米大リーグ、レッドソックスの松坂は8日、当地でのオリオールズ戦に先発登板、2回3分の2を投げて2本塁打を含む6安打を浴びて8失点し、12敗目(14勝)を喫した。メジャーでは1試合の自己最多失点で、最短降板。2奪三振、3四球で、防御率は4.11となった。(時事通信)
残念ながら、この試合を見ていない。ただ、筆者は、2007年07月20日(金)に、「松坂の危険度はレベル4」で書いたとおり、松坂の不調は「疲労」だと確信している。
松坂の投球技術は、まちがいなくメジャー級だと思う。しかし、彼の体力がそのレベルかどうかは、松坂がルーキーであるため、本人しかわからない。いや、本人でもわからない。
開幕当初、松坂は長いイニング投げたいと言って、ベンチの指示に従わなかったと言われている。そのときも、筆者は松坂の「勘違い」が危険である旨を当コラムで書いた。奢るなと。松坂が先発完投が投手の義務だという日本野球の価値観に縛られていることを知って、筆者は心底驚いた。MLBではそうはいかないと。
米国に行ったことのある人ならばだれでも知っていることだけれど、11月のシカゴは雪が降り、ロスアンゼルスではTシャツで十分という国だ。広い国土、長い移動距離、地域によって異なる気候・風土、審判はホームサイドディシィジョン、とりわけ主審のストライクゾーンは日本より主観的だ。松坂に限らず、有名な投手を特別扱いすることはない。
そんな中で1シーズンを乗り切るためのMLBの投手システムは、先発投手は中4日、1試合で先発は6イニング程度、ホールド2人、クローザー1名の分業制だ。リリーフ陣は短いイニングなら150キロ近くを投げられる速球派から変則・クセ球のタレントでかためられている。
米国流投手システムが良いか悪いかはわからない。ただ、先発完投ペースで投手を中5日でまわすことはリスクが高すぎる、というのが米国野球の考え方であり、優秀な先発投手が集まりにくい現実を踏まえれば、最も合理的なシステムなのだ。
松坂は、シーズン(日本)中、せいぜい2時間程度の移動しか経験してこなかった。気候風土も単一だし、日本の主審は松坂に敬意を表してくれていた。
米国にきて最初のシーズン、彼のここまでの成績(14勝12敗防御率4.11)は、まずまずだ。負け数が多いのでベンチの信頼度は低いだろうが、彼は最初から先発3〜4番手扱いだ。ルーキーイヤーとしては責任を果たした。
いま、筆者の関心は、松坂が來シーズン、故障せずにどこまで投げられるかに移っている。今シーズンの疲労を持ち越すようだと、来シーズン途中でのリタイアもあり得る。松坂が奢らずに謙虚にトレーニングに励み、心身のリフレッシュに努め、米国という国に適応してほしい。我流・日本式にこだわるようだと、危ない。松坂が「第二の伊良部」にならないことを祈っている。
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