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2007年03月04日(日) 外国人FW依存は、今年も変わらず

優勝候補の呼び声が高い浦和は、二部から昇格した横浜FCに2−1で辛勝。1点目は横浜FCのディフェンダーのオウンゴールだし、2点目も横浜FCディフェンダーのクリアミス。横浜FCには残念な結果に終わってしまった。筆者は横浜に勝点1をとって帰ってもらいたかった。そうなれば、浦和に危機感が生まれ、リーグ活性化につながっただろう。

浦和はトゥーリオが発熱で出場できず、阿部がリベロで3バックの真中で出場し、小野が鈴木とダブルボランチ、ワシントンの1トップにポンセ、永井の2シャドー、サイドハーフは右に山田、左に相馬。
一方の横浜は、久保を前線に一人残して、センターラインより後まで引き、9人で強力なブロックを形成して、浦和の攻撃を阻む作戦をとった。組織的な守りで時間を使い、前線の久保の一発に賭けるという完全アウエーシフトだ。ワシントンのマークはベテランの小村が担当。前半、OGで1点を献上したものの、試合を通じて、この作戦は失敗ではなかった。横浜FCにミスがなければ、浦和は勝点1で終わっていただろう。

この前のコラムで書いたとおり、浦和の弱点は司令塔不在。1トップ、2シャドー、左右のサイドハーフは攻撃力満点に見えるのだが、ボールを散らすいわゆるトップ下が不在だから、有機的な攻撃ができない。それが証拠に、ボランチ2人がバイタルエリアで仕事をするシーンが皆無だった。サイドの山田、相馬が個人技でクロスを上げても横浜FCのブロックに阻まれた後の第二波の攻撃が起きない。長谷部がケガで戦列を離れているとはいえ、浦和の組織的攻撃の発芽は見られなかった。頼みのワシントンがベテラン小村に抑えこまれるくらいだから、相手チームが浦和ホームのときにディフェンシブなゲームプランを選択すれば、浦和がホームで勝点を量産してきた昨年までの優勝の構造は崩壊する。ホームで引分が続けば、サポーターが焦って「愛するレッズ」にブーイングを浴びせる光景も出現すかもしれない。そうなれば、チームとサポーターの関係も悪化し、昨年の浦和の「ホーム不敗神話」も崩壊する。

ようは、浦和という超ビッグクラブに対して、そのほかのクラブが厳しい戦いをするかどうかが問われている。資金がなく、優秀な選手が集められなくとも、監督が知恵を絞れば、浦和だってそう簡単に勝てない。浦和相手にノーガードで打ち合えば、個々の力でねじ伏せられる。浦和と対戦するJリーグの監督諸氏は、横浜FCの高木監督のように、相手を苦しめる作戦をとってもらいたいものだ。また、浦和はそうした相手から勝点3をもぎ取るようなサッカーをしなければならないわけで、両者の「戦い」がリーグのレベルを上げていく。

さて、浦和と並ぶ優勝候補のG大阪も大宮相手にホームで1−0の辛勝。決勝点は、途中出場した甲府から移籍のバレーが、やはり交代で出てきた家永との連携で上げたもの。こちらも浦和のワシントン同様、エースのマグノアウベスが不発で苦戦したものの、選手層の厚さで勝点3をものにした。

この2試合から、Jリーグの「強豪」に共通の課題が存在することが露見している。浦和、G大阪ともに外国人ストライカーが点を取らないと苦戦するという法則だ。それでも、G大阪にはバレーという外国人の控えの切り札がいたから勝てたようなもので、外国人ストライカー依存の体質は変わらない。日本人選手が点を取らない「2強」というリーグの現実が、日本代表の決定力不足の主因になっている。

外国人ストライカー依存体質を打破しなければ、日本代表が世界レベルに到達することはあり得ない。Jリーグの課題が日本代表の課題であり、監督がオシムになって猛練習しても、課題が解決されるわけではない。点取り屋の日本人選手といえば、FC東京から2点を奪った、広島の佐藤寿くらいしか思い浮かばないが、彼はストライカーというイメージではない。

Jリーグの各クラブがリーグで厳しい戦いを繰り広げなければ、代表のレベルアップは不可能。始まったばかりの今シーズン、各クラブの監督は、とことん勝点(勝負)にこだわった戦いをしてほしい。負けて当然のような、淡白な試合だけは一試合たりとも見たくない。


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