冒険記録日誌
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2021年07月31日(土) サキの忘れ物(津村 記久子/新潮社)

 この本は津村記久子さんという方の小説の短編集です。
 本といえば、ゲームブックくらいしか知らない私なので、この方の本を買うのは初めてですが、津村さんは次のような受賞歴があるそうです。

2005年「君は永遠にそいつらより若い」で太宰治賞受賞
2008年「ミュージック・プレス・ユー!!」で野間文芸新人賞受賞
2009年「ポトスライムの船」で芥川賞受賞
2011年「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞受賞
2013年「給水塔と亀」で川端康成文学賞受賞
2016年「この世にたやすい仕事はない」で芸術選奨新人賞受賞
2017年「浮遊霊ブラジル」で紫式部文学賞受賞
2019年「ディス・イズ・ザ・ディ」でサッカー本大賞受賞

 うーむ、こんなに賞の種類があったこと自体が知らなかったですが、なかなかの実力を持つ作家のようです。
 ところで無理やりにでもゲームブックネタで書く、この冒険記録日誌で、この本の紹介をなぜするのかというと、短編の中の一編「真夜中をさまようゲームブック」がタイトル通りにゲームブック仕立てだからです。
 元は2015年10月号の美術手帖という雑誌に掲載されていたもので、感想は雑誌掲載時に読んで、既に2016年5月22日の日記に書いているので詳しくはそちらをどうぞ。他のサイトの情報によると、「変わった小説を書いてください」という依頼があったのでゲームブックを書いたとか。
 家の鍵をなくした主人公が、ただ自宅の周辺をウロウロするだけの話しで、面白いゲームブックとして成立させている作者の腕が凄いですね。
 大人向けかなと思いつつも、みーちゃんにも読み聞かせで挑戦させてみましたが、挿絵がないにもかかわらず興味津々で聞いてくれ、一度ゲームオーバーになっただけで、あっさり最終エンドの一つにたどり着きました。ゲルググのフィギュア絡みの展開にならなかったのが残念といえば残念。
 他の小説の方も、ひと通り読ませてもらいましたが、こちらは明快なオチや結末のある話しは少なく、物語の世界の雰囲気を楽しむのかなという感想でした。人によって好き嫌いが分かれそうな作風ですが、基本的な文章が旨いというか美しいというか、その点だけでも良い評価をされる気がします。
 ゲームブックファンとしては、2020年発売と新しい本で、短編のうえ、ゲームブックを知らない人にも読めるように書かれているので、人にゲームブックはどんなのか紹介をするときに勧めるといい本かもです。
 どこかの編集者が津村さんに、またゲームブックの執筆を依頼される日を願いつつ、皆さんも一冊いかがですか。


2021年07月25日(日) ジンカ博士の異次元空間(エドワードパッカード/講談社)

 今回も低年齢層向けの単純な分岐小説タイプながら、シリーズ後半になるほど内容がマニアックになる気がする講談社のアドベンチャーゲームブックシリーズの紹介です。
 本作はその第14巻です。この巻は「人間爆弾デミトリウス」と並んでシリーズトップクラスの変な内容ではないでしょうか。
 裏表紙のストーリー紹介では、次のように書かれています。

※※※※※※
 ぼくの家のとなりに、カール・ジンカという博士が越してきた。
 数学の天才だといううわさだ。 ある日、博士の研究室に案内してもらった。円形のへやのまん中には、バスケットボール大の球が設置された台があり、そのわきには赤と緑のレバーがついている。
 完成したばかりのハイポレーザーという機械で、異次元空間へ旅すること ができるという。「赤いレバーがそのスイッチだ。 」博士はそういって、いきなりレバーを引いた。一瞬にして、博士はかげもかたちもなくなってしまった。ぼくもレバーを引くべきだろうか……。
※※※※※※

