夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2004年06月28日(月) 新市村座

 市村正親のワンマン・バラエティーショー「新市村座」の公演を愛知県厚生年金会館に観に行ってきた。音楽講談、マジック、芝居仕立人情噺と、通常の芝居とはひと味違った市村の一面を見た。それはそれで悪くはないのだが、やはり通常の芝居で見られるような緊迫感というようなものはなく、そこが物足りないと言えば物足りないのだ。
 それにしても、市村ファンというのが多数存在しているらしく、市村登場シーンから会場は大いに盛り上がっていた。確かにいい役者だとは思うのだが、会場のノリには最後まで乗り遅れたまんまの私だった。



2004年06月20日(日) 『キューティー・ハニー』&「PRIDE」

 午前中は、新宿の映画館で、佐藤江梨子主演の『キューティー・ハニー』(永井豪・原作)を観た。カンヌやヴェネチアに出品されるような芸術的な作品が好みの私だが、単純に楽しい映画も好きだ。で、『キューティー・ハニー』だが、佐藤江梨子がキューティー・ハニーのキャラクター(明るい色気を感じさせる美少女戦士)に合っていてよかったと思う。まあ、原作者・永井豪のキャラクターづくり、ストーリー展開とネーミングのうまさが何よりも素晴らしいのだが。映画も、原作のエッセンスをうまく抽出していたように思う。

 映画を見終わって新宿駅までの道すがら、たまたま入った楽器店で軽量小型のギター(エレ・アコ)を衝動買い。あっという間に5万円弱が私の財布から消え去った。愛用のギターとは音の質は違うが、持ち運びには便利。ちょっとしたライブにはこれで対応しようと思っている。

 で、思わぬ出費にちょっとした荷物ができてしまったが、PRIDE GP2回戦を観るためにさいたまスーパーアリーナへ向かう。本日の観客動員約4万3千人だそうな。スタンド席の比較的前のほうで観戦。
 会場が最も盛り上がったのが、小川直也の試合の時だった。私は、小川も好きだし、思わず「ハッスル、ハッスル」もやってしまったのだが、一方でそれほど興奮するほどのこともないだろうと醒めた目でも見ていた。
 今日の一番の注目は、ヒョードルvsランデルマンだろう。優勝候補の筆頭・ヒョードルに対し、ミルコをマットに沈めた男・ランデルマン。この勝負のゆくえに1秒たりとも目が離せなかった。王者・ヒョードルの前に敗れ去ったランデルマンだったが、彼が放ったバックドロップは凄まじく、ミルコ戦のKOシーンとともに、記憶に残るシーンとなった。
 興奮醒めやらぬままに東京駅へと急ぎ、新幹線で名古屋に戻った。
 明日からまた日常が始まる・・・。



2004年06月19日(土) 旅から旅

 この1週間、瞬く間に過ぎ去った感じやね。
 宿直あり、職場の旅行あり(下呂温泉)、合間に「詩の夕べ」もあって寺山修司の詩「ロング・グッドバイ」を朗読したりもして・・・。結構身体は疲れているはずなのに、その疲れを引きずりながら俺は再び東京にやってきた。

 で、昼下がり、三軒茶屋「シアタートラム」にて「水と油」パフォーマンス公演(「スケジュール」)を観た。マイムを多く取り入れたパフォーマンスは国内外で高い評価を受けているようだ。非日常的なシーンもあれば、お笑いの要素もあって「Mr.ビーン」を髣髴させるシーンもあった。確かに面白い。ただ、これは好みの問題ではあろうが、「また観てみたい」というほどの気持ちにはなれなかった。何が足りないのか、と考えてみた。たぶん「官能性がほとんどない」「中途半端に無機質」ということではないだろうか。美意識の違いということかな。

