ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2003年10月03日(金) トゥルウトゥエンティトゥ
何もかもおしまいだ。
さよなら、笠木。
わたしは駆け出した。出口に向かって。周囲の人々の異様なものを見るような目。それでもいいんだ。
笠木が叫ぶ。
「サキ、待って。どうしたの」
わたしが答える。
「もう駄目なの。全部全部駄目なの」
そんなことないよ、という声が遠くで聞こえる。笠木の声?それともわたしの甘えから来る空耳?わからない。
腕を誰かにつかまれた。振り返ると、笠木が。
「ねぇ、待って。どうしたの」
「だって、あたし、チヨコじゃないもの。あたしでしかないもの」
「そんなの全然かまわないよ。大丈夫」
だって、と聞こえる。
「だって、チヨコはもういないもの」
え?死んだ?
「死んだかどうかはわからないわ。でもある日手紙が来て、わたしはいなくなります。さようなら、とだけ書いてあったわ。それっきりよ。だからマクドナルドで見たときは奇跡かと思った」
それで、チヨコとあたしどっちがどっちだかわかってるの?
「もちろんわかってるわ。サキはサキよ。チヨコじゃないわ」
笠木、手を離して。
「逃げない?」
もう逃げない。ううん、逃げられない。
異様な光景だったと思う。
わたしたちは結局何にものらずに帰ってきてしまった。


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