冒険記録日誌
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2014年10月13日(月) もしもソーサリーがライトノベルだったら その10

 無事にカーレの街に入ったはあなた達は、手近な食堂に入って今後の計画を立てることにした。カーレの街ではいくら用心してもし過ぎることはあるまい。
 「それで?これからどうするんだ、ご主人様」
 大皿に入っている棘棘獣の臓物煮込みを切り分け、あなたの皿にも装いながら、アリアンナは聞いてきた。なんだかんだ言いつつ、召使の設定は続けるつもりらしい。しゃべり方は乱暴な気もするが。
 ジャンも傍から口をはさむ。
 「何言ってるの?この町は単なる通過点だから、この街の北門から出ていくだけでしょ」
 「あたいはてめぇには聞いてねぇんだ。入ってきた時と違って、バグランドの荒れ地に通じている北門は普段閉め切られているんだ。簡単に出られるわけないだろ」
 上半身がタコみたいな料理人が、濁って得体の知れない液体の入ったカップをあなた達に置き、またカウンターに戻っていくのを待ってからあなたは話した。
 「この街で一泊はするつもりだから、北門まで急ぐことはない。だから、ガザムーンさんの頼みを聞いて、すぐにわかるようならロータグとかいう学者を訪ねてみようかと考えてる。やっぱり俺はお人よしかな?」
 ミニマイトのジャンとアリアンナは、北門の警備がどうなっているかを言い争っていて、すでにあなたの話しを聞いていなかった。

 食堂を出たあなた達は、ひとまず人の往来が活発な場所を目指して歩き続けた。
 広場に向かう路地で半オークの子どもたちが何人も群がって、金貨をせがんでくる。あなたが金貨を数枚めぐむと、次から次へと子どもたちが手を伸ばして、あなたはあっという間に背負い袋ごと、荷物をはがされてしまった。
 あなたは慌てて、逃げていく子ども達を魔法を使って引き留めようとしたが、ジャンが傍にいるのを思い出して青ざめる。
 あなたは絶望的な気持ちで「助けて、リーブラ様!」と内心叫んだが、願いも空しく、子ども達はそのまま路地をバラバラに逃げていく。
 アリアンナとジャンは呆れ果てた表情で、ひん剥かれたあなたを見ていた。

 続く


2014年10月12日(日) もしもソーサリーがライトノベルだったら その9

 前回までのあらすじ。
 強力な王たちの冠をカクハバードのマンパン砦に住む支配する魔法少女が「ただの王冠には興味ありません」と奪ってしまった。このままでは旧世界は唯我独尊な彼女の手によって混沌に満ちてしまうだろう。
 あなたは王冠を取り戻すべくアナランドを旅立った。旅の途中に出会った少女アリアンナと(迷惑なだけだが)妖精ジャンを仲間に迎える。
 マンティコアを退治し、スヴィンの村を救ったあなたは、シャムタンティの山地を越え、カーレの街へさしかかろうとしていた。