 「水と油」を観終わってから新宿に移動、しばらくホテルで休息し、歌舞伎町「ロフト・プラスワン」に出かける。そこで今夜「SM & ストリップ・ショー」を観た。これが結構面白かったんだよね。この種のイベントを低俗だとか言って斥ける考えは、俺にはない。俺は「表現者」の端くれとして常に自問していきたい。オンナのハダカ以上に人々の心揺さぶる表現を俺自身できているのか、と。
 もちろん、オンナのハダカが観られればそれでいい、というわけではない。ショーとしてのクオリティーは問題にしたい。そこには美学がなければならないと、俺は思う。アラーキーが撮る花々の写真のなかにあふれんばかりに映し出されるエロス、それ以上のエロスが漂ってこなければならないのだ、と。過剰なまでの生命力で俺を大いに揺さぶっておくれ、とそんな思いで俺はあらゆる種類の舞台を見続けてきたのだろう。
 何ともエキサイティングな夜だ。血が騒ぐぜ。そして明日、俺はさいたまスーパーアリーナへ、総合格闘技「PRIDE」を観に行くことになっている。



2004年06月12日(土) 全日本プロレス

 最近はすっかり「道楽日記」になってしまった私の「日記」だが、それも「必殺仕事人」ならぬ「必殺遊び人」である私の「日記」なのだから致し方あるまい。これでも定職には就いているんだよ。でなきゃ、遊ぶための資金調達ができないからね。
 でもって、今日もまた「道楽日記」だ。仕事の疲れが出て(いや、遊びの疲れかな?)、今日は一日ウダウダと寝たり起きたり。夕方から、「全日本プロレス」の試合を観に愛知県体育館へと出掛けていった。
 残念なことに今日の試合に武藤敬司(社長兼レスラー)は負傷欠場。だが、今回タイトルがかかった試合も多く、息詰まる攻防が展開され、思いのほか盛り上がっていた。グラン浜田や天龍源一郎といった50代のレスラーたちも若手に混じって闘志を表していた。
 「新日」「全日」「ノア」のビッグ3はさすがに一流の選手を揃えている。だが、大事なのは試合内容だね。それと、プロレスの場合、リングと客席の一体感がどの程度得られたのかという点が大きい。先月観た「新日」はやや一体感に欠けていたように感じられたが、今日の「全日」は観客をしっかり引き込んでいたね。
 今年に入ってからプロレスを観る頻度が非常に多くなってきた。格闘技も多く観るようになった。これも、女子格闘家・しなしさとこさんの影響だね。約1週間後には「PRIDE」(総合格闘技)を観に行く予定だ。



2004年06月11日(金) UA

 今夜、友人とUAのコンサートに行って来た。
 タイ料理屋で夕食を済ませ、開演30分前に会場(愛知県勤労会館・大ホール)に入り、コンサートの始まりを待つ。席は9列目、ステージも近い。
 夜7時開演。バンドの前奏が始まり、舞台下手よりUA登場。30代の、確か1児の母なのに、野性的な少女の顔立ちをしている。UAの醸し出す雰囲気が何ともいい。深い森のなかで聴く鳥のさえずりがイメージされる。繊細だが、力強い感じだね。で、やはりUAの声自体がすごくいい。どんな凡作であっても名曲として聴かせられるだけのパワーを感ずる。いつか私・夏撃波の詩を歌い上げてくれないかな。UAと共演できたら最高だよな。などと、ひとり妄想に耽っていた。
 UAのコンサートは今回初めてだったし、実は曲をそれほど知ってたわけでもないのだが、十分に楽しめた。UAの歌声の素晴らしさはあらためて言うまでもない。今回、ジャズのテイストも感じられた演奏であったが、演奏者ひとりひとりも光っていたように思う。

 コンサート終了後は、友人とはしご酒。音楽談義に花を咲かせた。
 最後に行き着いた酒場(「隠れ家」的な雰囲気)にはギターが置かれていた。言うまでもなく、ギターを手に取り、弾き語り。夜が更けるのも忘れ、夜中の2時まで過ごし、タクシーで帰宅。タクシー代、どえりゃ〜かかってもうた。

(追記)
 ソウル・シンガーのレイ・チャールズが亡くなられたことを、スポーツ紙の表紙で知った。あらためて言うまでもなく、偉大なアーティストだった。彼が盲目であることなど、普段意識することは少ない。彼に関してはその音楽性だけで十分すぎるくらい偉大だったがために、「盲目のソウル・シンガー」などと呼ばれることはほとんどなかったように思う。誠に残念ではあるが、ご冥福をお祈りしたい。



