十夜一夜...Marizo

 

 

悲鳴の記憶 - 2009年07月23日(木)

仕事帰りの地下鉄でのこと。


午後六時前後の地下鉄は
東京とは比べものにはならないものの
そこそこ混んでいた。


南北線と東西線の乗り換えである大通りは
乗降の人の数も多く、停車時間もけっこう長い。
ドアが閉まり車両が動くだろうと足に力を入れ
心積もりをした時に悲鳴が聞こえた。


「あけてー、あけてー」


字面で表現できないのが残念なのだが
軽い声ではなく、悲鳴に近い叫び声だ。


私が乗り込んだドアの二つ隣だった。

「あけてー、あけてー」と叫びながら
ドアをダン、ダンと思い切り叩いている。


車両の中は騒然とした。
みながその声の方角を振り返り
座席から立ち上がった人もいた。


ドアが開くこともなく、かといって
白線の内側に思いっきり入り込んでいる人がいるので
発車するわけにもいかず
最近増えた女性の係員がドアから引き剥がそうとするが
ドアを叩いている若い男性はびくともしない。


何度も何度も「あけてー、あけてー」という声に

(なんと言ったらいいのか良い言葉が見つからないので
 不愉快な思いをされる方がいるかもしれないが
 多少、一般人よりもIQが低いのではないかという意味で)

ああ、普通の人じゃない人なのかと思い至った。


結局遠くからすごい勢いで走ってきた
男性係員の手によって
白線より下げられた彼をおいて
私の乗った車両は動き出した。



日常生活の中で、悲鳴を聞くことはめったにないだろう。
映画やテレビドラマなどで、まさしくこのタイミングで
という状況で聞く作られた悲鳴なんてかわいいものだ。


私は地下鉄の振動に揺れながら
普通の生活の中であまり聞かないよなぁと
悲鳴について考えていたときに思い出した。



それは中学校の修学旅行。
すでに場所もはっきりと覚えていないけれど
東北地方をクラス毎にバスに乗っての移動中の出来事だった。


観光地へ向かう田舎道で唐突にバスが急停車した。
前を向いていたバスガイドさんが口を押さえて
振り返ったのが見えた。

前の座席が騒がしくなる。


たまたまうちのクラスのバスに同乗していた
保健の先生が慌ててバスから降りていく。

「事故だ」という誰かの声に
好奇心旺盛な14,5歳の中学生たちは一斉に
バスの大きな窓ガラスにへばりついた。


斜め前に止まっている大型のダンプカー。
その前輪の大きなタイヤの下に
4,5歳ぐらいだろうか、女の子が横たわっていた。


小さな体のちょうどお腹の上に
大きな大きなタイヤがのっかっていた。


クラスの代表格だった男子生徒が即座に

「カーテン閉めろっ!」と叫んだ。


目の前の惨状は確かに目を覆いたくなるもので
誰の異論もなくすぐさまバスの窓のカーテンは
閉ざされたものの、窓は開け放たれていた。


みなが顔を伏せ座席についた途端だったと思う。
母親と思われる女性の悲鳴がバスの中に飛び込んできた。



「みゆきーっ みゆきーっ」



悲鳴だった。



悲しい、悲しい鳴き声を「悲鳴」と
名づけたのはいったい誰なんだろう。


もう四半世紀も前の出来事だが
「みゆき」という名前だけは記憶に残っている。


結局そのみゆきちゃんがどうなったかは
定かではないけれど、救出を手伝った
保健の先生の「もう、体がぐにゃぐにゃだった」という
言葉に誰もが目を伏せたのを覚えている。


しかし、あの保健の先生(おばちゃんだったんだけどさ)
せめて嘘でもいいから「助かるかも」とか
「大丈夫だと思う」とか言えなかったのかねぇ。

と、あの時も思ったけど
思い出したらいまだに思うね。


あの時、私がもう少し大人だったら

「あんたねぇ、嘘も方便って言葉知らないのか」って
説教してやったのに(笑)




私はきっとこれからも
突然の悲鳴を聞くたびに
「みゆき」という名前を
思い出すんだろうなぁ。
Marizo







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がんばれ!札幌第一高校 - 2009年07月21日(火)



本日は高校野球、南北海道大会の決勝戦だった。
な、なんと「札幌第一高校」が強豪小樽の「北照」をやぶり
夏の甲子園出場を決めたのだぁ!


もちろん、初戦から全校応援はあり得ないけど
やはり応援団やチアリーディングは行くでしょ。
必須でしょ。

いやー、そしたらあれだ。
チアリーディングの顧問としては
ケンタロー(仮名)も行くでしょ。
引率しなきゃいけないもんね。
もちろん生徒を引率だから「裸族」とか(←おいっ)
ハメははずせないだろうけど
あの汗と涙と笑顔と歓声とガッツポーズの甲子園に行くのかぁ。
いいなぁ・・・・羨ましいなぁと
「おめでとうメール」を送ったら

(再び)な、なんと今はチアの顧問じゃなくて
剣道部の顧問なんだって(笑)


ま、何部の顧問でも「俺は行くよ」と言っていたが。



勝っても負けても仲間とともに目指したものは
ずっと心に残るはずだから。

がんばれ!一高!
がんばれ!高校球児!
熱い夏がやってくるんだなぁ。





っつーか、こっち寒いんですよ、だんな。
最高気温が二十度いかないので寒いんですよ。


母は家の中でセーター着てます。
ほんとです。
Marizo


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