 このストーリー紹介に一体どんな話しになるのだろうと、変な期待が膨らんでしまい、ついに本書を入手してしまいました。久しぶりにゲームブックで高い買い物をしたものです。
 プレイした感想から結論を言うと、主人公的にはレバーは引かずに現在の世界に留まったほうが良い選択です。なぜなら引いて異次元に行ってしまうと、元の世界にはほぼ戻れないから。
 引かない場合は、この世のすべてが虚無に消えていってしまう、ネバーエンディングストーリーみたいな怖いバッドエンドもありますが、うまくすればジンカ博士からガラス瓶に閉じ込めた“超空間”をプレゼントされ、後で大金を手に入れるという一番のハッピーエンドになります。しかし、超空間を閉じ込める入れ物が、ただのガラス瓶というのがなんともプリミティブで面白い。
 しかし、本書の本当の面白さを味わいたいなら、やはりレバーを引くべきでしょう。元々の世界とそっくりだけど、なにかが違うパラレルワールドみたいな世界に行って、そこからさらにいろんな展開に広がっていきます。
 ところで、普通に進めてSF的結末を迎えるのも良いのですが、なんといっても最高なのは、メタフィクションな展開が続くルートです。
 進み方によっては、エドワードパッカード氏の書いた他ゲームブック作品「地底のブラックホール」や「天才コンピュータAI32」にも登場したニーラ・ビバルディ博士が登場するのですが、彼女は自分たちが本の登場人物だと自覚しているのです。「あなたは主人公だからまだいいわ。1・2ページごとに行動を選ぶことができるのだから」なんて語ったりしてくれます。そして主人公がピンチになる展開の中には、「そうだ、この本を閉じればいいんだ!」と言って終了するエンド。あげくには、作者のエドワードパッカード氏本人まで登場。作者と会ってから6次元に行くという選択肢を選ぶと、作者には6次元を描く力がないと言われてエンド。作者本人が登場するとは、まるでスティーヴンキングのダークタワーシリーズみたいです。
 いや、もうメチャクチャな作品です。メチャクチャなんですが、そこがこの作品の魅力なんだと思いますねぇ。


2021年07月24日(土) バーダーホフ城救出作戦(ジェイリーボールド/講談社)

 低年齢層向けの単純な分岐小説タイプながら、日本では全20巻まで発売して、シリーズ後半になるほど内容がマニアックになる気がする講談社のアドベンチャーゲームブックシリーズ。
 本作はその第17巻ですので、マニアック度もなかなか。今回はナチスドイツの捕虜になった同士を救出する任務を受けた特殊部隊のリーダーが主人公です。
 シリーズの他作品が、「主人公の少年=読者本人そのもの」と思わせていたのに対し、本作は成人の精鋭部隊に所属する軍人が主人公という遠い存在なのは、ちょっと珍しい気がします。
 特殊部隊といっても部下を含めたった3人で、敵地に潜入するミッション。
 ゲシュタポ(ドイツの秘密警察)達の職務質問をとぼけてやり過ごそうとするとか、仲間の裏切りがあるとか、目的地にたどり着いたと思ったら同士は別の場所に移送されていたといった、さまざまな困難が主人公を襲います。
 移動ルートの選択はもとより、ストーリー的な内容が分岐することも多いのですが、当初の使命達成に向けて突き進む点は同じで、このシリーズの他作品によくある「分岐しすぎて、物語の目的やらが、わけがわからなくなる。」という問題はありませんでした。
 エンディングは「同士を無事救出して安全圏まで脱出した」という完全ハッピーエンドもあれば、「救出には成功した!あとは脱出する必要があるが、君ならきっとできるだろう」というところで終わるハッピー(打ち切り?)エンドまで、もちろんバッドエンドも含めるとバリエーションは豊富です。
 まとめて言うと、有名な戦争小説に「ナヴァロンの要塞」という名作がありますが、ミッションは違えど、それを子ども向けにゲームブック化した感じ。なのでその手の内容に興味があれば、問題なく楽しめると思います。


2021年07月18日(日) みーちゃんのぼーけん記録日誌(双葉文庫編)

