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2007年10月01日(月) 野茂と松坂

松坂のレギュラーシーズンが終了した。戦績は防御率 4.40 、15勝12敗0S、 奪三振 201。投球イニング数204回2/3、奪三振201はいずれもチーム最多。登板試合数は32試合。

先発3〜4番手としてはまずまずの成績だ。32試合に先発登板して15勝だから、勝率は0.469と5割以下。強打のレッドソックスというチームでこの成績だから、下位チームなら勝ち数はもっと少なくなる。イニング数チーム最多の204回2/3は、松坂のこだわった先発完投の名残か。彼の契約金・年俸から見れば、さほどの成績ではないが、1年目、ローテーションを守って、1年間故障なく投げきったことは、ルーキーとしては立派だ。

ポストシーズンでは、うまくいけば2、3試合の登板があるかもしれないが、その成績については、筆者にはあまり関心がない。問題は來シーズンだ。

松坂の総イニング数を登板総試合数で割ると、1試合平均6イニング強になる。途中降板を含めて、このイニング数だと(データがないので確言できないが)、勝ち試合の平均イニング数は7イニングを超えるだろう。松坂が來シーズンも先発完投にこだわるようならば、成績向上は望めない。ルーキーイヤーの今シーズンを下回るかもしれない。相手も研究してくるし、ルーキーイヤーの疲労が抜けないままだと、取り返しのつかない故障にもなりかねない。

MLBで活躍した日本人選手の成績(先発タイプ)をみると、1995年から2005年まで現役を送った野茂英雄が抜群の実績で、ルーキーイヤーの1995年にドジャースで28試合に登板し13勝6敗0S、191回1/3、236三振、防御率2.54の好成績を上げている。勝ち星こそ今年の松坂に劣るが、防御率で松坂より2点弱勝っている。28試合で13勝だから勝率は0.464となり、松坂と変わらない。

野茂は、ドジャースで2年目16勝11敗、防御率3.19、3年目14勝12敗、防御率4.25とそれなりの成績を残すも、4年目、ドジャース/メッツ(に移籍)で合計6勝12敗と落ち込み、その後、1999〜2000年の2年間低迷するも2001年に復活し、レッドソックスで13勝10敗、防御率4.50、2002年にはドジャースに戻り、16勝6敗、同3.39、2003年に16勝13敗、同3.09と持ち直し、11年間、MLBで投げぬいた。

筆者の私見では、才能において野茂、松坂を上回ると思われる伊良部秀輝は、3年間在籍したヤンキースの2年目に13勝9敗、防御率4.06を最高として、エクスポズ、レンジャーズでは活躍できず、6年でMLBから姿を消した。伊良部より才能面で劣ると思われる石井一久も、ドジャース、メッツで4年しかもたず日本球界に復帰した。

実績で野茂に次ぐのは、意外と言っては失礼だが大家友和で、彼は1999〜2006年までMLBの各球団を渡り歩き、2002年にエクスポズで13勝8敗0S、防御率3.18の好成績をおさめている。しかしその後は低迷し、2006年にMLBから姿を消した。

このように、日本の投手は優秀だといわれる割には、先発タイプで野茂を上回る日本人MLB投手は出ていないのが実態である。松坂にはなんとしても野茂以上の成績が期待される。彼には、少なくとも、来シーズン以降10シーズン以上、MLBで投げ続けてほしい。そのためにも、今シーズンオフ、身体の手入れを怠らないでいただきたい。

何度も当コラムで書いたことだけれど、長距離移動とハードスケジュール、中4日のMLBの先発のレギュレーションにおいては、イニング数にこだわらないほうが、投手生命が長持ちするような気がするのだが。松坂はこのことをどう考えるのだろうか。


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