妄言読書日記
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※ネタバレしています
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| 2005年05月25日(水) |
『嗤う伊右衛門』(映) |
【監督:蜷川幸雄 日本】
DVDを借りてきました。 蜷川監督の映画って観た事ないですし、舞台も況やおやというわけで、なんとなーく耽美エロスなイメージがありました。 実際はどうなんでしょうね。 でもCMではエロスが強調されているように思えたのであながち間違ってはいないと思うのですが。
配役はいいと思います。 ただやっぱり、小説を映画にすると取捨選択が難しいのか、説明不足が目に付く。 いっそ、又市のお母さんの話なんてのはさっくりカットしても良いと思う。 なくともうまく繋げるだろうし、お岩と伊右衛門の愛をメインにして映画化したんだろう、と思うし。 その代わり、もっと伊藤がどうして伊右衛門やお岩に執着するのかをやった方がわかりやすいと思うんだな。
まーでも、伊藤が狒々爺じゃなくて、椎名桔平なのはきれいすぎる。 桔平ちゃんは演技が上手いんだか下手なんだかよくわからん。 演技と言うか、台詞回し。台詞以外の演技は上手いと思う。 小雪もいつも演技が上手いんだか下手なんだかわからん。 でもこのお岩はよかった。 思いのほか、原作そのままの台詞が使われていて意外でした。言い辛かっただろうなぁ。
お岩の右顔はもっと崩れているイメージで原作を読んだので、私はもっと酷いことになっててもよかった。 その方が凄惨な感じがするし、美しい左側の顔との対比がエロティックだと。 世界の蜷川にそんなこと言うのもなんですが。
代わりというか、長屋の風景は非常に小汚くってよいです。 冒頭の又市と按摩がお棺運んでいる風景とか、その後の小汚い野郎二人の絵とか好きでした。 臭ってきそうなくらい、小汚い。物凄く納得してしまいましたよ。 原作でよく又市が自分を「御行乞食」と言うのですけど、ありゃ確かにそうだな、と。 でも本当は、もう少し若い又市がよかった・・・な。20代のはずなんだけど。 又市は、確かにこうかもしれないな、と思う反面、いやいやなんか違うな、と思ったり、最初から最後まで曖昧でした。 それが私が又市贔屓のせいなのか、実際にいまいちイメージと合っていないのかはよくわかりません。 香川照之は上手いですよ。
役者は本当に良かったと思う。 だけど、どうしても気になるラストシーン。 なんじゃそりゃー!? とツッコミたくもなるでしょう? お岩と伊右衛門の死体が出てくる、その後のどんどんカメラを引く、引いていくと江戸の町が、東京に。 副題がエターナルラブだからか!? 永遠を現したかったのか、蜷川! だからBGMが妙にジャズっぽかった(ぽいのかジャズなのかはわからない)の? 一部前衛的すぎて、わからんセンスの映画でしたが、何度も言うけど配役は良。 とくに按摩の六平さん。 又市を按摩するシーンは、かなり謎というか、なんだこれは・・・でしたが。 唐沢の伊右衛門も不気味でよかったです。
市川崑の金田一シリーズみたいになってたらよかったのになーと本当は思ってます。 舞台でやった方がよさそうな雰囲気でした。やっぱその辺は蜷川だから?
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