妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2008年04月27日(日) |
『厭魅の如き憑くもの』(小) |
【三津田信三 原書房】
昨年のこのミス5位だった『首無の如き祟るもの』のシリーズ一作目。 首無を読もうかなと思ったのですが、なにごとも一作目から読まないと気がすまないので一応読んでみました。 (余談なのだけどこのミスを読み返したら“厭魅”に“えんみ”てルビが。“まじもの”って読むのだよ・・・)
土俗ホラーでミステリー。 横溝系ミステリにホラーを大量に盛り込んだ印象。 ホラー色が全面に出ているので、解決はミステリー:ホラー=7:3くらいだといいなぁと思って読んでいたのですが、9:1ですね。 もっと理屈で説明できない部分を残してもたぶん、この作品の雰囲気なら読者も受け入れてくれたんではないかなぁという気がしました。 紗霧の川辺でのエピソードや、漣三郎の兄とのエピソードはなかなか怖くていい雰囲気。 随所に怖い雰囲気が出ていたのだけれど、それでも時々興醒めするような記述があって残念。
紗霧の日記、漣三郎の記述録、取材ノート、そしてもう一つの視点、の4つの視点が繰り返されるのだけれど、もう少し4者の文体変えてもらいたかった。 時々間違ってるんだか、それともわざとなんだかわからない文章が出てきて戸惑う。 p127でそれまで老人と記述されてたのが急に刀麻谷と名前で記述され、その直後に老人が自己紹介してたり、p401で櫛、箸、傘、扇、案山子と並べていたけど、扇はこのあとに判明するものだったりなどなど。 あまりミスリードとしては意味のない部分なので、純粋にミスのように思えますが。
あと途中ででてくる土俗薀蓄も、絡んでいるようなないような。 そういうのは京極堂で十分だ、と。 三津田信三と京極夏彦でどちらが知識において正確かどうかということは意味がなく、いかにそれらしく読ませるかの問題で、京極夏彦はものすごく詭弁がうまいということをあらためて実感。
人間関係が複雑なのも、村の地形が複雑なのもミスリードに過ぎないのがなんとも残念。 あちこちに複線が散らばっていたのはわかるのだけれど、余ってる複線もあって、それはやはりミステリーとして美しくない。 文章が微妙に下手なのも痛い。 キャラクターが薄いので、いっそ金田一を呼べ!と途中で思ったりしてしまうのも痛い。
とりあえず私が気になってやまないのが、黒子と蓮次郎はどういう関係だったんだ!という一点。 できてたのか、実は黒子が女だったのか、聯太郎だったのか・・・とあれこれ勘繰ってたのに、そもそも蓮次郎自身が一度も出てこなかったし。 そこんとこに論理的説明をお願い、刀城さん!
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