 スヴィンの村で一晩の休息をしたあなた達は、感謝の言葉をのべ旅の祝福を祈ってくれる村人達を後にして、カーレの街に向った。
 あなたがこの街に来たことはないが、その噂はよく聞いていた。川沿いにできた港町として栄えているという歴史よりも有名なのは、靴紐一本をめぐって殺人がおこると云われるほどのその治安の悪さだ。この街にマンパンの魔王の部下がいないとしても、危険な街だというのは間違いないが、地理的にマンパンを目指す以上はこの街を避けるのは不可能だから仕方ない。今まで以上に気をつけるしかないだろう。
 丸一日歩き、日が沈みかけてきた頃になって、ようやくカーレの外観が見えてきた。ものものしい外壁で防護されている。
 さらに近づいてみると堅牢な門が街の入り口に設置され、何人もの門番が立って入場する人々を厳しく検問しているのが見え、あなたは意外に思った。しかし、このような犯罪都市でも支配者階級は存在し、ある種の秩序は存在すると聞いたことはあるので不思議ではないのかもしれない。
 カーレの貴族がマンパンの魔王と結託しているとまでは考えにくいが、万が一でも捕まると厄介だ。捕まらないにしても素直にアナランドから来たと申告して、敵に自分の動きを知らせる危険は避けたほうがいいとあなたは判断した。
 ジャンはむしろここで締め出されて残ってくれた方が助かるが、勝手に空を飛んで塀を越えるだろう。
 「で、どうすんだ。お人よし。そのまま門にいって通らせてださいというのか?」
 アリアンナが聞いてくる。試しにいいアイデアはないかと逆に質問したところ、「おまえの旅だろうが」と鼻を鳴らして正論を返されてしまった。
 「あたいはただの暇つぶしについてきた付き添い人だ。簡単な協力くらいはしてやってもいいが、それくらいのことは自分で考えな」
 あなたは少し迷ったが、背嚢から、なるべく見栄えのする着替えの服を取り出して着替えた、続いて魔法に使う小道具の中から金の装身具や、真珠の指輪など飾りになるものを選び出して身に着ける。カーレの貴族に会いに来た裕福な友人という設定だ。自分の簡単な変装が完了したころアリアンナが声をかけてきた。
 「いうとおりにしたけどさ。これでいいのか?」
 アリアンナには最初に出会ったときに着ていた家庭的な姿になっていた。おつきの女中というわけである。あなたでさえ最初は騙されたくらいだ。口の汚さがなんだが黙っていればただの美少女ではあるし、なんとか誤魔化せるだろう。
 「口が汚いとはなんだ。せっかく、おまえのくだらない案に協力してやっているのにさ!いっそ呪ってやろうか?いっとくがあたい呪いの言葉は本物だぞ」
 歩きながらもアリアンナはぶつぶつ言っていたが、そろそろ門番に声が聞こえてくるだろう。
 「落ち着きなさい。役に入るんだよ、わかったかね?アリアンナ」
 「……かしこまりました。ご主人様」
 こちらに目を留めた門番をチラリと見て、アリアンナはうつむきながら返事をする。もっと笑顔で!門番にも愛想良く!とあなたがさらに小声で注文を付け加えると、多少引きつり気味だったがニッコリと笑う。
 笑顔のまま「後で殺す」と小さくつぶやくのが聞こえたが、あなたは気づかないふりをした。
 果たして変装の効果があったのかはよくわからないが、検問は無事に通過でき、あなた達はカーレの街へ入ったのであった。


続く


2014年10月05日(日) ゲームブックのかほり

 私は古本屋に行くのが大好きですが、それは掘り出し物のゲームブックや小説などを探し出すためで、古本自体が特別好きだというわけではありません。
 例えば、Amazonで古本と新品の両方が買える状態であれば、少々高くても新品の方を購入することが多いです。つまり美品が大好き。
 (それでも先日ヤフオクで、なかなかレアなゲームブック「コナミワイワイワールド」のカバー無しを安く落札しました。もしカバー付きの出品だったら相当のプレミア価格になり、入手は不可能だったでしょう。レアものについてはこんな出品があるとありがたいです。)

