なにはなくともテレビジョン。
まあち



 私も鬼になるだろう

ドラマ『火垂るの墓』を見た。

アニメ版を見た後味がとても悪かったので
(私はジブリアニメでこの作品が一番嫌い)、
ドラマも最初は見るつもりがなかったのだけど
あの兄妹だけでなく、引き取ったおばさんの目からも
みた物語作りになると知り、見ることにした。

アニメを見終わったとき、
「なんで兄は妹のためにプライドを捨てなかったんだろう」
と、その所がすごく疑問でならなかった。
食わしてもらうだけ食わしてもらって、
何も手伝わず働かず妹と遊んでばかりいたら
そりゃおばさんだって困るでしょ、と。

なので、二人が死んだときに
(もちろんかわいそうだと思ったけれど)、
この結末は、兄次第で回避できたのではないかなと
思ったのだった。

ドラマではおばさんだけでなく、
多くの登場人物の背景も垣間見られたので
物語がより掘り下げられたように感じた。
(特に雑貨屋のおじさん(段田安則)。
 兄が空襲泥棒をしてしまったときに
 なんであんなに兄をボコボコにしたか、
 って場面がすごくよかった)

で、おばさん。
最初は従姉妹との約束を守って兄妹を引き取るけど、
だんだん兄妹の立ち振る舞い(特に兄)に戸惑いはじめる。
(この辺!この辺なんだよ兄がダメダメなのが…
 「妹を守る」ことは、「常に妹のそばにいる」
 ってことじゃないのになあ。 
 なんかヘンなプライドが見え隠れしてんだよね。
 お父さんが出征時に兄に託した言葉を
 全く違う風に受け取っちゃったのね)

夫の戦死を境に兄妹に辛く当たり始めるおばさん。
(またこれが『戦死』がキッカケに過ぎず、
 兄が食わしてもらってるにもかかわらず
 ある意味地雷を踏んじゃったってのがまた不幸)

長女に「お母さんは鬼よ!」
義弟に「これ以上義姉さんが変わっていくのを見たくない」
と言われても、一度決めたスタンスを変えないおばさん。
それは、自分の子供たちを守るため。
子供たちを死なせないために、自分が鬼になるしかなかった。

…私がもしこの立場だったらどうするだろう?
まず兄をあの手この手を使って説得して、
それでダメだったら、私も鬼になるだろう。
自分のほんとうに大切な人を生かすために。



このお話、アニメもドラマも
「兄妹があまりにもかわいそうすぎる」って
みんな気持ちがそこで止まっちゃってるような感じ。
何故かと考えたら理由の一つがコレ↓な気がしてきた。

アニメもドラマも、兄妹の演技が上手すぎる!!
よくこんな子供を見つけてきたよねってくらい。
ホントに上手すぎるから見進めていて
必要以上に兄妹に感情移入しちゃうんだよ。
こんないたいけな子たちをを見放すなんて!みたいな。

下手なのも困りますが、
上手すぎるのもちょっと考えちゃいますねぇ(苦笑)







2005年11月02日(水)
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