2004年06月10日(木) 夏撃波、中島みゆきを歌う

 今夜は、八事「POPCORN」で開催の朗読会「詩のあるくちびる・サランサラム」に参加。今回、自作詩の朗読はせず、専ら中島みゆきの詞の朗読と演奏に終始した。今回も参加者は少なく、一人ひとりがたっぷりと朗読した。
 帰り際、「POPCORN」のマスターが「こんど、ウチでライブやってよ」などと声をかけてくださり、すっかり上機嫌になって家路についた。
 その余勢を駆って、しなしさとこさん(女子格闘家)をイメージした詩を作る。アッという間に出来上がった。「俺って、もしかして天才か」と錯覚さえ覚えた晩であった。



2004年06月06日(日) しなし倶楽部ホールド

 今日は、女子格闘技イベント「LOVE IMPACT」を観に行き、そこでしなしさんと会うことになっている。
 午後4時のゴングまでは時間があったので、「みうらじゅんin東京ドーム・郷土LOVE2004物産ピック」の会場をのぞく。東京ドームのなかで各県の名産品がそれぞれのブースで販売されている。また会場内には各地のイベント公認マスコット(着ぐるみ)が登場、おかしくて思わず頬が緩んでしまう。沖縄のブースで「泡盛チョコ」「スッパイマン」「ちょっちゅね」を買い、しなしさんへのおみやげとする。

 午後2時半ごろ、水道橋から新橋に移動し、「ゆりかもめ」でお台場へ向かう。3時を少しまわったぐらいに、スタジオドリームメーカーに到着。「しなし倶楽部」(しなしさとこ後援会)の面々とも会う。
 しなしさんは、いきなり第1試合でナナチャンチン選手と対戦。新技「しなし倶楽部ホールド」が極まり、45秒で呆気なく勝利を手にした。その後、「総合」の試合の他「キックボクシング」「フルコンタクト空手マッチ」も行われた。篠原光選手(「力道山を刺した男の娘」)の強引なまでの喧嘩殺法、小林由佳選手の空手の切れ味などが印象に残った。

 全試合終了後、しなしさんと「しなし倶楽部」会員とで打ち上げ。一人ひとりのファンを気遣うしなしさんの優しさが垣間見られた。
 私もつい調子に乗って「しなし倶楽部ホールド」を軽くかけていただいた。ついでに「チョークスリーパー」も体験。なかなか貴重な体験だった。

 さて、楽しい連休も終わってしまい、あとは新幹線で名古屋に帰るのみ。再び日常へと戻っていくが、十分に元気はもらったように思う。



2004年06月05日(土) はしご芝居(?)

 今日、はしご酒ならぬ「はしご芝居」(?)をやった(つまり、1日のうちに立て続けに芝居を2本観た)。まあ、こんなことは別に今日が初めてではないし、1日3本観たこともあるけどね。

 昼に観に行ったのが、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』(新宿・東京厚生年金会館)。中島かずき作品をいのうえひでのりが演出した<いのうえ歌舞伎>だ。ホンとしての面白さもあり、演出的にも面白いとは思った。スピーディーな舞台転換は見事だったし、役者たちのテンポも悪くはなく、観客を厭きさせることはなかった。
 ただ、「スーパー一座」(名古屋・大須を根城に、「ロック歌舞伎」で名を馳せた劇団)の元・座員として「歌舞伎」あるいは「ネオ歌舞伎」にはこだわりのある私、「歌舞伎」的見地からは多少なりとも不満があった。これは恐らく「役者論」とも関係するのだが、「歌舞伎」(あるいは「ネオ歌舞伎」)をカッコよく見せるためには「役者にある程度の力量が必要」ということだ。主演の古田新太の存在感は大したものだし、「新感線」の団員たちもそれなりに力量が感じられるのだが、客演のアイドル女優たち(悪く言えば「客寄せパンダ役者」)の役者としての力量はやはり見劣りがする。<声>の質が私の好みではないんだろうな。ギャグもギリギリすべってはいないのだが、これも私の趣味ではないんだな、きっと。まあ、それでも「新感線」だから許せるんであって、「新感線」もどきのテンポの悪い芝居は御免こうむりたい(一昨年くらいに観た、名古屋の某・「新感線」もどき劇団の芝居はサイテーで、思わず芝居途中で退席した)。
 でも、「新感線」が一般受けする理由はよくわかったし、見せ方のうまさでは学ぶべき点も多かった。