 みーちゃんがさらに挑戦したゲームブックは、「トラブルくらぶ事件ファイル オリーブたちのアブない放課後」(2003年02月25日の冒険記録日誌参照)でした。
 これはゲームブックにしては、登場人物が多いのにも関わらず、全員個性的でキャラがたっています。ヘタなライトノベルよりも小説として面白い作品なので、女の子にはおすすめ。ペパーミントゲームブックレーベルで唯一続編が出ただけのことがある作品です。
 久しぶりの長編ゲームブックのうえ、フラグチェックもちゃんと記入する必要がある作品ですが、みーちゃんはちゃんとルール通りにプレイ。中盤と最終盤の2回ばかりゲームオーバーを迎えた事にもめげず、クリアした後は嬉しそうでした。
 この作品には、学園一のハンサムでお金持ちで性格も良くて実はちょっと悪い魅力もあるという葵様と、一見乱暴で性格に難があってひねくれ者だけど実は正義漢が強くてなんだかんだ優しい裕二くんという、主人公の菜摘が気になる2人の男の子がいるのですが、みーちゃんは葵様派だそうです。

 続いては、「ルパン三世7謀略の九龍コネクション」(2004年07月17日の冒険記録日誌参照)に挑戦。
 ルパンもののゲームブックでは、最もクリアが容易なのでみーちゃんにも丁度いい難易度です。主人公はルパンではなく、次元か五右衛門のどちらかを選んでゲームを開始します。
 五右衛門を選んだみーちゃんは、自分くらいの小さな女の子に振り回される五右衛門に大笑い。しかし、銭形が登場して唐突のバットエンド。続いて次元でプレイしてみましたが、この作者の悪いクセともいえる、どっちらけのギャグエンディングに突入してしまい、「はてなはてなはてな?」と、みーちゃんは納得していない様子で、ここでプレイ終了。

 そして最後は「桃太郎電鉄 めざせ!大社長」です。
 これは最近遊んだ任天堂スイッチ版の「桃太郎電鉄」が面白かったようで、ゲームブック版があると知ってリクエストしてきたものです。
 原作では司会を務める桃太郎が、ゲームブック版では主人公で、ライバルとなる桃太郎ブラックXを相手に、桃鉄勝負をするという内容です。
 今回は難易度の調整のために、戦闘関係は全て勝ったことにして進め、能力値の管理を省略しました。そもそも何故に桃鉄で戦闘があるのか謎ですが。
 戦闘を抜いても所持金と入手した物件管理、そしてアイテムとフラグのチェックはゲームの進行に必要なので、みーちゃんにはなかなか大変です。
 特に所持金管理は、今のみーちゃんには算数の勉強みたいなもので、物件を買ったり、臨時収入が発生する都度、必死に計算していました。他にも決算で物件数×200万円とか、スリの銀次が現れて所持金半分とかの計算もあります。ふーむ、ゲームブックは教育にもいいんだな。
 みーちゃんは、オープニングのギャグ(2008年07月18日の冒険記録日誌参照)がツボだったらしく、作品に完全に引き込まれた様子。
 道中で怪人を退治したり、あげくには巨大ロボと戦う展開に、「これ桃鉄と違う!」と叫びながらも最後まで楽しくプレイしていました。
 特に原作ゲームでは苦手だったスリの銀次が、ゲームブックでは最後に改心して助けてくれる展開には感激したそうです。

 さてはて、みーちゃんは、次は何のゲームブックをするのでしょうか。次回をお楽しみに〜。


2021年07月17日(土) みーちゃんのぼーけん記録日誌(時をこえてオンリーユー編)

 寝る前のお父さんの読み聞かせでゲームブックを遊ぶ、小さなみーちゃんが次に挑戦したのは、天空の城ラピュタをゲームブックにした「天界の迷宮」(2009年11月15日の冒険記録日誌参照)でした。
 しかし、ラピュタ内の迷宮をウロウロ歩いているうちに、大したイベントも起こらないままハッピーエンドを迎えたので、みーちゃん的には物足りなかったようです。

