一度だけの人生に
ひろ



 処世

「疑うのが、正当の心構えなのだと、
わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。
人の心は、あてにならない。
人間は、もともと私慾のかたまりさ。
信じては、ならぬ。」

太宰治『走れメロス』


普通の人になりたい。

ロマンチスト、ナルシスト。
僕をそう言って、なじる人たちに
倣って、僕はもっともっと俗っぽくなるんだ。
もっともっと汚く、醜くなるんだ。

人に優しくなんてしてたまるか。
人なんて、信じるものか。
常に人の油断をうかがい、隙あらば
相手を倒し、自分が良い目をみるんだ。

酷い男だなどと、卑怯だなどと、
言うのはやめてもらいたい。
僕にそう生きるよう、教えたのは
あなたたちだ。


正義。義理。人情。愛情。誠実。理想。
純粋。優しさ。

これら苦しくとも美しいものは
全部ウソじゃないか。
いや、僕らの【生活の中】では
全部ウソじゃないか。
みんな声高に叫んで、しょってるだけで、
誰も、そのために苦しんでないじゃないか。
本当は馬鹿馬鹿しいと思ってるんでしょう?
いっそ、そう言えば良いんだ。
不潔なごまかしはやめろ。

馬鹿を見るじゃないか。
そして、その人に馬鹿を見せているのは
他ならぬ、あなたたちだ。

中途半端は、よせ。
もうご都合主義はたくさんだ。
どうせなら、潔くいこうじゃないか。
エゴイスト万歳を叫んで、
「何が悪い」って顔していこうじゃないか。

あ、「潔く」なんてことも
あなた達にとってはウソなんだよね。
これは失礼。


2003年03月25日(火)
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