妄言読書日記
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※ネタバレしています
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| 2008年07月04日(金) |
『図書館戦争』(小) |
【有川浩 メディアワークス】
本書が実際の図書館にある宣言を題材にした小説であることは有名すぎるほど有名なので特に説明もしませんが、自由に関する宣言以外の部分、中小レポートだの日野図書館(日野の悪夢はさすがに創作)、図書館法、オウム事件の時の個人情報流出などなど、いろいろと図書館に関する情報が盛りだくさん。 司書のお勉強をしている人は読むと気軽に頭に入ってくるかも。 また、本書に登場する悪法メディア良化法も、元は現実にあったメディア規制三法(立法はされてないですが)なのかな、と。
この小説を楽しむ人には二通りあるように思います。 一つは、図書館ってそういうこともあるのね、ところで郁と堂上っていったいどうなるの、という人。 もう一つは、本当にこんな社会になったら図書館はどういうことになるのだろう、と思う人。 私は後者なので感想も、主にそちらを主体にしていきたいと思います。 郁と堂上は、まあ、興味なくもないが放っておいてもくっつくだろうし。
検閲がまかり通る社会って、国家の衰退だよなぁとしみじみ思う内容でした。 それにしても、メディア良化法が成立したからといって、図書館に対する武力行使に超法規的処置が適応される社会っていくらなんでもありえない、と思いたい。思いたいんですけど、どうですか、ないって言って欲しいな。 まあでもそこは小説なので、そういうことがあると認めるとしても、ライブラリアンの端くれとしてはどうしても、それに対応するために図書館が武力を備えるというのが嫌です。 どうしても嫌です。 有川浩は他の著作を見ても、明らかにミリタリー好きなのが伺えるので、どうしても軍隊を作りたかったのだろうけれど、図書館の戦い方ではないなぁと正直思ってしまう。
まあ、そのミスマッチさが受けた理由の一つではあると思いますので、これはあくまで個人的な印象ですが。
にしても、この世界の図書館の利用率って高いんだか低いんだか読んでてもわからないな。 私だったらこんな物騒な公共施設利用しないけど。 いつ銃撃戦が始まるかわからないような図書館嫌過ぎる…。
最終章の戦闘シーンではいまだかつてこんなに憤る戦闘はなかったかもしれない。 内容が悪いという意味ではなく、本が狩られるというのはたとえ架空であろうとも許せないのだな。 そんななので、猪突猛進型のヒロインの行動にもいつもならもうちょっと考えなさいよと言うところなのですが、私もきっと郁と同じタイプなので言えない。 郁が高校生のときに、検閲に会うシーンとか本当に悲しくなってしまった。
この物語のハッピーエンドは良化法が廃止されて、図書館隊も解散することだと思うのだけれど、そこまではしてくれないだろうなぁ。 やっぱり話しのメインはラブコメなんだろうなぁ。 良化機関の人間もさっぱり具体的に出てこないから無理なのかな。
ところで作中、学校の図書館から撤去された小説の中身が、『キノの旅』っぽいなぁと思ったら、やっぱりそうだったようですね(あとがきより) キノですら駄目なら、あらゆるライトノベルが書店から消えるな。
そういえば、良化法は漫画への規制はあまりないらしいけれど、たぶん現実にこういう法律ができたら漫画とゲームから最初に規制が入ると思うなぁ。 言ってもしょうがないけど。図書館の話しだから。 こんな社会がどうなってるのか知りたいので、図書館の外の様子も知りたいのだけれど、図書館隊の話しだから今後も見れることはないかもしれない。
とまあ、いろいろと気になることツッコミどころもあるのですが、それなりに楽しいです。
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