妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2008年10月16日(木) |
『ナイチンゲールの沈黙 下』(小) |
【海堂尊 宝島社文庫】
読み終わってから、バチスタもおさらいでさらっと読んでみて確信したのだけれど、このシリーズはフーダニットに重点は置いていないんだな。 バチスタのと時はあまりに犯人がわかりやす過ぎて、なんだかなーと思った部分があったのだけれど、よくよく読み返すと、白鳥が「大切なのは事実かどうかを証明することではなくて、事実と仮定して物事を動かしていった時に、最後まで矛盾なく成立するかどうか確かめるというやり方をすること」と言っていて、つまりはそういうことかと。 読者はだいたい前半の田口先生パートで犯人の目星がつき、後半の白鳥パートではその仮定が合ってるかどうか一緒に検証していく、という読み方をするのがどうやらベストな気がします。 読み返してみて、論理パズルみたいな構造の小説だなぁとバチスタは思いましたね。
で、ナイチンゲールに出てくる小夜の特殊能力は検証にはさして絡まない部分だから、そう目くじら立てなくてもいいんではないかな、と思うわけです。 必要かといわれると微妙かな、とは感じたけれど、前代未聞の自白シーンもこの能力のおかげですし、退屈な自白シーンにまだこんなバリエーションがあったのかと感心しました。
で、以下はナイチンゲールの真相部分にも触れる話し。
真相が判明したときは、あまりにもそのまんまやないかーい!と言いたくなるような犯行内容で逆に驚きました。 城崎は本当にただのミスリードだったんだなぁ。
ラストの自白はしたけれど、小夜がやったということを証明できないというあたりの流れは、なんだか逆転裁判風でわくわくしました。 田口先生Brabo!という感じでした。 犯人あてよりも、証明するほうが好きなんです。
バチスタの時よりも、やたら田口先生が可愛く見えたのはなんでかなーと思ったら、今回は一人称じゃなかったからなんですねぇ。 けっこう心の内では鋭くつっこんでる田口先生だけれど、表面的には穏やかでお人よしが前に出ている様子。 にしても、警察庁と警視庁ってどう違うんですか?は、世間知らずというかなんというか・・・。 有名な歌姫のことも全然知らないし、生活感があるようで浮世離れしている印象。
「女が本気なら、その時は男は見届けるしかない。それは力が要ることなんだ」 という田口先生のセリフがちょっと意外。 センセイはひょっとしたら、20代とか30代に大恋愛をしてるのかも。なんだかしてそうなんだよなぁ。
新登場の加納・タマコンビや、速水、島津などの同級生たちがさして広くはないであろう不定愁訴外来にひしめいている様がかなりおかしかった。 このメンバーは今後も楽しませてくれそうです。 田口先生のまわりには、優秀ないい男がいっぱいいるなぁ。 いい男部分に関しては、白鳥は違うけど。兵頭も違うのか。
今回もいっぱい楽しい仰々しい二つ名が登場してました。 デジタル・ハウンドドッグが今回のヒット。
瑞人が両目を摘出しなければならないという展開で、このために小夜の能力が必要だったのかとは思ったけれど、やや予定調和な気がしました。 海堂先生は意外とロマンチストな部分があるのかも。
今回でキャラクターがある程度揃った、という気がするので、3作目のジェネラルルージュが早く読みたいなぁ。
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