妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【貫井徳郎 新潮文庫】
『烙印』のリメイク、だそうですが、『烙印』を読んでいないのでなんとも比較しようがありませんので、本書のみの印象を。
『慟哭』とはうってかわって、ライトな印象を受ける語り口で、最初はこんな語り口もいけるのか、と思ったものですが、読み進めると、やっぱりどんどん重くなってくる。 生真面目な人が無理に軽妙さを演出しようとしているような、そんなストーリーと語り口の齟齬が終盤目立ってくる。
ネタバレを含みますよ。
『烙印』がハードボイルド的語り口であったことを反省しての、今回の主人公のへなちょこな性格付けなのでしょうが、へなちょこならへなちょこらしく最後の最後までそれを貫いてくれないと、やっぱりハードボイルドだったよね・・・という読後感になる。 最後に貴島をはずみとはいえ、殺してしまう必要があったのか、絢子が自殺する必要があったのか。 そもそも、後東が死ぬ必要はあったのか。 実は絢子は台湾人でもなく、マフィアの愛人でもなく、ましてや覚醒剤の運びもしておらず、ヤクザの親分の娘で、本当はとても身近にいたんだとうオチに話しを運ぶなら、こんな悲劇的ラストはいらなくて、むしろハッピーエンドでもよかったはず。 もっと言うと悲劇的と言うよりも、気障なラスト。 絢子が憎んでた父に献血したとかそういうエピソードも、なんだか鼻白む思いをせずにはいられない。
どうもこの小説はいまいちでした。 あ、お兄さんは素敵でした。
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