妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2008年05月18日(日) 『四畳半神話大系』(小)『ミスト』(映)

【森見登美彦 角川文庫】

『太陽の塔』に引き続き二作目。
いやぁおもしろい。おもしろい。
前作と同じ、もてない学生がうだうだしてる話し、かと思いきや、1話目を読み終わり、2話目が始まると、おや?となる。
1話目とまったく同じ冒頭、でも読んでいくとちょっとずつ違う展開が。
「私」が大学に入学して最初に選ぶサークルによってちょっとずつ展開が変わっていくのが、アドベンチャーゲームのようなシナリオだなぁと思いつつ読み進めると、最終話で見事に収束していく。

違う展開ながらも3話目までは「私」が小津という悪友に振り回され、変な師匠と出会ったり、酒癖の悪い美女の羽貫さんと知り合ったり、明石さんに恋したりと、とてもにぎやか。
でも4話目では、同じ導入ながらも、どこまでも続く四畳半を延々と一人彷徨うというサバイバル(というほど命の危機感がない)的な展開で、今までとの対比でいっそう孤独感が募る。早く出してあげて!と。

4話をリンクするエピソードがあったり、回を重ねるごとに重みを増す小津の「慰めるわけじゃないけど、あなたはどんな道を選んでも僕に会っていたと思う。直感的に分かります。いずれにしても、僕は全力を尽くしてあなたを駄目にする。運命に抗ってもしょうがないですよ」という軽口、というか憎まれ口。
最終的に、小津、何者・・・とさえ思う。それにしてもすごいセリフだな。

まったく見事な一冊でした。でも著作の中ではあまり知名度高くない気がする。

+++++++
【監督:フランク・ダラボン アメリカ】

ショーシャンクは観てないけど、グリーンマイルは観ました。
で、その二作のイメージで感動もんだと思っていくと手ひどい裏切りに会うこと請け合い。
私はキング作品はホラー系のほうが好きなんですけども。まぁ、キングに限らずホラーサスペンス系が好きなんですが。

キングなのですっごい恐怖感を盛り上げといてラストはエイリアン(のようなもの)かい!というような展開があるんじゃなかろうか、と思ったのだけど大いに期待はいい方向に裏切られます。
というか出来が良すぎてすんごい鬱映画となってます。

謎の霧が発生して、その中に何か恐ろしいものがいる、ということで客として訪れたスーパーに立てこもることになる人々。
かなり早々に霧の中の何かは姿を見せるので、その辺はちょっと拍子抜け。
でも恐ろしいのは得体の知れない何かではなく、恐怖に追い詰められた人々のとる行動そのもの。
こういう群集心理系は苦手なので、いやだなぁいやだなぁと思いつつ観てました。
主人公の息子が「ぼくを怪物に食べさせないって約束して」って言うセリフが絶望的すぎて泣きそうになる。

以下、ネタバレ含む。

いったいこの話しはどういうオチをつけるのだろうと、さっぱり予想がつかないながら、終盤、主人公たちを載せた車が霧の中に出発し、BGMがここで急に流れたときは、『鳥』のようなエンディングになるのかと思いました。
でもその後、車の行き着く先に待っている絶望たるや・・・!
観てるときに気がつかなかったのですが、ラスト主人公の横を通り過ぎるトラックに乗っているのが、最初にスーパーを出て行った女の人だっていうのがまた、凄い、凄い鬱。
エンディングも途中でBGMが消えて、戦車やヘリの音だけになるのも、もうやめてくれというほどの鬱。

観終わったあと、うなだれること間違いない傑作です。

余談だけど、オリーが見た目に反して大いに活躍して、なるべく長く生きてもらいたい、と思って観ていました。



蒼子 |MAILHomePage

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