妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年07月08日(木) |
『レディ・ジョーカー 下』(小) |
【高村薫 毎日新聞社】
すっかり寝不足です。 でも眠いのに眠れません。 女王はやはり偉大だった・・・ 相変わらず合田さんに夢中すぎて、今回ばかりは公平にこの本の良し悪しは述べられません。 え、いつも偏ってる?そんなことはないと…
読み終わって、ああ記憶をすっかり無くしてしまいたいなぁ。そうしたらもう一度何も知らないままこの本を読んで楽しめるのになぁと思いました。 再読したって面白いことに変わりはありませんけれど、初めて読んだときの興奮とか衝撃は徐々に失われていきますから。 面白かった。それにつきます。 どこが、とか、どう面白いというのは、今の私が説明すると合田さんのことしか話さないのでやめときます。
そんなわけなので、合田さんの話をさせてください。内容の話がなくてすいません。え、いつもですか。そんなことは・・・・
あ、そうそう。帯の話ですが。 「犯罪の愉楽に発狂する男たちの臓腑」 なかなか凄いです。でも発狂してるのは半田だけだと思います。そしてなぜか合田さん…。人よりキレるのが一分早いから(そういう問題ではない) 「合田刑事は地獄を見た 救済はあるのか」 おそらく地獄を見たのは加納さん。合田さんは、あれ、一種の心中やから。
社長の護衛をしている合田さんは、社長秘書っぽく、いつもよりストイックさ3割り増しくらいな様子にくらくらです。秘書プレイ(※捜査です) そしてがっちり、社長の心をつかみました。 ビール美味しそう!!! いいないいな。端正な近衛兵連れて歩く社長。 しかし偽名が田中はなかろう。もっと凝れよ。捜査本部。 合田さんの瞬間記憶能力はいつも凄いなあと思うのですが、刑事はみんなできる、というわけではないですよね・・・?それなりにできるとは思いますけど、脳内で記憶映像6分割してなおかつ、別の時刻の映像と照合してましたよ。コンピューター?
おうちに帰ると、シャツにアイロンかけている義兄・加納さん。 それを見て、
人の衣類にアイロンをかけているこの男は何を考えているのか、自分にとって何者なのかと、そのときもまた、合田はちょっと考えざるを得なかった。
加納さんの行動に一応違和感は感じていた模様。ただ、そこはちょっとじゃなくて、もっとよく考えてやってくれ。加納さんのためにも。 そして覚ってやれ 合田さんはこうして真相に思い至るのを無意識にも先送りしてたのですね。 気の毒な義兄。 そりゃあ 「君は、俺を聖人だと思っていたのか」 とでも言いたくなる。夜な夜なあなたへの妄執で苦しんでいるのに(勝手な妄想…とも言えない) 合田さんは天然で自分本位ですな。 加納さんが珍しく弱音吐いているときも、かーなーり思考は自己中心的でした。もうちょっと労わってあげて。 そして義兄の言うこと聞いてあげて。 この辺の会話は関西弁でしてほしかった。LJはほとんど標準語でしたね。 合田さんの大阪言葉好きなのになぁ。加納さんも好きだと言っていたぞ。
さて、LJで一番感情移入したのは半田でした。 危険人物だとか思わないでください。引かないでー 半田がうらやましかったんだ 四六時中合田さんに思われたい(誰か止めてあげてください) 合田さん、半田のことを考えるか加納さんのことを考えるか、あとはぼうっとしてるかのどれかしかなかった本作。ちょっと大丈夫か?と思うところ多々でしたが、大丈夫じゃなかったですね・・・ どうして転職先が第一次産業ばかり候補なのか。人と関わりたくないのか。 漁師やら農家は似合わないよ。 刑事しかできない男・合田雄一郎。でも、彼に関わる者はみな犯罪に走る。 犯罪を誘発してるよ。 天性の男殺しと言える。
半田はもっていなくて自分にはあるものを必死に探す合田さんに涙が出ます。 か、可哀想な人がココに・・・ しかも結論がヴァイオリンだという。 もっと、もっとあるから!! えっと・・・か、顔・・・・?色気はいらんほどあるよ!!溺愛の義兄とか!!
ええとあと、いろいろあり過ぎてどうしよう。 あ、歯医者の秦野は組長の秦野とはなんの関係もないんでしょうか。 いつもの女王のネーミングへの無頓着さゆえの偶然の重なりでしょうか。 女王はなぜ名前がそんなにかぶりまくるんでしょう。
ああ、さて。 いつも感慨深いラストシーンなのですが、今回ばかりはその直前の合田さんの行動に度肝抜かれて、物井の印象深い目などを脳内で消化できないまま終わってしまいました。ああぁ・・・・ごめんなさい。 病院でよーやく、加納さんの18年越しの思いが「友人以上の感情」であると気がついた合田さん。 すっかり死ぬ気満々だった合田さんに、そりゃあ加納さんも怒るよ。でも加納さんも、もう少しわかりやすく気持ち言葉にしておけばよいのに。合田さんは鈍いんだから(半分くらいわかっててわざとなんだろうけれど。小悪魔め) 頭の中は義兄でいっぱい。半田はどうした、と思わなくもないですが。 そこで義兄にあてた手紙が、
会いたい。貴兄の声が聞きたい。クリスマスイブは空いているか。
空いてる!なんぼでも空いてるぞ!!!(そりゃあんたの話だろ) イブがどうなったんだかが気になりまくりでな・・・。物井翁のあたりは上の空でした。 けれど城井社長が亡くなったのは悲しかった。根来さんも悲しい。
あんなことしでかしておいて、ちゃっかり昇進して警部になった合田さん。 周りの人は合田さんに甘いのか? 仕方ないか。 国際捜査課でどのような仕事をしているのか、一度死に掛けて生まれ変わった彼がどうなってるのか。義兄とはどうなったのか。 気になって読み終わったのに眠れないのでした。
そうそう、それでもやっぱり七係にいて、七係と捜査してる合田さんが好きです。 相棒はお蘭がしっくりくるなぁ。結婚おめでとう。わざわざ見舞いに来てくれるとは。この二人の病室での会話が想像できない。可笑しい。 ペコさんはきてくれなかったんでしょうか。 七係シリーズは単行本にならないのでしょうか。
今年の冬に映画化ですけど、どうなるんでしょうね。主に義兄(そればかりだな) LJも文庫化を待っていたのですが、映画化して、石原軍団が表紙の文庫になっても嫌だなぁと思って、このたび古本屋で購入したのです。 劇場版LJの公式サイトは→http://www.ladyjoker.jp/enter.html 合田さんは20代…。泣けるぜ
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