ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年05月31日(金) 僕は笑える。冗談が云える
あと少し。あと少しなんだ。

立ち上がらなきゃ、でもあしくびが痛いよ。

あたしのことば 君のもとへ
届かぬ戯言 空の中に
きれぎれになって さよならは
もいちどだけだよと 宙を舞う

2002年05月30日(木) コサインCがわらう
今日一日目が終わりました。
応援メールくれた人、ありがとう。
君のため、という言葉はいつだって美しくない。

けれどわたしは君のためにがんばります。

試験がおわったらディズニーランドと買い物と、あと病院です。楽しみだなー。

2002年05月26日(日) 錠剤に戻して。カプセルは嫌だ。
もうすぐテストです。







死にそうだ、といいながらわたしは英単語を覚えます。

それでいいのです。

分散和音ちりぢりに あたしの頭、 ぐるぐるまわって。

2002年05月22日(水) 右手のフランス
しばらくの間、さようなら

あなたの笑顔が花束になりますように

2002年05月21日(火) あ。エクスクラメーション×弐クレッシェンド
彼女の言葉を、わたしは受け取れたんだろうか。
彼女は、今、どうしてるんだろうか。

彼女は、しあわせだろうか。


ぐるぐるぐるぐる。

2002年05月20日(月) 嘘つき鴉月の石を食べたの。
 あんまり雨が続いたもんだから、あたしたちは、溶けて、ぐずぐずになって、まるでゼリーのようになり、それでも手を繋いで、何とか立っている。



 ハロー、と鴉が云った。
「俺はアメリカ人なんだ。勝者だぜ」
白々しい口調でそういうと、鴉は飛んでいった。

 あたしはもう一度鴉に、ハロー、と云って欲しいと思った。

 つらいつらいといいながらげらげら笑い、彼女は走り去った。

 彼は全てを拒絶するように見せかけて、全てに受け入れられようと必死だった。
 ドゥノットの命令文。ドゥノットビー。

 それではさようなら。

 もうきっとずっと会えない人がいる。
 わたしは悲しくて、でもなけもせず、一人、命令文を考えていた。

 彼女にわたしの最後の言葉は、届いただろうか。








 さようなら、なんて言葉は空回り、ちりぢり、そしてまたさようなら

2002年05月19日(日) 命令形であたしに釘を打って。
 習得してもいないような言語で思いが伝わるなんて思うな。

 アイラブユーだなんて云うな。
 愛していても云うな。

 英語なんかでごまかさないで、ちゃんと云ってよ。

 世界中の言葉を身にまとって走りたい金髪の草原を。

2002年05月18日(土) カナシミとの出会い
 今日久しぶりにKに会った。Kは相変わらずいい奴だった。
 わたしはKが好きだ。たいせつなともだちだと思う。
 新宿南口は相変わらず他人ばかりいて、あそこに行くといつも哀しくなるのだけれど、今日はとなりにKがいた。でも、なんにも変わらなかった。

 苦しいぐらいにわたしたちは幼くて、さびしいぐらいに外は人ばかりだった。

 もうすぐ中間試験なのに全然勉強したくない。
 しりたいことなんて、無い。

 泣きたいことも、ない。

 わたしの親友はKです。Kというイニシャルなのです。
 そしてわたしが尊敬する人もKです。
 そして、わたしが心底嫌いな人も、Kです。

 哀しい、もKです。気持ちい、もKです。苦しい、もKです。こころ、もKです。

 
 Kに囲まれて、生きてゆきます。


2002年05月17日(金) カモンカモン
 今日も、そう、今日も、わたしは生きています。心臓ドキドキ息すーはー。
 それだけで、そう、決め付けています。

2002年05月16日(木) 存在の耐えられない塩辛さ
 人差し指と親指で軽く挟んだプレッツェルはほど良くしょっぱくて、カリカリとしていて、なんとなく、哀しくなった。

 MRさん、有り難う。わたしは時折感じる感謝の気持ちのために、この息苦しい世の中で生きているのだと思います。

 言葉は常に、溢れ出します。止め処も無く生まれた言葉たちは、大抵ふわふわと漂って、何時の間にか消えてしまいます。それをキャッチするのはちょっと大変で、だからわたしは日記を書くのが面倒くさい、などと吐かすのです。