 夕方5時半から、渋谷・シアターコクーンに並んで、当日の立見席をゲット。蜷川幸雄演出、野村萬斎主演によるギリシャ悲劇『オイディプス王』の公演を見た。
 私、いろんなジャンルの芝居を観るけど、能だとかシェークスピア劇だとかギリシャ悲劇といった古典も好きなんだな。たぶん、あの非日常的なセリフの言い方とかに心ひかれるものがあるんだと思う。
 今回オイディプスを野村萬斎が演ずるという。和泉某という実力のない狂言師がいたが、野村萬斎は狂言師としても役者としても一流だと思うよ。実際ホンの面白さに加え、役者たちは熱演していたと思う。東儀秀樹の音楽も意外と合っていたし。
 ただ、今回もうひとつ期待していた蜷川演出には若干不満が残った。今回の演出が決して悪いというのではない。そんじょそこらの演出家なら、出来過ぎなくらいな出来映えだとも思う。だが、蜷川は凡百の演出家とは違う。もっともっと凄い演出ができたはずではないか。今回の『オイディプス王』に関しては、小さくまとまりすぎているという印象を強く持った。もっと私たちの度肝を抜いてほしたかったな。

 他にも観てみたい芝居はあったが、結局今回は以上の2つの芝居を観た。観劇は楽しい。でも、芝居を観ながらセリフを喋りたい衝動に駆られる瞬間がある。舞台にはどうやら魔物が棲んでいるものらしい。



2004年06月04日(金) 10年ぶりの「障害者プロレス」

 3ヶ月ぶりの東京。下北沢は、北沢タウンホールに「障害者プロレス・ドッグレックス」の試合を観に来た。
 「ドッグレックス」の試合を観るのは、1994年の名古屋興行以来、10年ぶりとなる(そう考えると、あっという間の10年だったな)。名古屋興行は、私が以前関わっていた「障害者運動団体」の有志が「ドッグレックス」と交渉して実現したものだった。当時「ドッグレックス」の障害者レスラーだった「欲獣マグナム浪貝」は、それ以前からの私の知り合いだったが、まさか「障害者プロレス」を縁に再会しようとは思いもよらなかった。
 あれから10年、浪貝はドッグレックスを去り、メンバーもだいぶ入れ替わったようだ。以前は「純プロレス」のテイストが感じられていたのだが、今回観てみると「格闘技」色が加味されたように思われた。それでも、理屈抜きの面白さに徹した姿勢は、10年前と変わりない。10年前から活躍していたゴッドファーザー選手は50代とは思えぬ機敏な動きで終始相手を圧倒しており、何だか私もうれしかった(発足当初からのレスラー・サンボ慎太郎は精彩を欠いていたが、今後の再起を期待したい)。今日のプロレス・格闘技界にあって「ドッグレックス」は異色だが、闘いにかける情熱に「障害者」も「健常者」もない。同情とか哀れみとかでなく、「共感」、そして時に「違和感」「異物感」を覚えつつ、エンターテイメントとして十分すぎるくらい楽しんだ。
 「D−1トーナメント1回戦」では凄まじい撃ち合いが展開。「世界障害者プロレス・ミラクルヘビー級選手権試合」「スーパーヘビー級試合」(障害の重さによって、ヘビー級・スーパーヘビー級・ミラクルヘビー級の階級がある)などでは、「障害者」でしか成立しないであろう技が飛び出した。また、「禁断の親子対決(障害者対健常者)」は思わずホロッとくる名状しがたい感動があった。そして、ゴッドファーザーJr選手(ゴッドファーザー選手の息子)が「みちのくプロレス」に入団したとの発表もあり、「健常者プロレス」の試合が行われた(ゴッドファーザーJr選手が闘い、勝利を収める)。
 あっという間の2時間だった。次回の「ドッグレックス」の試合は9月10日(北沢タウンホール)。「D−1トーナメント準決勝戦・決勝戦」の他、スペシャルマッチとして「巨漢の盲人レスラー」がデビュー、健常者レスラー・アンチテーゼ北島との試合が予定されているという。
 試合も面白いんだけど、北島行徳氏(=アンチテーゼ北島)『無敵のハンディキャップ』『ラブ&フリーク』『弾むリング』などの著書も面白いので、よかったらぜひ読んでみてほしい。


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