妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2008年10月22日(水) |
『最後の物たちの国で』(小) |
【ポール・オースター 訳:柴田元幸 白水社】
「人々はつぎつぎに死んでいき、赤ん坊は一人として生まれず、物もどんどんなくなり、それとともに言葉も消えていく」国に兄を探しに行った、アンナからの手紙という形をとっている小説。 崩壊に向かっている国において、どんな犯罪も死も派手なエピソードではなくただ淡々と過ぎていく。 貧しく、物資にも乏しいこの国では、一度なくなった物はその物を現す言葉すら消えていくというのが恐ろしい。 紙や鉛筆ですら手に入りにくいそんな場所で、アンナがこの国での経験を手紙にすることに希望を見出すのはとてもよくわかる。
最後にアンナたちがこの国を脱出できたのかはわからない。 けれどこの手紙がどうやら差し出した相手に届いたように読めるところを見ると、脱出できていてもできていなくても少しは希望の持てる未来がアンナたちに訪れたのではないかと思えるし、思いたいなと思う。
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