 なんだかサイト名を変えたくなってきた。
 だって最近、知りたくないことばかりある。
 でも明るく生きたいので、今日からこのサイトの名前は
「日曜日にリンス」になります。
 よろしく。
 マンガからとったあたり、オタクっぽいですね。うわうわ。
「目を覚ますと夜中で、もうみんなねむっていた。外をみると雨あがりのアスファルトがキラキラかがやいていた。歩くとアスファルトの鏡にリンスの香りが映るような気がしました」
 この文章が凄く凄く凄く好きです。

2002年05月14日(火) 羽を無くした女と羽を得た女。
 モリノ、羽をなくし、うなだれてしかしスキップで家に帰る。
 羽といってもそれは天使のようなふわふわのものでも、鳥のような空を飛べるものでもなかった。喩えて言うなら蝉のそれのような、一センチほどの小さく薄い、少しすけた、上質のシルクのような羽を、モリノはなくした。
 モリノにとって、羽をは自分自身の象徴だった。人と違うのなんて、それぐらいだった。羽がある。飛べないけど羽がある。それがモリノのささやかな、けれど大変重要な支えだった。
 自分が生きている価値なんてないんじゃないのだろうか、彼女はそう考えて、陸橋の上でぼんやりしていた。すぐ下は国道で、トラックやら乗用車やらが行き場所のない孤独を紛らわすかのように猛スピードで行き交っている。
 と、一人の女がモリノの肩を叩いた。
「ねぇ、あなた、どうしたの?なんだか今にも飛び降りそうな顔をしてるわよ」
 は、と見透かされてモリノは恥らった。
「なにかあったのなら、話してみたら?ほら、知らない人だから、噂をするってこともないし」
 モリノは小さく、本当に小さくため息をつくと、
「大切なものを失ったんです」
と、告げた。すると長身の女がふいに残酷な目をして、
「生きてる価値、無くなっちゃった?」
と訊ねたのでモリノは恐怖感を感じて、首を振って逃げ出そうとした、が、女の長い腕がモリノの細い手首を掴んだ。
「ねぇ、死んじゃったら?」
 モリノは逃げた。走って走って走った。
 と、体がふうわりと浮いた。モリノの背中には美しい大きな羽が生えていた。
 モリノはこんなんじゃ恥ずかしくて生きていけない、と、羽を毟った。
 血は出なかった。
「それ、あたしに頂戴」
と、女はいい、半ば強引にモリノの羽を手にいれると、大きくジャンプをしてまっさかさまに落ちていった。

2002年05月13日(月) くるりくるりと入れ替わる信号の色と君の目の色
最近ここの日記を書くのがとても面倒くさい。

今日は病院に行った。
大好きな人に会った。
スパゲッティを食べた。
本を買った。
本を読んで笑った。
大いに笑った。
笑いすぎた。
そうやって笑える自分が好きだ。
臆面も無く自分が好きだ、と書ける自分が嫌いだ。
そして自分をきらいな自分が好きだ。
将来のことを少しずつ考え始めた。
やりたいことは決まっている。それをどうやるかだ。
グレープフルーツを食べた。
CDを買った。
聞いた。
良かった。

泣いた。

疲れた。

自分には結構信頼できる友人というものがいるということがわかった。
そういう人に嘘をつきつづけることもまた大変であると、わかった。

死にたいと思った。
生きたいと思った。
行ったことないけど、ハワイに行ったら解決するようなきがする。
蒼い青の空。白い白の砂浜。ざああ、ざあという波の音と寝息が重なる。

会いたい人ができた。













会いたい人は、これを今読んでくれている、あなたです。

なんてオチにしたら、みんな困るだろうな、と思った。
たくさんの人が困るのをみたい、と思った。

2002年05月12日(日) かがやきのしっぽ
食べて食べて食べてもっと大きくならなくちゃ。ヨリノが泣きながら言った。
ヨリノというのは架空の人物です。
わたしもまた、そうです。



