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2006年10月05日(木) 日本代表の現実

きのう(10月4日)行われたサッカー国際親善試合、日本vsガーナは日本が0−1で惜敗。得点、試合内容をみると「惜敗」という表現でいいし、内容的に日本が悪かったとも言えない。W杯で世界の16強の壁に跳ね返された日本の最初の国際親善試合としては、勝敗はともかく、だれもが「こんなもんだろう」という感想をもったに違いない。

対戦相手のガーナは、W杯1次リーグの「死のグループ」で米国、チェコを退けた強豪国。来日したメンバーはそのときの代表がほとんどを占めた。正真正銘のガーナ代表だ。もちろん、欧州各国リーグの真っ最中の合間を縫って、長旅、時差ボケによるコンディションの悪さはあるにしても、日本代表が力試しをする相手として最も相応しいチームの1つと言える。

試合展開等はすでに多くの報道があるので割愛する。ただ一点、感想を述べるならば、精神力、運動量、規律において日本はガーナを上回っていたものの、各選手の力の差は歴然としていたということだ。運動量において日本はガーナを上回っていた、守備の意識も高かった。しかし、運動の質において、ガーナの方が日本よりはるかに上だった。この差はいまのところ、ガーナだけにとどまらない。日本より力のある代表チームは世界に概ね50ほど存在する。そして、アジアにおいては、その差僅かとはいえ、日本より力のあるチームは、3ないし4(豪州、韓国、サウジ、イラン)ある。

日本より力の上の代表チームと戦い、そこから勝利を得るためには、ガーナ戦のように運動量、精神力、規律において相手を上回るしかない。その結果として導き出せるのは、運がよければ勝利、よくて引分であろう。それが、日本代表の現実の力なのだ。運動量、精神力、規律が相手を上回れれば、ドイツで豪州に惨敗したような惨めな結果には至らない。豊富な運動量、強い精神力、高い規律の3点セットこそが、実力で劣る日本が目指さなければいけないサッカーなのだ。

日本人は日韓大会の成功以来、まちがいなく夢を見ていた。日本が世界の強豪と当たり前に互角にわたり合えるという夢だった。現実は、8年前も4年前もいまも、さほど変わっていない。8年前のフランス大会で日本は1勝もできなかった。このことは、ドイツ大会で勝点1しか上げられなかったいま現在とさほど変わっていない。ただ、フランス大会から日韓大会までの4年間に、日本は僅かではあるが、世界との差を縮めた。ところが、その次のドイツ大会までの4年間、日本は停滞もしくは後退しいまに至っている。

スポーツにおいては、短期間で大いなる飛躍はなし得ない。選手、監督、サポーター、ジャーナリストが日本サッカーの実力をそれなりに理解できたのならば、日本代表が目指す方向についてコンセンサスが得られやすい環境になったのだ。日本サッカー界は、その分、それなりに、大人になったのだ。


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