 今年になってこだわって購入したゲームブックは、「謎の村雨城〜不思議時代の旅〜」(2002年5月31日の冒険記録日誌参照)です。
 この作品については、昔の感想では散々なことを書いていますが、それでも私がゲームブックを好きになったキッカケの一つともいえる(2005年6月23日の冒険記録日誌参照)作品なのです。
 当時の本は一度手放してしまい、そのあと古本屋で発掘して買い戻したのですが、思い入れがある作品だけに、少々本の状態が悪いのが気になっていました。双葉のゲームブックは子ども向けなので、記録用紙を切り取って遊んだり、本に書き込みをしていることが多く、美品は案外少ないのです。
 そんなわけでネットショップで安いのを見つけてまた買い直したものの、今度は背割れがあって散々。もう一度買っても1冊目と同じ程度の状態。
 さすがに普段はここまで本の状態にこだわったことはないのですが、もはや意地です。今度は相場より高めですが、状態の良いヤフオクの出品を見つけて落札しました。
 これでなんと4冊目の入手。意地になってやっちまったなー、とは少々思ったものの、届いた本を開いてビックリ。どっかの本屋の倉庫でタイムカプセルのように眠っていたかのような、想像以上の美品でした。なんと本を包んでいるビニール袋を開けると、新品の本のインクの匂いがしたのです。
 この匂いを嗅いだ瞬間、本屋のゲームブックコーナーの前に立ち、沢山のゲームブックの中から、少ない小遣いを使ってどれを買おうか悩んでいた少年時代の光景が浮かんできました。ゲームブックが、というより本を買う楽しみを最も感じていた時です。
 漫画とか文庫本とか、創土社のゲームブックとか、最近の新刊の本を買ってもこんな連想はしませんでした。当時の安いインクならではの匂いなのでしょうか。いずれにせよ、この匂いだけで買う価値はあります。ハァハァハァハァハァ。
 ここまで書いて、自分がゲームブックに関して、変態の領域に入り込んでいるのに気が付いてしまいました。ビニール袋に密封したまま保管し、時々匂いを嗅いだりして楽しんだらより完璧でしょうが、ドン引きした閲覧者がこのページに二度とこなくなること請け合いなので、普通に本棚にしまうことにします。

 こんな私が今、直面する最大の問題は本棚の整理です。本棚から溢れたゲームブックや小説や漫画を間引くという試練がまちかまえています。
 つらい作業です。「捨てる整理整頓術」なんてクソ食らえですよ。
 とりあえず、3冊の「謎の村雨城〜不思議時代の旅〜」は交換用にするか処分しよ。


2014年10月03日(金) 君は牛を二頭持っている

 ネットジョークといえば、2008年9月11日の冒険記録日誌でも「タイタンの危険な都市ガイドライン」というネタでやりましたが、やはりジュナさんのところで昔あった「君は牛を二頭持っている」ネタが最高にステキです。
 そこで眠れぬ秋の夜長に他にも考えてみました。ジュナさん、勝手にネタをお借りしてすいません。
 こんなでも思いつくのに、かなり時間がかかりました。いずれにせよ、わかるひとにしかわからないネタですがね。
 皆様も他の作品でも考えてみてはどうでしょうか。結構、頭の体操になると思いますよ。
 

(参考)
ちょこないと日記@ジュナ;;
 用意するのは,紙と鉛筆,そして二頭の牛です
 http://d.hatena.ne.jp/junalow/20070306/1173193864



1.火吹山の魔法使い
 魔法使いは牛を二頭持っている。君が牛を丸焼きにすると、彼は打ちひしがれた小男になってしまった。

2.バルサスの要塞
 君は牛を二頭持っている。二頭は親子だが、そのうち親牛がいなくなり、子牛は肥ったようだ。その子牛も日射病で亡くなってしまった。

3.運命の森
 君の探している牛は二頭に分かれてしまっているようだ。

4.さまよえる宇宙船
 君は沢山の牛を持っているが、真の道を選べばどの牛も出番はなかった。

5.盗賊都市
 君は牛を三頭持っている。すまんすまん、必要な牛は二頭だけじゃったよ。

6.死のワナの地下迷宮
 君は牛を二頭持っている。牛が一頭足りないので君は迷宮を出られないようだ。

7.トカゲ王の島
 トカゲ王を倒した君が群衆の歓呼に答えていると、頭上から牛がのしかかった!