 続いて挑戦したのは、「時をこえてオンリーユー」(2008年07月24日の冒険記録日誌参照)でした。これ、女性向けだから評価されないのは仕方ないんだけど、隠れた名作だと思うんですよね。
 お婿様探しに未来からきた少女が、3人の男の子のいずれかと結ばれるのが目的のいわゆる恋愛シュミレーションゲームブックです。
 まずは、ストーリー的に本命と思われる渚くんENDを狙うものの、同じく渚くんを狙うライバルの娘によって、未来へ強制送還されバットエンド。うん、これ父さんも最初のプレイでなったわ。
 その後も渚くん狙いを2回失敗し、大地くん狙いに変更。彼はゲームスタート時のアイテムのペンダント選びが攻略のキーとなるキャラで、最初は大地を死なせてしまい未亡人END。その後も2・3回の失敗を得て、やっと大地とのハッピーエンドクリア!続いて、渚くんもついに攻略!
 しかし、大地くんと渚くんは、ハッピーエンドが複数あるので、それでお終いではないんだな。というわけでさらに挑戦は続くのでした。
 そのうち読み返しが面倒になり、読んでいると「ハイ飛ばして〜、ここも飛ばして〜」と言われながらノベルゲームのスキップ機能を使っているような読み聞かせになりました。
 そして最後の悟くんの攻略が、一番難しかった。悟くんだけは、終盤までに彼から告白されるというフラグがないとハッピーエンドにならないのです。
 実は悟くんに告白される展開は、大地くんを探すシーンで間違った選択肢を選ばないと進めないという、発見しにくいルートにあるので、いくらやっても見つからないようでした。ヒントを挙げてやっとクリア。
 最後の方はみーちゃんも「貸して!」と本を奪って自分で読んでました。
 クリアして「私も気になる男の子いるんだよね。父さんには言わないけど」とか言い出すみーちゃん。大丈夫、いつまでもお父さんが害虫から守ってあげるからね。


2021年07月11日(日) 霊界遊行 きみは死後の次元へと旅立つ(コズミック・トリガー/日本文藝社)

 国会図書館で読んだ作品。
 タイトルから想像できますけど、ガチのオカルトもののゲームブックです。
 なにがガチかというと、丹波哲郎の「大霊界」をモチーフにしたのじゃないかと思わせる内容で、「天界層」「霊界層」という用語だの、「ここは生きている時に出来た業を、ここで払うための(霊界)村で、清め終わった人間は次のステージに行ける」みたいな、本気でこの手の世界に興味がある人の学習入門書といった内容なのです。終盤で、清めが済んだ女の子が空に向かって笑顔で飛び立つ所なんか、このゲームのクライマックスシーンだ、と思うと同時に、カルト宗教的な何か見ちゃいけないものを見た気になってきました。
 主人公は、間違って霊界にやってきた人間で、「生き死にをくり返す無数の霊たちを見学し、その経験を現世に持ち帰って役に立ててくれ」と通信霊だかの存在に頼まれるのがプロローグ。
 無数の人たちが群がって、ただひたすらセックスに溺れる世界など、異様な世界を見物していきます。
 ゲームブックファンと違う層を狙っているのか、そんなに難しくはないです。途中で仲間が出来て一時、一緒に行動するなど、単なるオカルト教本ではなく、多少はストーリーにエンタメ色があるのが救い。自分は無事エンディングを迎えましたが、主人公はこの後、現実世界でどこかの教祖様にでもなるしかない気がします。
 ああ、主人公に幸あれ。

 なお、同時に日本文藝社から発売されたゲームブック「謎の縄文連合 超古代、東北の地に宇宙人が飛来した!?」も国会図書館の閉館時間が迫る中、ちょっとだけ読んでみました。
 こちらも「東日流外三郡誌」という怪しい古資料を基にした作品のようですが、序盤はどこかの部族の長として生活し、敵対勢力と政略結婚をするか?敵の長の弟を部下兼人質として預かったものの、スパイ活動をしているようだ。殺すか?みたいな、意外とちゃんとした世界でちゃんとした選択肢が続いていました。
 後半は部族の復興のため、宇宙人の残した遺産を求めて単身旅立つみたいな展開に、たぶんなっているだろうと思いますが、この程度のトンデモ設定なら普通のゲームブックでもよくあるので、まあ問題なく楽しめそうです。
 今後、自分が続きを読む機会があるかどうかというと、ちょっと難しい気もしますがね。