グッバイグンナイ

2002年05月11日(土) さよならの末端
 あんまり長い間手を繋いでいたから、わたしたちの手のひらはすっかりくっついてしまった。
「ねぇ、ずっとずっと一緒だよね。この手を、離したりなんかしないよね」
 リョウは三日に一度はそうわたしに訊ねる。その度わたしは、うんうんと、阿呆のように頷くのだ。わたしの左手と、リョウの右手。どうやったら離れていくのだろう。別に不便ではないから、いいのだけれど。
 二人で手を繋いだまま絵の具みたいな緑色の街路樹の下を歩いていた。と、わたしたちの間を、一人の男が自転車で駆け抜けていった。わたしたちは咄嗟に手を高く上げて、その男を通した。いきなりやったもんだから、手のひらがひりひりと痛んだ。そして、手のひらの下五分の一ほどのところが剥れていた。別に血は出てはいなかったけれど、ずっとずっと痛んだ。
 リョウは、すいません、と言って去って行った男をずっと見ていた。一体化した手のひらが熱くなる。
「ちょっと、剥れちゃったね」
淋しい子供のようにリョウが呟いた。
「あたしたち、こうやって、離れていくのかな」

 次の日は、嘘みたいな土砂降りで、わたし達は部屋の中でじっと音楽を聴いていた。狂人のように叫ぶボーカルの声が、昨日の男の、すいません、に少し似ているような気がして、わたしは嫌な気持ちといい気持ちのミックスみたくなって、少し困った。

 翌日、雨がやんだので、また散歩に行った。一昨日と全く同じところで、この間の男と遭遇した。リョウは頬を赤らめて、あ、と声を漏らした。
「昨日、いや、一昨日か。あの時はすいませんでした。大丈夫ですか?」
 大丈夫なんかじゃない、と思いながら、平気です、と言った。わたしたちの繋ぎっぱなしの手を見て、男は何か考えているようだった。三人で少し話をした。リョウと男はすぐに仲良くなり、メールアドレスを交換していた。
 家に帰ってから、リョウが嘆いた。
「きっとあたしたちのこと、恋人同士だと思ってるのよ!」
 ヒステリックなきいきい声が耳の中で狂ったバイオリンのように弾ける。
「女同士じゃん、思われてなんかないよ」
「珍しいことじゃないわ!あぁどうしよう。どうしよう。どうしよう」
 リョウは強く手を引っ張った。
「あ」
 嫌な音がして、わたしたちの手のひらは剥れていた。完全に。
「あはは、やった。やった。これであたし、自由よ。さよなら」
 リョウは走って家を出て行った。


 それっきりリョウとは話していない。昨日、例の男と手を繋ぐリョウをみた。
 今度はあいつと手がくっついたんだな、とわたしは察した。

 わたしの手のひらは、独りぼっちの草のように黄色い。

2002年05月10日(金) ノンフィクションファンタジー
 鯉のぼりの中からもっと小さな鯉のぼりがどんどんと生まれ出でて、いつのまにか空は鯉のぼりで覆い尽くされていた。
 そもそも、わたしが仕舞い忘れたのが失敗だった。鯉のぼりだらけの空の下で、いったいどうやって生きてゆけと云うのだ。そんなわたしの心配も知らずに、ミチカがぐるぐると走り回りながら歌った。
「鯉のぼり、鯉のぼり、増えて不貞腐れ鯉のぼり」
 全くのでたらめな歌なんだけれど、旋律は割にしっかりしていて、わたしは少しだけ、感心して、また、ふと我にかえり、ミチカを抱きすくめるようにして、とめた。
「待ってよ」
 ミチカは相変わらず子役のようないやらしく計算したような微笑を浮かべて、鯉のぼりの歌を歌っている。ミチカはすぐ、向こう側に行ってしまいそうになる。向こう側、と言って判るだろうか?わたしにはよくわからないのだけれど、ミチカは
「あ、今、向こう側にいってた」
などと時折言い、わたしはなんとなく理解したような気になっている。
「待ってよ、ミチカ、向こうに言っちゃ駄目」
ミチカは笑っていたのだけれど、一瞬、ほんの一瞬だけ、正気の、あまりにきれいな、すうとした顔を浮かべて、水風船のように、弾けた。
 弾けたミチカの体からは血は流れなかった。鯉のぼりがどんどんと出てきて、その鯉のぼりの一匹一匹が、
「鯉のぼり、鯉のぼり、増えて不貞腐れ鯉のぼり」
と、いう歌を歌っている。わたしはなんだか気味が悪くなって、その場を立ち去った。ミチカが消えてしまうのは、そんなに珍しいことじゃない。二、三日たつと、妙なところから出てくる。この間は、カレーを作りながら、ふっと消えて、次の日のこりのカレーを温めていると、電子レンジの中から汗だくのミチカが出てきた。その空白の二、三日の間に、ミチカは「向こう側」に行くのだそうだ。
 一度、ミチカに向こう側とはどんな所なのか、訊ねたことがある。ミチカは淡々と、
「何も無い。でも何でもある」
と、述べた。なんだかよくわからなかったので、それ以来「向こう側」の話はミチカとはしない。



