妄言読書日記
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2003年03月03日(月) 『リアル鬼ごっこ』(小)

【山田悠介 文芸社】

私は、この日記で作品に対する批評批判はしないというマイルールがあるので(書評じゃないですから)、必ず何かしら誉めることにしているのですが、今回ばかりは何を褒めりゃいいんだ。

おそらく、このネタなら、時雨沢恵一だったら、10ページほどでさらりと書上げ、なおかつ印象に残る作品に仕上げてくれそうですし、生きるか死ぬかのサバイバルゲームならば、『バトルロワイヤル』の方がよほど面白い。

そもそも、「各種メディアで話題」というのが罠なのかもしれない。
「絶賛」じゃないところが、絶妙。

この小説、佐藤さん、もしくは身近に親しい佐藤さんがいる人ならば、もうちょっと楽しく読めるかもしれない。

なんだか、いちいち突っ込むのも面倒くさいのですが、馬鹿王が何ゆえに馬鹿王なのかの描写をもっと最初にしておけばいいと思うし、佐藤姓を殲滅するだけなら、改名だっていいだろうし、佐藤さんたちも婿養子に入るなりなんなり、いくらでも抜け道がありそうだ。
だいたい、500万人の佐藤さんを一週間で全員捕らえるというのがねぇ・・・。
一日平均、約72万人。一日と言っても、一時間しかない。
鬼が100万人いるとは言え、なんだか効率が悪い。

鬼ごっこの怖さって、捕まった人が鬼になること、だと思うのです。もっとそこの怖さが生かせる設定にしたらよろしかったのに。
これでは帯の「ホラー」というのは嘘です。

どうせなら、佐藤を国民の半数ほどまで増やして、鬼は佐藤姓以外の人々全員、くらいなら緊迫したんじゃないかと。

そして、設定云々の前に、文章が酷いのですが・・・・。日本語の明らかな誤用が目立ちます。
いらん描写が多すぎます。緊迫感に欠けてます。
私は文章の巧拙には寛容なのですが、これはちょっと酷い。
キャラクターの薄っぺらさとあいまって、溜息しか出ません。
この設定なのに、こんなに読者に緊迫感を与えない文章と言うのもある意味凄いかもしれません。褒めてませんよ。

また、作者が同じ歳なのもなんだか溜息です。
それ以上に、出版社側にもせめて日本語の間違いくらい正しておけと言いたい。

もうこれ以上言うのはやめましょうか・・・はぁ。
ダレン・シャン読もうっと。



蒼子 |MAILHomePage

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