妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2008年11月11日(火) |
『ひかりの剣』(小) |
【海堂尊 文藝春秋】
海堂作品は装丁がかっこいいのが多いのだけれど、今回は微妙だなぁ。 まんま過ぎる。
速水と帝華大の清川が学生時代の話し。 舞台は再び、1988年。 二人のパートが交互に語られるのだけれど、清川パートが一人称なので清川の方が比重が大きい印象を受ける。 もうちょっと速水も・・・。 学生時代清川を見てると、『ジーン・ワルツ』の頃には少しはマシな男になったのかなぁと思い直さないこともない。 何せかにせ速水が男前すぎるから、しょうがないと言えばしょうがない。
前半の速水は、侍とか武士とかそういう雰囲気だったのだけれど、終盤はジェネラルの片鱗がうかがえて、なんだ結局20年後のあの顛末は高階先生のせいだったんじゃね?というようなことを思った。 高階先生が免許皆伝しなければ、生真面目速水でいったことだろうに。 いや、20年後も生真面目は生真面目なのだけれど。 田口先生が高階先生と速水の関係を知ったら、やっぱり私と同じ様なことを思ってやり切れなくなりそう。
田口先生はともかく、速水もサボり魔だったのが少し意外。 速水の「俺のわがままが許せないのなら、勝てばいい」というセリフ、田口先生に言ってみたら?と思うと可笑しい。 (土壇場ではいつも負けるジェネラル速水)
医鷲旗の行方は、地味ーに『ジーン・ワルツ』で明かされていたので、正直勝負の行方は大体想像がついていたのが、やや残念。 何もあそこでさりげなく書かなくてもよかったような気がするんだけどなぁ。
間違いなくこれは青春小説でした。 でもやっぱりそれとなく、医療崩壊の兆しは挟み込んでますけど。
ブラック・ペアンの裏ではこんなことも起こってたんだなぁと、合わせて読むと高階先生の奮闘振りがより際立つ。 さすがのちの院長。
ジェネラル・ルージュ以降、いろんなジャンルで桜宮市の医療事情を書いてきて、次は久々に田口&白鳥シリーズに戻る。 種まきは終わって、今まで提示されてきたことが結果を現し始める展開がそろそろ始まる気がする。 そして、そのクライマックスは東城大学付属病院の崩壊。 ここまで明確に手の内をさらしている海堂先生がいったいどういう場所へ案内してくれるのか。 私には海堂先生は医療ミステリーの旗手というよりは、希代の先導者、もしくは扇動者に見える。非難じゃないよ。
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