妄言読書日記
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2006年07月06日(木) 『スイス時計の謎』(小)

【有栖川有栖 講談社文庫】

国名シリーズ短編集です。
いつもの有栖川短編だなーと思いつつ読んでいたら、思わぬ収穫があって久しぶりに楽しかった。
では一つ一つ。

「あるYの悲劇」

クイーンのタイトルのもじりはもう嫌ってほど見てるので、正直もういいよ!と思ってしまうんですが(『月光ゲーム』のサブタイトルもYの悲劇ですし)、それがテーマのアンソロジーに収録したものだというので仕方ないですか。
クイーンも大分忘れちゃったからそのうち、XYZくらい読み直そうかな。
「山崎」ってそういう読み方もあるのかーと感心するやら、そんな〜と思うやら。

「女彫刻家の首」

うーん・・・まあ、良くも悪くも普通の推理小説。
ラストに犯人二人組みが事故で死ぬあたりの、ブラックさは有栖川という感じですけれど。
「裁いていいと、誰がてめぇに言ったんだ」
ってね。火村先生らしいね。

「シャイロックの密室」

ダイイングメッセージ、アリバイ崩し、密室、とバラエティ豊かに来ましたが、私は一体、推理小説のどういうところが好きなのかなーと今さら本書を読みながら考えていたんですよ。
まずどうしても、密室もアリバイ崩しもいまいち好きじゃないんです。
なんだかみみっちいではないですか。
うーん、ネタが出尽くしているせいか、最近のはトリックのためのロジックというよりは、ロジックを説明したいがためのトリックという感じがして、正直、「細かいよ!」と言いたくなる。
私はクローズドサークルが好きなのですけれど(孤島で殺人が!とかそういうのね)、あれは純粋に誰に可能で誰に不可能かを、論理的に考えていけば犯人にたどり着ける。
シンプル故に難しい、と思うんですよね。
それで、

「スイス時計の謎」

これが、もう、久しぶりに、ああ、これだ!と。
こういうのを読みたいのよーと。
こういうの書いてくれるから有栖川有栖好きですよ。
いやはや、最近、推理小説をこれからも読み続ける意味ってなんだろうね・・・とやや懐疑的になっていたので、ありがたい一作です。
まさに、作中のアリス状態。

解説で、推理小説の条件検討シーンがめんどうだという意見がある、という話しが載っていたのですが、だからこれも多くの推理小説に見られる、ロジックのためのトリックのせいだと思うのですよねぇ。
事務的な検討シーンとかありますし。
ちなみに私は、ラストの犯人が動機を喋るシーンがことのほか嫌いです。
美しくないよ!と。
そういう点では森ミステリが好きなんですけどねー。



蒼子 |MAILHomePage

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