くじら浜
 夢使い







誕生   2016年02月25日(木)

この宇宙に
立つ







2015   2015年01月02日(金)

小雪のまう新春
ゆきと交差する鳩の群
鳩はさらにカラスたちとすれ違い
杜をめざす

急降下したすずめは
まっすぐに伸びた電線に
等間隔に整列した

アスファルトに落ちた枯葉たちは
走りさる車の風にふかれて
渦をまきながら空をめざす

あの鳩たちは
ぶじに杜に帰れたのだろうか







うごめいている   2014年06月05日(木)

夢には二種類ある

ひとつは物語だけがただ淡々と進行していく夢

そしてもうひとつは
ある事象に対して感情だけがうごめいている夢








井戸の中 8   2014年04月01日(火)

とても長い深い階段をおりていった。

闇と対峙し、闇に抱かれ、ふたりは闇に溶けていく。
かすかに風のにおいがした。

いまならどこだって行けると思った。そこは峠から下りたくじら浜かもしれないし、ひとりで登ったおでもり山かもしれないし、夢を話したがじゅまるの上なのかもしれない。君の行きたいとこはどこなんだい。わたしはわたしを知っている人が誰もいないとおいとおいとこに行きたいな。だったらぼくがそこに連れてってあげるよ。

ふたりはさらに深く闇に溶けていった。







三年目の春   2014年03月11日(火)

絶望の果てに咲くさくら
ひらひらと一瞬を舞った
もう鳴かないなと思った蝉が
夏の終わりにようやく鳴いた







井戸の中 7   2014年02月17日(月)

わたしともだちいないんだ と、つぶやいたナナの声が、つながった手から静かにぼくの心臓に突きささる。
ナナがいつもひとりでいることは、ぼくも知っていた。
ぼくは言葉を思いっきり呑みこみ、ナナの手をしっかり握りしめた。

たしかに闇の中を歩いているのだが、ぼくにはナナの顔がはっきりと確認でき、つながったふたつの手は光を浴びていた。

ともだちなんかいらないよ ぼくは呑みこんだ言葉をナナに投げかけた。

ぼくたちの行く先にまだ光は見えなかった。

闇は深くつづき、それでもふたりはその先に歩いていかなければならなかった。







小さくなった故郷   2014年01月16日(木)

龍郷の家 庭のソテツ よこにある小川と古木の渡橋
家から小学校までの距離 小学校の横を流れる川の幅
その川にかかる橋の長さ くじら浜 白い砂 
転がっている貝殻 電波塔の建った畑 その前の小路
父ちゃんの墓 大熊のをばの家 緑公園 ベンチ
その後ろのガジュマルの背の高さ 千代田湯
あまおと 新川の流れ 親子びっきゃ 山羊島
海の広さ 空の距離 樹のにおい 霧のふかさ 今井崎
長雲峠 安木屋場の屋根 てるゆきの家 志村商店
母ちゃんの手のひら その後ろにそびえるおでもり山
ゆうじろ峠 まやっくゎの声 空港までのみちのり
母ちゃんの背中 その背中におんぶされた赤ちゃんの顔
飛行機の音 おしよせる白い波

そのすべてがちいさくなっていた。






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