十夜一夜...Marizo

 

 

諺 「立つ鳥跡を濁さず」 - 2021年08月20日(金)


2019年10月から働き始めた今の職場。
地下鉄大通り駅から徒歩圏内の18階建てのビル。

配属された4階の部署には20人ほどの職員さん(全員男性)
そこにKさん、私、Nさんが半年勤務の臨時職員として入った。
Kさんは一年前にも半年間同じ部署で働いていたため
職員さんとも顔なじみなようで給湯室の場所やお昼のゴミ出しルールなど
経験者として(主に雑用的な)仕事の流れなどを教えてくれた。
ちなみに三人共アラフィフの大人女子(言い方)である。
職場の男性陣にしてみるとBBA三人で
「がっかりだぜ」だったであろう(注:セクハラ発言)

半年後、三人は同じ部署で今度は1年間の勤務となる。
2020年4月から2021年3月まで。
この間、コロナ禍で在宅勤務等があったこともあり
概ね平穏な(大人女子)社会人生活を送ってきた。
おそらくはコロナのお陰でマスクをしていることや
昼食時の集いが無くなったことも平穏であった要因だと思う。

そして今年の4月から私とKさんはそのまま再度1年間の再雇用となり
別部署へと配置換えとなったNさんの変わりに新しくAさんが来た。

Aさんは巻き髪スレンダーでお嬢様風のミニのワンピースを
着こなせる(←ここ重要)ギリギリアラフィフ大人女子。
自宅が同じ方面であることから、多少は話す機会もあるだろうと
思っていたが・・・これがまったくなかった。

だんだんとわかってきたのだが、どうやらこういった
公的職場での臨時職員を渡り歩いてきた方らしく
(私からすると)とてもドライな印象である。
当たり前だが友達探しに職場に来ているわけではないので
仕事以外のことで他人に気をつかう必要がないのはわかる。
その仕事だって評価で給料が変わるわけではないので
言われた仕事を淡々と、つまりそれ以外に気が付いてしまって
気をきかせてやる仕事をする必要は
まったくないと言われればごもっともなわけで。

ましてや上司でも無い、たかが同じ臨時職員のおば様方が
何を(ゴミ出しやポットの給湯など主に雑用)していようと
我関せずの態度には経験者のKさんはかなり憤慨していたし
小心者の私としてはなかなか出来ることじゃないなぁと
一種、畏怖の念を持っていた。

4月スタートの勤務から間もなく五か月が経とうとする8月中旬。
なんとなく、隣の課(Aさんのいる課)がざわついている。
背中越しに「誓約書、書いて貰わないと」「辞令交付が・・・」等など。
最初は「部署替えかしら?」と思っていたが
どうやら退職するらしい。
そんなざわつきの中でいつもの退勤より10分ほど遅く
私の机の横を「お先に失礼します」と帰っていったAさんだったのだが
あとから職員に聞くと出社は今日が最後だというのだ。

チョーびっくりΣ(゚Д゚)(←使ってみたかった顔文字)

それが8月17日(火)の出来事で彼女はもともと翌日から
水、木、金と夏休みを取っていたのは知っていたが
そんな急な話であったとは二度びっくりである。

職員さんから退職理由は「一身上の都合」と聞いたけれど
実際のところの退職理由は本人に聞いてみても
本当のことを言うとは限らないわけだから知る由もない。

さて、ここから三度目のびっくりが始まるのだが
17、18、19日(金)と夏休みを取っていたAさん。
辞職の希望は「8月末での退職」だったらしい。
しかしそれはあくまでもAさんの希望であり
職場側としては夏休みが終了した翌日20日(土)での退職とし
19日(金)に辞令交付で(首からぶらさげる)職員カードや
保険証等の返却で出社を求めたところ、Aさんの返答は

「月末での退職希望を出していたので
その辞令交付は了承しかねるので出社しない」と言い出した。

その会話は隣の課の職員さんとの電話のやり取りで
概ね聞こえてくる言葉からの推測ではあるがほぼ間違いない。

「了承できないって言われても・・・了承してもらうしかないんだよね」
「それはそちらの希望であって・・・」
「それもそちらの希望であって・・・」
「こちらとしてはもう決まったことなので・・・」
「今日中に返却して貰わないと・・・」
「家に行ってもいいですけど・・・」
「どこか外で待ち合わせしても・・・」


そんなやり取りをしばしした後、職員さんは
女性の職員さんを連れてAさんと外で待ち合わせをして
その場で辞令を交付し職員カードと保険証を回収してきた。

もともと一年契約の雇用条件ではあるが
色々な家庭の事情や健康状態の変化などで
(意に添わず)一年未満で退職しなくてはいけないことがあるのはわかる。
五か月で辞めようが、一か月で辞めようが
それはあり得ることだと思うけれど
今回の騒動を見るにつけ、古くから伝わる「立つ鳥の諺」は
時代や世代を問わず繰り返される出来事の一つなのだと実感した次第。


職場ではAさんの後、10月から来年3月までの
半年勤務で募集を出している。
10月からおそらく新しい人が来るのであろう。
どんな人かちょっと楽しみなのだ。
Marizo



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