 次の日、ミチカは鯉のぼりを切り裂いて、帰ってきた。ハロー、といつものように言うと、向こう側に行くたびに綺麗になる顔を、わたしの顔にぐいと近づけて、わたしをしげしげと眺めると、じゃ、と言ってどこかに行ってしまった。


 もう会えないんじゃないか、という予感がわたしを包んだ。けれどわたしはその予感をかき消しながら、今日も生きている。

2002年05月09日(木) 蒲公英の綿毛が脳に詰まっている。
ありがとう、とかごめんなさい、とかそういう言葉を、凄く簡単に言葉に出せるようになってしまった自分がいる。

こうやって色々な言葉を発してもそれは、なんというか、声帯が震えている、だけ、なのだ。感情はふるえちゃいない。

タイピングする感触の中に、忘れてはならない気持ちを感じます。

昨日メールを呉れた人、有り難う。返事は明日時間のあるときに。

でも、こうやって不満とかもやもやを吐き出す場所がある、というのはいいことなのかもしれない。

何時の間にか千ヒットしている、コミュニケーションを忘れ、一方的にわたしが語りかけるだけのこのサイトで、わたしは多分ストレスのようなものを発散しているような気がする。

みんな有り難う。
わたしは、「千ヒットお祝いメール待ってまぁす☆」とか書けないんだ。なんか、照れる。でも本当は、おめでとうって言って欲しい。
お誕生日みたいに。

これは昨日変だね、といわれたことなのだけれど。
わたしは何時だって年を重ねるのが怖い。
それは三才から四歳になるときも死んでしまいたいと思ったし、今でも同じだ。
999ヒットと1000ヒットの間に何が起こったのだというのだろう。
カウンターは滅茶苦茶な数字を表示したくはならなかったろうか。


滅茶苦茶、という言葉の意味を、最近知った気がする。

2002年05月08日(水) コンビニに新しい自分を買いに。
わたしに声をかけてくれた人、ありがとう。
なんだか今ならナンパにいちゃんも嫌じゃない気がします。

今日、随分と久しぶりに、麦茶をきゅんきゅんに冷やして飲みました。わたしはあのお茶なんかに氷をいれるときの、ぱきゅん、という音が好きで、もう冷蔵庫の中で冷えているにもかかわらず、氷をいくつも入れたくなります。

スターバックスコーヒー店などにある「フラペチーノ」も好きです。
ただ、あれを飲むと温かいコーヒーも飲みたくなってしまいます。

ああ、なんだか今日はとても落ち着いています。
メールをくれた人、携帯に本当にくだらないメールをくれたY、有り難う。
わたしのすごしている環境は実は凄く良いんじゃないか、と思っています。