2021年07月10日(土) 恐怖館の亡霊 他(ミルトンヒラリー/偕成社)

 表紙が怖い児童向けホラーゲームブック。
 これは各巻の内容は独立しているもののシリーズものでして、ゲームブックブームの時に全4巻まで日本で発売されています。作者は全て、ミルトン・ヒラリーという方です。
 本シリーズ作品は、ゲームブック収集家にとっては、かなりレアの部類じゃないかと思います。山口プリン的にレア度10点満点でいえば、9点くらいか。
 話はそれますが、レア度10点の作品(例えば東宝事業部出版の「その歌声を消せ!」とか)は、国会図書館でも所蔵されていませんし、私も実物は見たことはありません。自分的にレア度8点の作品でも、たまに所蔵されてないことがあるので、国会図書館も万能ではないとは思っていますけどね。レア度9点の作品なら、以前数冊は持っていましたが、ゲームブックの交換やお礼などで手放してしまい、所蔵品としては今は8点が最高です。
 例としてあげると、朝日ソノラマのゲームブックは、レーベル初期作品はレア度6点、後期作品はレア度7・8点、レーベル中「サンフランシスコ誘拐事件」のみ9点というところでしょうか。

 などと、本当にどうでもい話をした後に、本書の紹介に入ります。
 このように本作はマニア垂涎の作品でして、私は以前、国立国会図書館国際子ども図書館で読みました。
 シリーズに共通しているのは、主人公(読者そのもの)の少年もしくは少女が、妙な悪夢的な世界に引き込まれてしまうというもので、ゲームブックとしては単純な分岐小説タイプです。
 この悪夢の国のアリスみたいな世界から抜け出すのが目的なのですが、ストーリーの分岐は多い分、すぐにゲームオーバーになってしまう。悪霊にとりつかれてENDとかいうより、えっここで終わり?という感じの終わり方。ちゃんとした終わり方もあるのですが、ここがこのシリーズの不満点でしたね。
 でも、挿絵も含めて作品にはホラーとして良い雰囲気がただよっていて、及第点のシリーズでした。
 残念ながら当時読みながら内容をいろいろメモした紙を紛失してしまいましたので、あまり細かいことが書けません。後はシリーズ各巻の感想と紹介だけしておきます。うろ覚え状態なので、内容が間違っていたらごめんね。

一巻「恐怖館の亡霊」

 泊まったホテルは呪われたホテルだった?
 一見普通のホテルに泊まった主人公は、悪夢的世界とチャンネルがあったのか、あるタイミングから急に数々の心霊現象に襲われるという内容。
 扉一つ開ければ、目をむき出した子どもが睨んでいるといった具合ですが、駐車場とか外に出ると、夢から覚めたように現実世界に戻って終了というENDが多かった。
 イラストはシリーズ中で一番怖いかもしれない。

二巻「呪われた幽霊街」

 西部劇というか、アメリカの西部開拓時代みたいな町に突然やってきた主人公が、当時の荒くれ者たちに出会う話し。町全体が淀んだ空気みたいな雰囲気で、登場人物たちも恐らく亡霊で不気味な世界観です。
 凄腕のガンマンとか、いろいろ荒くれ者たちが登場する度に名前が出ていたけど、メモがないから紹介できない。きっと、知っている人は知っている有名人揃いのはずです。
 日本なら、江戸幕末の町にやってきて、沖田総司とか高杉晋作とか、岡田以蔵とかの霊に会う感じなんだろうなぁ。

三巻「悪魔の遊園地」

 悪魔が支配するような夜の遊園地に迷い込んでしまう主人公が経験する冒険。
 ほぼ無人の遊園地は、乗り物に乗るたびに不条理なことが発生します。出来事にあまり現実味がなくて、まさに悪夢の中を彷徨う雰囲気です。
 この遊園地に登場するピエロは、無言で何を考えているのかわからず怖いのですが、実はここでは唯一の味方。彼に導かれて、ベストエンディングまで進むシーンが好きで、シリーズの中では一番のお気に入りでした。

