くじら浜
 夢使い







切り絵   2012年08月04日(土)

真っ青な空にもくもくと湧く入道雲

闇夜にぽっかりと浮く大きな満月

まるでそこだけが
すっぽりと抜きとった切り絵のよう








国道15号線   2012年08月02日(木)

品川から川崎方面へまっすぐ直進した

環状7号線の上にかかる大きな陸橋をこえた頃
目前の空がにわかに焼けてきた

右方向に陸橋を下ると
ぼくは左のウインカーを点滅させて
車を路肩に寄せた







半月   2012年07月11日(水)

午後11時18分に見た月は

まっぷたつに割れて

海のうえに浮かんでいた







井戸の中 4   2012年07月09日(月)

石は小さな宇宙だ。

ふたりは放たれた光の中で抱き合った

石は放たれた光だ。

光は垂直に井戸の底を目指す

加速がつくほどにゆっくりと
ふたりは光の中で抱き合った







星の数   2012年07月01日(日)

3日間歩いてようやくたどり着いた
ここは星の数がいちばん多い場所

10メートルの木造のつり橋を渡り終えると
ほっと一息をついて
適当なところにテントを張った

一眠りしてテントから出ると
いつの間にかそこは漆黒の闇に包まれていた

ぼくは寝そべって
闇に浮く一粒の光たちを数えていった







刻んでいく   2012年06月22日(金)

この道は果てしなく遠く
深く痛く
その先に何があるのか

盲目のぼくは君の背を追い
壊れた言葉を探しながら君は歩く

ゆっくりと

その歩みは
また増えたおじいちゃんの皺に
深く刻まれてゆく








   2012年06月20日(水)

ちいさなサッカーボールが
海を越えて帰ってきた
潮をたっぷり吸い光を浴びて少年の手へ

たくさんの手が
また増えたおばあちゃんの顔の皺をなでた

また咲いてくれた桜の木の下
君の手のひらに桜が舞った







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