友人が風邪をひいたんだけれど、心から、「お大事に」と言っている自分がいました。
K、有り難う。

こんな風に、イニシャルをたくさん使いたい気分なんです。
読んでる人、うざったいですね。ごめんなさい。

ああ、ランバフラペチーノなんて無くても、わたしの頭は何時だって痛いのに。

2002年05月07日(火) そして新緑がカモーンといった。
誰でもいい。誰でもいいから。


キャラメルポップコーンを友達とたべた。甘くて甘くて甘くて甘かった。

授業中また教室が回転していた。教室の奴、癖になったみたいだ。

誰でもいい。誰でもいいから。

誰でもいいからわたしの話を聞いてください。
お願い。

誰でもよくはないのに、誰でもいい、なんて云ってる。
わたしは嘘つきで、ずるくて、汚い。

メールを下さい。

2002年05月06日(月) ルルべパッセアチチュード
わたしの吐く弱音なんて読みたくも無い、という方は速攻でバックを。

昨日は映画を観にいったのです。
それで、大体夜の十二時ごろ渋谷を出たんだけど。
その前に駅前のあの大きいスタバにいってたの。そしたら横断歩道が白いティーシャツだらけで、なんとなく、わたしは何処に行けばいいんだろう、って気分になった。

最近のダーク系、という括りが凄く嫌いなんです。
血を流したからダーク系、っていうの?むしろそういう詩或いは小説には安っぽい蛍光灯の灯りが良く似合うのに。
わたしは蛍光灯の下で泣きます。暗闇で泣くことなど、絶対に、ない。

今日、木の上に住む夢を見ました。
その大きな木は何故か銀座にあって。あの歩行者天国の辺りに。
わたしはその上で三人ぐらいで暮らしていて、とても楽しかった。

なんとなく叫びたくて叫んでいたらら、親に、止めろ、といわれた。

しばらくは日記を書こうと思います。

意見をくれた人、ありがとう。
大好きです。

わたしは結局、わたしの好きな何人かの人がいれば、生きてゆけるのだと思います。

なんかさっきから胸の辺りが気持ち悪い。
ぐるぐるする。
明日から学校だ。凄く嫌だな。別に嫌なことがあるわけでもないんだけど凄く嫌だな。
紅茶タバコをやってみたいです。












































































    ほんとうはもっと楽しい話がしたい

2002年05月05日(日) K先生助けて。
 なんだか、色々なものを終わらせてしまいたい。
 今日、いくつかのものを終わらせました。
 かかわった人たちはみな、幸せを掴むのを諦めたもの特有の半笑いでわたしに、 さようなら、と云いました。

 紫外線を畏れて、わたしは広場の木の下にいた。
「ねぇ、お話、しましょうよ」
と、無邪気な、けれどわたしには邪悪でしかない笑顔で、わたしより三つほど下に見える少女がいった。
「ごめん、今、話すことなんて、ないんだ」
 そうわたしが云うと、少女は今度ははっきりと邪気の見て取れる笑顔で、
「そうよね。お前なんて、その程度の人間よね」
と、嘲った。
「ごめん、ほんとに、この程度の人間だから」
どうとも取れる返事を返すと少女はくわっと目を見開いて、直立姿勢のまま後ろへ倒れた。どうしたの?と、わたしがしゃがむと彼女は目を見開いたまま、
「終わりだ。なにもかも。お前は終わりだ。終わりだ」
と、云いつづけていた。
 わたしは恐ろしくなって、なんだかよくわからないけれど、目の前にあった真紅のリボンを引っ張った。少女はばっと立ち上がり、
「終わらせられぬのなら、わたしが終わらせてやろう」
と、云って、わたしの首をリボンで絞めて来た。とっさに膝で少女の腹を蹴ると、少女は後ずさって、わたしに極上の微笑を見せた。
 そして細い足で、軽快に走り去り、わたしは一人取り残された。
 木に登ると、其処は草しかない草原で、真実の愛のように夕日が沈んでいた。