四巻「恐竜博物館の魔獣」

 この巻だけ、閲覧時間がなくなって、あまり読めていません。
 学校かなにかの行事で、博物館に来たものの、主人公だけ取り残されて夜を迎える、すると展示物の原始人の人形が実際に動いていたりと、博物館の中は異空間になっていて、というナイトミュージアムみたいな話。
 一回しかプレイできず、その時はゲーム序盤でトイレに逃げ込んで、そのままじっとしていると無事に朝を迎えるという、あっけないエンディングでした。きっとゲームを進めると、ティラノサウルスの展示とかあるんだろうなー。


2021年07月04日(日) マルサの女 国税局査察部珍道中(高木成一/双葉文庫)

 有名映画をファミコンゲーム化したものをゲームブック化したという、ちょっとややこしいゲームブック。
 映画やファミコン版の事は知らないので、ゲームブックのことだけで感想を書きますが、ストーリーは、ある脱税疑惑のある実業家の家を家宅捜索して、証拠を発見するというもの。主人公は映画の主人公のやり手女性査察官ではなく、その部下にあたる新米査察官ということになっています。
 ゲーム的には大きな屋敷の中を、双方向システムで自由に動き回って、ヒントを見つけては謎を解いていき、最終目的の脱税の証拠(多額の現金もしくは金塊など)を見つけるというものです。
 この屋敷は間取りは変わっているし、地下に溶鉱炉はあるし、使用人たちは変人揃いだし、そんなへんちくりんな所もあってか、査察官というピリピリしたイメージとは違って、どことなくのんびりとした雰囲気で捜査は行われていきます。実際、ゲームオーバーは存在しないので、ゲームとしても気楽に進めることができます。ゲームシステムとしては、入手したアイテムや謎解きのための数字などをメモしていくだけで簡単です。
 とはいっても、最近ゲームブックは、メモなしで遊べる軽めのものばかり遊んでいた私は、この本にある屋敷の見取り図をコンビニでコピーして書き込んでいくという手間をかけ、久しぶりにがっつりとゲームブックで遊んだ気持ちでした。(汗)
 謎解きはすごく難しいというわけではないのですが、自分のプレイでは、必要なアイテムであるカセットテープを入手するための赤いボタンを押す回数がどうしてもわからず、仕方なくここだけ入手したことにしてクリアしました。クリア後にページを総ざらいして、どこにその手がかりがあったかを探したのですが、これが見つからない。誰か知っている人がいたら教えてくださいな。
 あと、クリアに必要な謎解きばかりでなく、怪しげなうめき声がする錠のかかった部屋、鍵をやっと見つけたと思えば、中はただのトイレで用を足している人がいるだけって笑える脱線ネタなんかがあるところがいい。本書カバー下の表紙にヒントが隠されてあるという変わった仕掛けや、中盤ではどんでん返し的な展開もあったりして、単調にならない工夫もされています。
 終盤は、証拠を押さえられて海外へ逃亡しようとする実業家を追いかけるアクション映画みたいな展開になりますが、ここでも特にゲームオーバーというものはありません。好きに選択して多彩な展開を楽しめばいいという、クリアしたプレイヤーに対するボーナスステージみたいな内容で楽しかったです。

 作者は後書きで宝さがしゲームと呼んでいましたが、「脱税の証拠」が「出口の鍵」であれば、今で言う脱出ゲームとなるわけで、あまり古さを感じませんでした。今はSCRAPが脱出ゲームブックを出していますが、それとはまた違う魅力があるというか(もっともSCRAPの方はあまり知らないのですが)、こんなまったりした作品もありだなぁと思いました。


2021年07月03日(土) トロール牙峠戦争(スティーブ・ジャクソン/新紀元社)

