* * * 
憐凪



 Destination



 もう彼是 どのくらい前になるのだろうか

 或る日 歩道を歩いていたら
 高さ10〜20cm ほどの 歩道から
 車道に 落ちてしまった

 もう今では そんな高さじゃなくなった
 きっと どんな定規も 測れない高さなのだろう




 或る日 落ちた車道に 小さな水溜りが
 キミの靴を 濡らしてしまった

 水溜りに 溜まっていた水は
 この夏 アルコールという液体の水に変わった

 長靴を履いていても
 長靴の中に 水が入ってくるようになった

 この水溜りが 水溜りのままで止(とど)まっていてくれたらいい
 その内に 池になり
 ヘドロの溜まった 沼になり
 背の丈の届かない 湖になり
 
 何時の日か 川のように流れ出し
 海になってしまうようで
 
 キミは 恐る恐る アルコールと言う液体を 喉に流し込む


 アナタは 気づいているのだろうか


 愛犬は 気にしている様子で 吠えてくる









 アルコールの海の波にのまれていく キミの姿が見える気がする



 








 

2004年09月24日(金)



 Bridge



  助手席に 身体を滑り込ませ
  溜息ひとつ

  川に架かる橋を 渡る時
  グラウンドに 目をやる
  もう すっかり 習慣化しちゃってる

  もう見ることのない
  遠い県に 越してしまった
  ボーダーコーリーを ついつい目が探す
  無駄なコトだって 知りつつも・・・

  こうして 川向こうに 渡ると
  一気に 緑が増える
  夏草が 身の丈を伸ばしているからじゃなく
  山が多いせい


主治医という名の人と 私は こうして 時々話す
唯一 誰にも打ち明けられない事を 打ち明ける相手の筈なのに

 口早に言葉を発する 主治医の口から
 聞こえてきた言葉
 すべては 聞き取れなかった
 今 思えば聞き取れてなくってよかった

  ねぇドクター なんて言ったの?
  後者の方って 言ったよね

  聞き違いならいい



「工夫する」ってなあに?
どうやって 工夫すれば 良くなるのかを 私が知っていたのなら
アナタは必要ないよ 
ねぇドクター そうでしょう?

プライベートな悩みや 一人苦悩している内容を
打ち明けるってコトは そういう意味じゃなかったのでしょうか


 帰途に着く
 助手席に座って まず出たのは
 ホッとした という意味の溜息

  

  早く あの橋向こうの家に 戻りたい



 ・・・こんなんで


  明日 私は笑うことができるのかな。。。。。
  
  











2004年09月16日(木)



 あの一瞬(トキ)


    鳥たちが行き交う この蒼い空
    凪いだ波
    太陽(ヒカリ)射す 海面

    キミに 身体抱えられたまま
    眺めてる 海と空の境
    水平線







 
    「きれいだね」
    「まるで 写真のようだね」って
    キミの腕の中 キミに そう言った
    キミの腕が ギュッって
    こめる力 強くなった
    「そうだね」の 返事だね

    あの頃 あの一瞬(トキ)の
    キミの腕の中に 戻りたいな
    あの景色の中に居た
    私(ジブン)に いたい

 

    細く小さく 四角い空 仰ぎ見る
    雲が 流れていく
    照りつける太陽
    肌の温度が 上がっていく
    ヒラヒラと 棚引く Tシャツ
    箱のような庭
    滴り落ちる
    汗の粒が 目に入る

    此処から あの海までは
    あまりにも 遠すぎて
    比例するかのように
    あの時(トキ)も 遠去かっていくよ



    あの頃 あの一瞬(トキ)は
    遥か遠く もう手が届かない
    あの景色の中に居た
    私(ジブン)が 遠いよ・・・・・・・





    キミは 今 どうしているのかな













2004年09月12日(日)



 lonely


 たとえば キミが寂しい と言うのなら
 ずっと 傍らにいるよ 隣に居るから
 
 たとえば キミが 空が見えない と言うのなら
 空を切り取って 見せてあげるよ キミの元へ持っていって

 たとえば キミが もう正気でいられない と言うのなら
 たくさんの 空想を 持っていくよ
 キミは 其処に 思い通りの 未来を 描けばいい

 たとえば キミの涙が止まらない と言うのなら
 大きなタオルと じょうごを すぐに 持っていくよ
 ボクの涙と比べれば
 ホラ まだまだ少ないよ

 こころに翼をつけて
 自由に 飛び回ってご覧
 見えなかったモノが 見えてくるでしょう?

 ボクの闇は 見なくっていいよ
 キミの笑顔が 見たいから

 自由に 飛び回って
 空を 空(クウ)を この大宇宙を
 下から 見ててあげるから 
  安心して
   飛べばいい・・・・・・・















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2004年09月09日(木)



 棘 (トゲ)




 後ろから来た人々が ボクを 追い越してく
 誰も彼もが ボクを 追い越していく
 颯爽と 清々しい汗を 滴らせながら 追い越していく

 どんなに 必死に 一歩一歩 走っても
 仮令ば、走っているつもりが
 歩いているにしても
 どんどんどんどん 追い越されてく

 そして 
 誰も ボクを 振り返らない・・・

 後ろを 振り返ると ボクの後ろには もう誰も居ない
 
 また 前を 向いた
 みんなの 遠ざかっていく姿が
          どんどん どんどん 小さくなっていく

 

 ・・・ もう 誰一人 
          背中すら 見えない


 ボクは 進んでいるの?
 立ち止まっているの?

 まるで マラソンの 最後方を 走っている ランナーが
 棄権しようか 歩んででも 完走しようか
 自問自答して 自分自身と 闘っているミタイに・・・

 長月の始めに
 背中に ヤケに冷たい汗が 滴っていく


 走る足の裏に 棘が 刺さっているかのよう
 
 でも それは 足の裏の棘なんかじゃない
 
    “こころ の 中に 刺さった 棘”


 

 このヤッカイな “棘”が ヤケに痛んで 気になる
 夏の終わりに  立ち竦む ボクの 姿 ・・・・・・・















 ィチォゥ:↑の文中の「長月」とは、九月のコト

2004年09月05日(日)



 happiness


 幸せって どういうコトですか?

 キミは 今 何処にいますか?
 おんなじ場所に いつまでも 立ち止まってばかりいられないよね

 ボクが 幸せってモノを感じていたのは
 恋人と 頭の上から 足の先まで 舐めあうように
 愛し合っていた日々だけなのかも知れない・・・

 今 ボクは 誰と 愛し合っているのですか
 愛するって 言の葉は 違う形に変わってしまったよ

 失ったモノが どれだけあると 判ってるの?
 
 風が 肌を刺すように 冷たい日も
 花たちが 咲きほころんでる日も
 憂鬱にさせるのが 得意な 雨雫の日も
 ジリジリと照らされて 湘南の海が 懐かしくなる日にも
 木々が 緑から 黄や赤になる日も
 同じ場所に 佇んでいる気がするよ

 ・・そう もう 長いこと。。。

 

 ホラ 微かに吹く 秋の風が 
 ボクの背中を そぉっと 押してくれているよ
 
 I hope you'll be very happy.
 幸せになって。って 。。。

 踏み出せないで グルグルと同じ処に居るのは
 ボクの 勇気がないせいだね

 なかなか 踏み出せない一歩
 いったい 何時になったなら 踏み出せるのかと
 ボクの 右足に 問うてみる











 

 

 

2004年09月01日(水)
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