2002年05月04日(土) アナスイ新宿伊勢丹店にて。
髪を切った。

新宿の街は、ゴールデンウィークらしくたくさんの人でにぎわっていて、なんだかわたしの心を、ぐいぐいと鈍い針でつつくように、煩かった。

デパートメントストアのなかの店で買ったカーネーション色のマニュキュアが、ありがとう、とわたしに細い声で言った。どうしてありがとうなのかは判らなかった。

将来、という言葉が、恐ろしくてしょうがない。
マニュキュアに、君を全部飲んだらどうなる?と、訊いた。
マニュキュアは急に太い声を出して、死ぬわ、と言った。
嘘だ、とわたしが少し恐ろしくなるとマニュキュアは、
「お前はもう穢れている。お前は少しずつ死んでいくのだ。お前の心はもう澱んでいる。心は死ぬだけではたりない」
と、叫んだ。
わたしは叫び声が回りの人に聞こえちゃいないだろうか、と、辺りを見回した。
阿呆のように金をばら撒く金持ちが一人と、その金を拾い集める貧乏人がたくさん、いた。みんな金に夢中で、わたしたちの会話など聞いてはいなかった。

地下鉄で帰る途中、ポケットに何気なく手を入れると、マニュキュアでべとべとの紫のコットンが入っていた。さっきマニュキュアを買った店のコットンは紫だ。
ありがとう、とマニュキュアが言った。

2002年05月03日(金) 泥人形のお面
ごめん。あたし、もう疲れたんだ。
あたし、人形になりたい。


特急の中、通り過ぎる田んぼが、「俺の中の泥を全部飲んで窒息死しろ」ってわたしに、告げた。
病院の中で、老人が、ピカチュウの人形に話し掛けていた。
あたし、ピカチュウ、嫌い。多分奴は殺そうと思えばあたしだってころせる。そして赤い野球帽を被った少年は、やったぜ、ピカチュウ、とか云うんだ。
それでいいのに。
あたしのお終いなんて、それでいいのに。

老人が、ピカチュウに「高田さんがね」と、話し掛けた。

ふとあたしは、「高田さん」に、生まれ変わりたいと思った。


2002年05月02日(木) 一人称があたしになっちゃうとき。
 グレープフルーツとコーヒーというのは、あたしの知る限りでは数少ない、苦いことを許された存在であるように思う。


 わたしも許されたい。
 欠点とか、ね。

 100パーセントグレープフルーツジュースは、あたしに苦く、ブラックコーヒーは、あたしに甘い。

 まったくバカげた考えなのだけれど、それは真実なのかもしれない。

 岡田京子に、興味が出た。

2002年05月01日(水) あたし、短文の中に逃げ込んで
 知りたい、と死にたい、ってよく似た響きだよね。
 あたしは、どっちも要らないんだけどね。


 まるでバカみたいじゃないか。

 さようならみんな

 と、まあどうやらあたしはそうとう疲れてるようで、こうやってキーボードを叩く指もなんとなくぶるりるりしていて、困るのだ。
 疲れてるっていっても、なんになんだか判らない。

 今日の一時間目の国語のとき、眠いなあと思って少し頭を下げた。すると教室がぐるりぐるり斜めに回り始め、わたしは突き落されそうになった。怖くなって顔を上げても、まだまわっている。ところが、クラスメイトはみな平気そうな顔で、武蔵野台地についての文章の朗読を聞いている。
「あれ、まわってるけど、大丈夫なの?」
 と、ふらふらの頭であたしが訊ねても、皆平気な顔で、
「まわってる?何が」
 などと能天気にも聞いてくるのだ。
「まわってるじゃん、教室」
 と、いうと、
「まわってないよ。大丈夫?」
 などとやさしい顔で云ってくる。どうやらおかしいのはあたしの頭のようだ。最近、本当にあたまがおかしい。電車に乗って、川をみつめていても、きらきらきらきら川が光って、あたしに、飛び降りろ、飛び降りろ、と云うのだ。教室を出て、友人と喋りながら駅に向かうときも、灰汁色の鳩が、死んでしまえ、死んでしまえ、クルック−、と鳴くのだ。あたしの頭がおかしいってことぐらいわかる。授業中に急に、意味もなく自動車事故が怖くなって、泣きそうになったりする。そういうのって、おかしいよね。

 嗚呼可笑しい。
 あたしは笑いながら、鳩を蹴る。鳩、あたしの足にはあたらずに、死んでしまえ、クルックーと鳴きながら、空へと飛びたって。


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