さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2004年09月19日(日) 光にゃん氏訳 源氏物語 葵11

光にゃん氏訳 源氏物語 葵11

少し辛い声が穏やかになったので一時楽になったと思い 宮様が薬湯を
持ってこさせたので女房に抱き起こされた それからまもなくして
子が生まれた 源氏は非常にうれしく思った

そのとき他の人間に移してあった物の怪が悔しがって騒ぎ出した
まだ後産も済ませてないのだから心配である
良人も両親も神仏に数え切れない願文を立てたせいからか
後産も終えて全てが無事に終わった

叡山の座主(ざず) 誰彼といった高僧たちが得意げに汗を拭き帰る
大勢の心配してた人達は安心して もう大丈夫と思った
修法などは 再び行わせているが新しい命が誕生したことの喜びが
大きくて 左大臣家は今までとは違って幸せに満たされていた
院をはじめ親王方 高官たちから 誕生祝の珍しい贈り物が毎夜運ばれた
男の子が誕生したので その儀式もことさら華やかである

六条の御息所は そんな様子を聞いても 不快でおもしろくなかった
夫人は とても危ないと聞いていたのに なぜ安産なのだろうと思う
自分が自分でなかった数日を思い いろいろ考えながら見てみると
着ていたお召し物に 僧が焚く護摩の香が沁みついていた
不思議に思い 髪を洗ったり 着物を変えても効果が無い

御息所は自分の身でありながら 世間の言う生霊説の否定できないことを
悲しんだ 他人が噂しどう思うか そう思うと誰にも相談できない
いよいよ この恋を諦めないといけなくなったと思うとまた苦しくなった


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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