妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2003年02月24日(月) |
『三国志3 吉川英治歴史時代文庫35』(小) |
【吉川英治 講談社】
関羽!関羽!!!
何を言い出すのやら。 関羽というより、曹操の関羽への愛の深いこと深いこと。驚きました。 「恋の曹操」という章タイトルから、まさか相手は・・・と思ったら、やはり美髯公でした。 関さん、傾国の美女もかくやというご寵愛ぶり。 なのに、関さん、思うのは兄者のことばかり。そんな様子に嫉妬しちゃう曹操。 殿にそんなにまで愛されといて、それでもあの兄者がいいのだね。関羽よ。なんの取り得もな・・・。いやいや。笑顔が素敵なのですよ。劉備は(見たのかよ)
でも、劉備の関羽への書簡は、関羽でなくとも感動するかもしれません。 桃三兄弟いいよね。 張飛も活躍したし。と思ったらその後すぐに、また失敗やらかして、兄者に「張飛の言葉など聞いたばかりに」と嘆息されてましたけれど。兄者もさりげなく酷い人だ。
そうそう、吉川版劉備の聖人君子ぶりが嫌だと言う話もちらほら聞くのですが、兄者は腹黒いですよ。 今回なんてことにそう思いましたよ。 あんた、曹操のなにがそんなに不満なのよ、とちょっと思ってしまいます。 暢気に畑を耕してみたり、雷にわざと驚いてみたり、その裏で謀反計画。 曹操の恩恵にあずかっていながらも! 黒い、黒いよ兄者!!
エンショウ(漢字を出すのが面倒だ)に曹操と内通しているのではないかと疑われた所、弁解する劉備の描写。
彼の言葉は至極平凡で、とうとうの弁でもなく、なんらの機智もないが、ただけれんや駆け引きがない。純朴と真面目だけである。内心はともかく、人にはどうしてもそう見える。
純朴と生真面目さは、計算なんですか!!兄者!! それぐらいでなければ、奸雄曹操様には対抗できないのかもしれませんけれど・・・。 兄者はこうしてみると、本当になんの才能もないんですよね。ただ、人徳がある。 曹操様も言っている、自分と劉備を比べて関羽ほどの忠臣がいないということにのみ劣ると。 兄者という人が(劉備って言えよ)だんだんわからなくなってまいりました。
今回の名シーンはやはり、目に矢を受けた夏候惇(吉川版では、カコウジュンと読む)が、両親から授かったものだからとその目を食べてしまう場面ですね。 でも、セリフは蒼天の方が好きだな。
あとは、陳宮を切るときに涙する曹操様。 本当に士を愛する人なんだと。呂布は惜しくなかったらしい。
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