 これはゲームブックじゃないのですけど、ファイティングファンタジーシリーズを遊んだことがある人には有名なゲームブック作家、スティーブ・ジャクソンが執筆した、タイタンの世界が舞台の冒険ファンタジー小説なんです。
 30年くらい前から存在したのに、日本では未訳でずっと読めなかった、この幻の小説が今年日本で発売されたのですから、当時のゲームブック少年だった大人たちも胸をときめかせて待った方も多いのではないでしょうか。
 この小説は内容も豪華。
 「バルサスの要塞」に登場したボス“バルサス・ダイア”と、「モンスター誕生」に登場したボス“ザラダン・マー”が戦争をおっぱじめるのです。後半には、火吹き山の魔法使いこと“オルドラン・ザゴール”も登場して、悪魔の三人揃い踏み!
 そんな状況の中、人間の国サラモニスの命運を任されたチャッダ・ダークメインという人間もこの戦争に絡んできて〜という三つ巴の戦いなんですね。関連するゲームブックを遊んだ人ならニヤニヤすること間違いなしです。
 私は正直なところ、もうすぐ発売される「火吹山の魔法使いふたたび」も含めたファイティングファンタジーゲームブックセットよりも、読むのが楽しみでしたからね。
 最近のライトノベルなファンタジー小説に慣れた身には、新鮮な一陣の風のように感じて、購入早々あっという間に読んでしまいました。

 それで小説のネタバレを避けるように感想を書こうとすると、これがなかなか難しい。で、これから読む人も多いと思って、そこは避けて当たり障りのない事だけ書くことにします。
 最初に読んで一つ思ったのは、悪魔たちの戦争と、人間側の冒険が最初はバラバラに進行するので、一本の小説としてはまとまりがなく感じた事。しかし、個々のシーンは良く出来ていて、総合的には面白かった。
 例えるなら、自分にとっては、あの名作ファンタジー小説「指輪物語」というのは、一つの小説としては冗長でつまらないとも思えるのですが、世界観が描き込まれて描写もよくできているので、お気に入りのシーンとか何度も読み返したくなるんですよね。そんな感じ。

 他には、「なんでザゴールはあんな弱点を不用心においてあるんだろう」とか、「ザラダン・マーもあんなもろい弱点を作ってどうするんだ」とか、ゲームブックを読んだときはそれほど気にされずに済むけど、小説として見ると不自然さを感じるような点がありました。もっともゲームブックの方を知っていると、そこもニヤニヤしながら読めるところではありますが。
 まあ、これは小説には無関係ですが、ゲームブックのときでも、バルサス・ダイアはあんな窓を設置するな、とか思ったりもするね。
 悪魔の3人の中では、イラストも含めてザゴールが一番好きな私にとっては、今回のザゴールの役どころはなかなか美味しいんじゃないかと喜んでいます。結果的に漁夫の利みたいに一番得しているし。そもそもゲームブックでも、他の2人に比べて、サゴールは特に悪さをしていないんだよな。「火吹山の魔法使いふたたび」では、また違うのだろうか。

 意外であり、嬉しかったのは、善の魔法使いヤズトロモが登場したこと。彼はリビングストン作品でしか登場させないものだと思っていました。
 発売予定のファイティングファンタジーゲームブックセットの中身は、「火吹き山の魔法使い」「バルサスの要塞」「盗賊都市」「モンスター誕生」「火吹山の魔法使いふたたび」の5冊です。
 この小説の方にヤズトロモが登場したことにより、このセットの「盗賊都市」を「運命の森」に差し替えれば、小説に関連する主要ゲームブックが全て揃うようになると思いました。小説にはポート・ブラックサンドは登場しないので、「盗賊都市」だけ小説とは無関係。まあ、「運命の森」より、セット唯一のシティアドベンチャーでもあり傑作とされる「盗賊都市」を選んだ編集の気持ちはとてもわかるのですが、小説と合わせて考えると惜しい気もしなくはないです。

 後書きでは人間側の主人公、チャッダ・ダークメインが登場する作品は他にもあるそうで、それらが日本で日の目を見ることができるか、また今後の新しいゲームブックの発売はどうなるか、それは本書やゲームブックセットの売れ行き次第だそうですので、良かったらこの小説を是非購入してみてください。
 この日記を読んで興味をひかれた方なら、きっと満足できることでしょう。
 


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