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2004年08月10日(火)
3つ数えろ!(3)











そして7月
某日深夜1時45分
隣りの部屋からケンカの大声、暴れまわる音
「助けて!はなして!」と部屋を飛び出し叫ぶ声
10分経っても戻る気配がないので110番に電話するべきか思案してると
他に電話したひとがいたらしく55分警察到着、隣りのドアを叩く
分かる範囲で状況説明
鍵がかかっているのをいぶかしんで
ドアを開けようとしたり窓から中を確認しようとしたり

4時までアパートの前には真っ赤なライトが回っていた

朝には無事に
戻ってきていたみたいだが


翌日、不動産屋ではなくはじめて大家さんに電話する
どう考えていて、今後どうするつもりなのかと
大家さんのご兄弟が出たが
昨夜のことは全く知らなかったようだ
今までのことを説明する
深夜、今度は男が大声で泣いている
彼女に泣いて謝っているようだった

そのまた翌日
大家さんの妹さんから電話をいただく
「あの人たちがそんなに迷惑をかけていたなんて全く知りませんでした
ほんとにとんでもないことです。明日は不動産屋が休みですけど明後日すぐにでも
連絡をとって必ずなんとかいたしますので。ええもちろんなにがなんでも退去させますから」

大家さんは何も知らなかった
不動産屋は「心配かけまいと」去年の5月の苦情以来連絡しておらず
何度も繰り返しの事態になってるなど、夢にも思わなかったと言う

こういう時
あやまってもらっても
ちっとも嬉しくなんてないもので
相手も違うし
ただ座り込むみたいに
ほっとした、という感じ

何度もあやまられる度に
何度も、いえいえ安心しましたと繰り返した


そのまた翌日の明後日
大家さん本人から電話をいただいて
7月末まで、遅くても8月15日までには退去させると約束してもらった


そしていま隣人のふたりは
引越しの準備をしているところ
いつにもましてさわがしくしている

病気が、例えば
水虫が治ったら治ったで今度はちょっとだけ寂しい気持ちもあるような、とよく言うけど
試しにそんな気持ちで走り出すトラックを
「隣り」の部屋の窓から見送ってみる

でもやっぱり治ったから
言えることだけど