妄言読書日記
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2013年03月26日(火) 『たったひとり』(小)

【乾ルカ 文藝春秋】

大学の廃墟探検サークルの5人が、27年前に土砂崩れにあって廃墟となっているラブホテルに行ったところタイムループに巻き込まれるという話し。
タイムループは土砂崩れが発生する30分前から始まり、タイムループが起こるたびに土砂崩れまでのタイムリミットが二分ずつ減るっていうのが、ちょっと変わったルール。

27年前の事故ではホテルで身元性別不明の死体が一つ発見されているので、5人のうちの一人が犠牲になって当時の事故を再現すればループから抜け出せるのではないか、という仮定で、5人がそれぞれホテルに残ることになる。
その5人の視点で語られる。
目次をみれば、5人が終了しても終わっていないことが分かるのだけれど、どうやって再現するか、本当は当時何が起こっていたか、が徐々にわかってくると同時に、5人それぞれの嫌な性格が浮き彫りになってくるのがおもしろい。
特に女子二人のキャラはとてもいい。

全然ハッピーエンドじゃないんだけれど、なぜかじめっとした印象を残さないのは、『夏光』の時みたいでよいな。
乾ルカにはホラー寄りの話しを書いてほしいなぁ。



蒼子 |MAILHomePage

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