8.サソリ沼の迷路
 彼の弱点は彼自身の牛だったのだ。

9.雪の魔女の洞窟
 君は牛を二頭持っている。一頭とは離れ離れになり、一頭は呪いで衰弱して死ぬ。

10.地獄の館
 玄関の扉を開くと二頭の牛がうつろな目で君を見つめていた。恐怖点を3増やす。

11.死神の首飾り
 君の牛二頭は殺せない。君の牧場に連れ帰ってくれないと、あらゆる生命が息絶えるだろう。

12.宇宙の暗殺者
 「危険絶大」の警告を無視して君が二頭の牛に触ったとたん、牛達が暴走を始めて牧場は壊滅する。

13.フリーウェイの戦士
 君は牛を二頭持っている。だがエサがなくなり牛達は動いてくれない。

14.恐怖の神殿
 君は二頭の牛を求めて懸命に探すが、どうしても「ウ死」を発見してしまう。

15.宇宙の連邦捜査官
 「死ぬ潮時だよ、連邦捜査官」二頭の牛は君に向かって言う。

16.海賊船バンシー号
 君は二頭の牛を持ってきた。君が牛を見せると、相手は嘲笑いながら牛の群れを見せ、君はうなだれる。

17.サイボーグを倒せ
 君は二頭の牛を持っている。しかし英雄点が失われるので食肉にはできない。

18.電脳破壊作戦
 君は牛を二頭持っている。
 北アルカディア人は君の牛を力ずくで奪い取る。
 南アルカディア人は牛を奪い取りはしないが、機嫌を損ねると君を闘牛場に放り込む。
 中央アルカディア人は君の注意をそらすスキに牛を奪うが、最高機密をわずか9桁のパスワードで解除できるようにしてしまう、自身がスキだらけの存在である。

19.深海の悪魔
 君は二頭の牛を呼び出した。しかし、数がたりずに海賊達に八つ裂きにされてしまう。

20.サムライの剣
 君はニ頭の牛を失ってしまった。この不名誉に君は切腹をすることで侍の面子を保つ。

21.迷宮探検競技
 君は牛を11頭持っている。老魔法使いは嘘つきの胸を閃光で撃ち抜く。

22.ロボット コマンドゥ
 君は牛を二頭持っている。頑丈で融通のきく牛を選ぶか、超高速の牛を選ぶか?

23.仮面の破壊者
 君は牛だった。敵は六頭の牛を欲しがっていたのだ。

24.モンスター誕生
 Q:君は牛を二頭持っている。道具なしでどうやって連れて行く?
 A:胃袋にしまってから歩けばいいのさ。へっへっ。

25.ナイトメア キャッスル
 君は地下牢で牛二頭を助けようとする。君は狂牛病に感染してしまう。

26.甦る妖術使い
 君は牛を二頭連れている。一つでも道の選択を誤ると、君も牛も牧場も滅んでしまう。正しくても運が良くないとやはり滅んでしまう。


その他1.君ならどうする食糧問題
 君は牛を二頭持っている。しかし国民の飢えを満たすには不足なようだ。

その他2.ギリシャ神話アドベンチャーゲームシリーズ
 ああ、英雄アルテウスよ。牛はニ頭いたのだ。恥辱点を1負って戦闘を続けよ。

その他3.トンネルズ&トロールズ
 君が入り口の鐘を鳴らすと二頭の牛が突進してきた。牛達のモンスターレートは68だ。

その他4.混沌の渦
 君が薄暗い部屋に入るや、狂えるスコットランド牛、ジョック・モー・フォーサムはすさまじい吠え声をあげて突進してくる。

その他5.モンスターの逆襲
 黒いヒスイがはじけると君は二頭の牛になっていた。

 二頭の牛 殺傷力・三  防御力・八  耐久力・九
 特殊能力:突進攻撃。最初のラウンドに限り殺傷力が五となる。

その他6.フォボス内乱
 それでも思い出すたびに、涙がでるのはなぜなのだろう。たった二頭の、たかが牛のために。

その他7.四人のキング
 彼はこの牛を最後に売り払うと牧畜業から撤退した。彼の名は社会思想社という。


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