夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2020年06月15日(月) 母、わが人生のよき先輩

山梨にUターンしてきて、1年半。80代の両親と、自閉症の兄との4人暮らしも、1年半。
俺は、母を人生のよき先輩として尊敬する。
母は、腰がだいぶ曲がってしまい、うつとも闘いながら、毎日を送っている。母の責任感の強さ、自分自身に対する厳しい態度には脱帽する。そうした性格がアダとなって、うつにもなったと思うけど。
俺がUターンしてきたのを心から喜んでいるようだけど、「何もかもお前に頼りっぱなしだと何もできなくなる」と言って、決して自分を甘やかさない。わが母ながらすごいと思う。
でも、80代となり、体の無理がきかなくなってもいる。「もう少し楽をしてほしい」と思うくらいだ。
ちょっと前だったら恥ずかしくて言えなかった感謝の言葉を日々伝えるようにしている。「お母さんのおかげで」「本当に感謝してるよ」「でも、頑張りすぎだよ」ってね。
頑張りすぎないように仕向けても、その性格はなかなか変えられない。その責任感の強さは、とてもマネできない。俺自身はある程度は無責任でいい加減なくらいでいこうと思っている。でないと、何事も永続きしそうにないからね。
それでも、母の存在は、俺が年老いてからの生き方にいい影響をもたらしてくれるんじゃないかと思っている。
しだいに年老いて、できないことが増えていくことへの漠然とした不安が、いま俺のなかにもある。だけど、美しく年老いていくありようを母が身を持って示してくれているようにも感じている。
兄も母のことが大好きで、いつもふざけながら母に話しかけ、母の愛情にあふれた反応に喜びを感じているみたいだ。

約2年前の母のひと言を今でも思い出す。名古屋から母に電話を入れた時、突然のように母がこう言った。
「お兄ちゃんのことばかりに一生懸命で、お前には何もしてあげられなくて、ごめんね」「だけど、お前のこと、大事に思ってるよ」ってね。「お母さん、大丈夫だよ、そんなこと、よくわかってるから」って返したけど、電話を置いた後、涙が止まらなかったよ。母はそんな思いをずっと胸の奥深くにしまい込んでいたんだな。それから、俺がUターンを決意するのに時間はかからなかった。
これからどれくらい一緒に過ごせるのかわからないけど、感謝の気持ちをできるだけ形に表していきたいと思っている。
ありがとう、って本当に素晴らしい言葉だからね。



2020年06月09日(火) デュオパートナーYさんのこと

パートナーとして誰を選ぶかは、結婚でもそうだが、デュオ(二人組)での音楽活動においても大変重要だ。
Yさん(女性です)のことを話そうと思う。正しくは、元・デュオパートナーだ。最後のほうは、Yさんを含むトリオだったり、4人組での活動が中心だったけど、一昨年の12月のライブを最後に俺は長年暮らした名古屋を離れ、山梨にUターン。Yさんとは離ればなれとなってしまった。
Yさんのこと、とても尊敬してるし、そんな人とデュオを組めたこと、とても幸せだったと思う。よくもまあ、こんなワガママな俺に15年近く付き合ってくれたと思う。
元々Yさんは職場の先輩だったけど、音楽活動においては対等だった。何事においても努力の人だったから、練習の鬼でもあった。だからといって、一生懸命になりすぎて周りが見えなくなる、ということがなかった。周りの人間への気配りもきちんとしてた。俺からすると人がよすぎる面はあったし、「そこで言葉を選ぶな(バンド練習の前にちゃんと個人練習しとけ、ってはっきり言ってやれよ)」と思うところはあったけどね。それでも、俺とは長年の付き合いということもあって、遠慮はなく、厳しい言い方をしてくれた。俺もYさんには遠慮なく何でも言えた。
音楽活動をし始めた頃は、ソロでやってたけど、Yさんとデュオを組むことになって、俺も成長できたと思う。根拠のない自信だけあった俺が自分を客観視できるようになった。俺が傲慢な言い方をしてると、「それは違うと思う」とはっきり言ってくれた。おかげで少しは謙虚になれたんじゃないかな。Yさんとデュオを組んでなかったら、俺、もっとイヤな人間になってたかもなと思う。
今でも一生懸命になりすぎて、周りが見えなくなることはあるけど、そんな自分に自覚的にはなれたように思う。
去年、山梨まで会いに来てくれて、一緒にライブもやったんだけど、それはそれですごく幸せな瞬間だった。彼女は、俺のかつてのバンド仲間とデュオを新たに組んで、俺とのデュオとはまた違ったテイストでいい感じの演奏をしてた。俺の演奏のことも「また少しよくなってた」と言ってくれたけど、練習の鬼に誉められるってうれしいもんだよ。
「こんどは名古屋に行くからまたライブをやろう」って言ってたのに、コロナ禍でそんなことがいつ実現できるのかわからなくなった。お世話になったライブハウスも自粛を強いられ、苦境に立たされてるし。
俺、普段はおとなしいんだ。だから職場の人が俺のライブを観ると、驚くんだよ。「全く別人だね」って。
俺がスポットライトを目一杯受けてる横で、Yさんは地味にいい仕事をしてくれた。間奏になると、彼女の独壇場で、客席から声援が飛んだよな。
ライブをやってる時がいちばん幸せだったかもな。Yさんなら「ライブの時よりも、ライブ直前に演奏がこなれてくる瞬間が幸せだなあ」だなんて言うかもしれない。
いつかまたライブができるようになったら、その時は完全燃焼したい。Yさんとも再会を果たして、いろんなことを実現していきたい。
そのためにも、何としても生き抜いていかないとな。一瞬一瞬を大切に生きていこうと思う。


 < 過去  INDEX  未来 >


夏撃波 [MAIL]