妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2003年02月26日(水) |
『人形式モナリザ』(小) |
【森博嗣 講談社文庫】
森作品と言うのは、読み始めると早いし、いつもなんで読まずに置いておいたのだろうと思うのですが、どうしても毎回読まずに2〜3ヶ月は放置してしまいます。 多分、森氏の刊行ペースが早いからというのと、森作品はどうしても身構えて読んでしまうのですよ。 難しいわけじゃないんですが、何かを試されているような気が常にするのです。
ネタバレ注意です。 この先、森氏のVシリーズをお読みになる予定が無い、読む気はない、という方はお読みになったらよいでしょう。 これから読もうかと少しでも思っている方は、おやめになった方がよろしいでしょう。というか、やめましょう。推理小説でネタバレすることほど無粋はありません。
解説でも書いてありましたように、犯人は早々にめぼしがつきます。 早々というか、プロローグですでにわかります。 今回、犯人探しやその他、事件の詳細を推理することよりも、紅子さんと林、七夏の関係。紫子ちゃんや、練無、保呂草さんたちの微妙な関係なんかが、前回よりも書かれていて、そちらに気を取られてました。 事件、どうでもいいよ、ぐらいに。 紅子さんと林の関係は、説明のしようもない雰囲気です。 ただの元夫婦というわけでもなさそうです。 後半の紅子さんのセリフ。 「私はね・・・。林のためなら息子を殺すことができます」 紅子さんならやれそうなのが怖いです。
今回久しぶりに推理小説を読んでやられたーと思いました。 保呂草さん、またあなたなんですか!! 正確に言うと、またというのもおかしいのですが、やはり、またあなたがキーマンで、しかも犯人ときたか!! いやはや・・・。泥棒だったんですね。 かっこいいです。保呂草さん。泥棒も探偵と同じくらい好きなのです。 紅子さんと、保呂草さんお大人組みの会話にはどきどきしますね。二人とも底が知れないだけに。 保呂草さんと、紫子ちゃんの組み合わせも好きなんですけれどね。
紫子ちゃんといえば、子どもの頃に犬にかまれた話に、思わず涙ぐんだのですが、切なくなりませんか? 紫子ちゃん、好きです。森キャラはあまりお友だちになりたくない人が多いのですが、紫子ちゃんはいいですね。
これからも、保呂草さんの記述形式でこのシリーズが進むんでしょうか。 油断がなりませんね。 本当に久しぶりに意外な思いをさせてもらって、嬉しかったです。
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