選択しなければならないことが、不安で、怖いんだ。


「【本当の】愛、【本当の】自覚、とは、どんなものか、はっきり手にとるようには書かれていない。この人たちには、わかっているのかも知れない。それならば、もっと具体的に、ただ一言、右へ行け、左へ行け、と、ただ一言、権威をもって指で示してくれたほうが、どんなに有難いかわからない。私たち、愛の表現の方針を見失っているのだから、あれもいけない、これもいけない、と言わずに、こうしろ、ああしろ、と強い力で言いつけてくれたら、私たち、みんな、そのとおりにする。誰も自信が無いのかしら。ここに意見を発表している人たちも、いつでも、どんな場合にでも、こんな意見を持っている、というわけでは無いのかもしれない。正しい希望、正しい野心を持っていない、と叱って居られるけれども、そんなら私たち、正しい理想を追って行動した場合、この人たちはどこまでも私たちを見守り、導いていってくれるだろうか。」

太宰治『女生徒』


2003年04月05日(土)
初日 最新 目次 MAIL