妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年06月04日(金) |
『弁護士は奇策で勝負する』(小) |
【デヴィッド・ローゼンフェルト 訳:白石朗 文春文庫】
これ、文春文庫だったんだ。表紙で買ったから、創元だとばかり思ってました。 当然、タイトルに惹かれての衝動買いです。 一応、中身も確認しましたよ。 解説をぱらっと見て、粗筋見て、登場人物紹介を見て、主人公の愛犬の名前が二番目に来てたのが購入の決定打でした。
法廷ミステリは初めて読みます。 なんだか屁理屈が多そうなイメージがあるんですよ。 映画も法廷ものは観ないですし。 「逆転裁判」のおかげで興味の幅も広がったなぁとしみじみ思います。 あまり中身に期待してなかったのですが、これがなかなか面白かった。 ただし、帯の「近頃のどぎついミステリにウンザリしてる人、必読です」というのはちょっと違うかもしれません。 ミステリとしては驚くべき展開とか、どんでん返しがあるとか、トリックがあるとかそういうのはないので。
タイトル通り、主人公のアンディは反則まがいの奇策を弄して陪審員をゆさぶる弁護士です。 なるほど君のハッタリを更に周到にした感じです。 そんなわけなので法廷シーンもまったく退屈しません。 映画になったら面白そうです。 アメリカンなミステリらしく、アンディが暴漢に襲われたり、銃撃されたりといった展開もあり、よく動くミステリ。 最初は、アンディの別居中の嫁がいて、調査員の恋人がいるという設定に、えぇーと思いつつ、徐々に彼の性格がわかるにつれ仕方ないかなと思い直しました。 弁護士としてはきわめて真面目な姿勢と、愛犬家な部分で好感度上昇。
法廷シーンは面白かったですが、次はもう少し意地の悪い検事を用意して欲しいところ。 圧倒的に不利ながらも、けっこう法廷全体がアンディ寄りだったので、もう少し苦戦していろいろな奇策を見たかった。 普通のミステリにはない緊張感や、判決が出たときの感動なんてのが新鮮でした。 あ、あと次はもう少しタラ(愛犬)の出番を・・ 続編が翻訳されるのを楽しみにしてます。
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