妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2003年02月09日(日) |
『三国志1 吉川英治歴史時代文庫33』(小)『レッド・ドラゴン』(映) |
【吉川英治 講談社】
蒼天航路と平行して読んでいる為、おのずと比べてしまいますが、さすがと言うべきか、面白いです。 よく、吉川版で曹操に惚れたーという話しを聞くのですが、蒼天とはまた違った魅力のある曹操様です。 まだ1巻ということで、鼻持ちならない高慢さが目に付きながらも、その才能に投資したいと思わせる華のある曹操様です。 何しろ描写が、「白皙の美丈夫」ですから。 蒼天の曹操は、一片の脆弱さもない威風堂々とした貫禄が、若かりし頃からありましたけれど、こちらは若いせいか貫禄はまだまだな感じ。 けれど、曹操に限って言えば、私は吉川版のほうが好きかも知れません。 蒼天もかっこよいのですが、いかんせん完璧すぎて隙がない。
で、吉川版です。 ほうほうの体で敗走し、自決まで決意する曹操様にときめいてしまいました。 ああ、やっぱりこの人も敗北することもあったんだなぁと。 曹洪に抱えられて逃げる曹操様など、蒼天ではちょっと想像できません。 これから、乱世の奸雄がどうなっていくのか楽しみ。
曹操さまのことばかり語ってしまいました。 吉川版の主役は、劉備です。 これまた、品行方正孝行者の好青年で、もっともギャップに悩みました。 これが本来メジャーな劉備なんですけれどね。 母が強くて、あんたが立ち上がった方がいいんじゃないのか?とちょっぴり思ったり。
張飛がこんなに可愛いとは思いませんでしたよ。 いつも酒に流され大暴れし、劉備や関羽に取り押さえられ、あげく、不貞腐れてみたり、やけ酒を飲もうにも、あんまり飲むと、また劉備や関羽に怒られるからと、こそこそ隠れて飲んでいたりする辺りが、もう可愛いくてならない。 劉備に怒られるんじゃなくて、叱られているし。 そして、叱られて出てきた言葉が、 「でも、でも」 って。子どもか。あんたは。
この、桃園三兄弟が好きであります。 時代がいかに宮本武蔵であっても、私は三国志なのです。
+++++++++ 【監督:ブレット・ラトナー】
私は何しろ、一番好きな映画といえば『羊たちの沈黙』というくらいに、好きな作品なのです。 2番以下はちょっと順序がつけられません。
まあ、結論から言えば『羊たちの沈黙』には及びません。『ハンニバル』も然り。 冒頭、数十分のレクター博士が捕まるまでが、私としては一番興味深かったです。 なるほどなるほど。 普通はあそこで、死ぬものなのだけれど死なないのがレクター博士。不死身ですか?
殺人者・レッドドラゴンに焦点を当てすぎたのが良くないように思います。 私はもっと、ウィル刑事と博士の息詰まるような心理戦が観たかった・・・!! もっと、二人の決して離れられない確執が観たかったの! 博士の見せ場をもっと!
ウィル刑事役、エドワード・ノートンのいまいち冴えないお疲れ顔がとても好きでした。褒めてますよ。 かっこいいですし。最後なんてね。彼もまた不死身ですか? 一度も笑顔を見なかったような気がするのですが。 そんなたびれ気味の彼がとても良い。 それだけに、羊たち〜のクラリスに比べて、明らかに出番が少ないのが惜しい。
いよいよ、原作の方も読んでみようと思います。
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