妄言読書日記
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2008年03月26日(水) 『夏光』『ほかに誰がいる』(小)

今日は地元の新人作家二人の作品。

【乾ルカ 文藝春秋】

ホラー短編集。
もう少しいい装丁だったら、あるいは、ホラー大賞から出ていたらもっと人に読まれたかもしれない。
体の部位にまつわる6編が収録され、第1部は少し古い時代を、第2部は現代を舞台に書かれている。

「夏光」
唯一、舞台が北海道ではない話し。
最後まで読むと、そこでなければならない理由もわかる。
怖いというよりも哀切な印象。他の話もそうなのだけど。

「夜鷹の朝」
できはあまりよくないかも。

「百焔」
呪詛の話しでありながら、意外にもいい話しでまとまったのが逆に良かったのかも。

「は」
ものすごく滑稽なんだけど、夜店の金魚を見たらちょっと思い出すかもしれない。
グロイ話しだけど、軽い語り口で不快感は薄い。
一番ホラーらしい話し。

「Out of This World」
小学生達のちょっと不思議な夏休み話、と思って読んでたら、ラストが思いのほか無残で、ちょっと気分が落ち込んだ。
乙一を思い出した。

「風、檸檬、冬の終わり」
ホラーと言うよりはちょっと不思議な能力の話しで、タイトル通り、清々しいような哀しいような読後感。

粒ぞろいな短編集でした。今後もがんばって書いて欲しいものです。
たぶん、ホラーでくくらないほうがいいとおもうけど。

++++++++
【朝倉かすみ 幻冬舎文庫】

恋愛物なんだろうと思って、粗筋も確認せずに読んだので、序盤で驚いた。
恋愛物というか、まあ、一目ぼれの話しなのだけど、そうとう強烈な主人公でした。
この主人公はどこかで立ち止まったり我に返ったりするのだろうか、と思いながら、どこまでもついていくと、最後の最後まで走り抜ける。
「思い込んだまま、突っ走る小説にしよう」とあとがきに書かれている通り。

若くない(10代や20代じゃないという意味で)新人作家のエネルギーは凄いな、と最後まで読まされてほとほと感心。
決して好きな話しではないのだけど。

これはうちの近所の描写だなぁという部分があって、なんともくすぐったい気分になりました。



蒼子 |MAILHomePage

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