雑記帳

2003年03月31日(月) 好きよ (片想い)

好きよ  柴田よしき著  双葉社 2002/8/30

『好きよ』 この一言を残し愛果は自殺した。 
死後2年、FAXに愛果の指紋がのこっていた。 偶然出逢った男。 恋人の影にみえる女性。 島からの追っ手。 改竄された記憶。 脈動する銀杏の木。 繭。 董子は血筋にとらわれる。

愛果の存在がなければ成立しなかった物語である。かなえられない思いを隠すために罠にかかり、利用され、吸い尽くされた。 しかし思いだけは残り守護者となる。 一方的なのでそれをありがたいとも思わず、自らの感情だけで行動する主人公。 どちらも未成熟。

評価 △



2003年03月30日(日) 汚名 (ロマンス)

汚名  多島斗志之著  新潮社 2003/1/20

叔母が51歳で逝った。 30年後、その年をこえてから叔母の人生を知ることになった。 何故独身をつらぬいたのか。 何故通り魔に襲われたのか。 何故仕事を増やしていたのか。 何故暗くなったのか。 なにを思って生きていたのか。

たんたんと話しが前後しており山もないが、時代設定と主人公の年齢設定からみてそれは当然のこととうけとめた。 セピア色のロマンスとしか表現しようがない。ここまで貫かれると人によってはありがた迷惑かも。 

評価 ○



2003年03月29日(土) 破弾 (冷めた警官)

破弾  堂場俊一著  中央公論社  2003/1/25

ホームレス暴行事件。 30年前のセクト間争いが尾をひいているのだろうか? 人を射殺した女と中途採用組の冷めた男がコンビをくんで謎を追う。

3冊目だが堂場作品は過去に捕らわれた男の話がおおい。 この作品では50年前の事件の真相をしったために祖父が自殺した男。 悪をにくむためにトドメをさした女。 どこか冷めているようで熱い似たもの同士が反発しながらドラマをくりひろげる。 ミステリとしてではなく小説としておもしろかった。

評価 ○



2003年03月28日(金) 第三の時効 (警察小説)

第三の時効  横山秀夫著  集英社 2003/2/10

沈黙のアリバイ    冤罪を訴える容疑者
第三の時効      国外に出た日数分だけ時効はのびる。(第二の時効)
囚人のジレンマ    だれがさきに自白するか。それが問題だ。
密室の抜け穴     表も裏も完璧に張り込んだのに犯人が消えた。
ペルソナの微笑    矢代のトラウマ
モノクロームの反転  錯視

安定しているが、そのため記憶にのこりにくい。 この中ではペルソナの微笑が印象にのこっている。

評価 △



2003年03月27日(木) 交渉人 (うすい)

交渉人 五十嵐貴久著  新潮社 2003/1/20

ネゴシエーター(交渉人)としての教育をうけた麻衣子は、 中傷のため部署を変わることになった。 ほのかな思いを抱いた相手(石田)に告白する事もなく。 2年後、病院にコンビニ強盗がたてこもった。 石田の要請をうけ、 到着まで現場指揮をとることになった。 そして再会。 

麻衣子がでてくる意味無し。 存在感希薄。 石田のキャラうすすぎ。 ラストまでいって、それを伏線ととってもいいのか???という思いももったが、 ストーリーをおうだけで、 キャラは人形のようだ。 中盤の形式美的展開が残念である。 設定はいいのにそれを生かし切れていない。

評価 △



2003年03月26日(水) 図書館へ行こう  (かんちがい啓蒙書)

図書館へ行こう  田中共子著  岩波ジュニア新書 2003/1/21

図書館でうけられるサービスなどを紹介

対象が本を読まない子供であり、『こんなサービスがありますよ』『私が薦めた成功例』『本を読むと心が豊かになります』『感想文なんて簡単』といったもの。素朴な疑問がひとつ『本を読まない子供』が岩波ジュニア新書なんて読むのだろうか?

評価 ×



2003年03月25日(火) ブラジルから来た少年 (ナチス)

ブラジルから来た少年  アイラ・レヴィン著  早川文庫 1982/6/30

サン・パウロの日本料理店で94人の男殺害を打ち合わせた。 標的達が狙われる理由が不明である。 メンゲレ博士らナチス戦犯たちの隠された目的はなにか。 ユダヤ人組織の一員が謎をおううちに標的達の奇妙な共通点が浮かび上がってきた。全員が若い妻をもっているのだ。 

少年がなかなか作中にあらわれない。 表紙では赤い目でなかに『ハーケン・クロイツ』が描かれておりナチスものなのはすぐわかった。 ブラジル・メンゲレ博士・少年ときたら予想はついたが、これが初出1976年の作品なのを考えると設定のうまさを感じる。

評価 ○



2003年03月24日(月) ローズマリーの息子 (コメディ)

ローズマリーの息子  アイラ・レヴィン 早川文庫  2000/11/10

27年意識不明だったローズマリー。 その間にアンディ(息子)は33になっていた。 神の子供たち(GC)をひきいるアンディはイエスの再来のようなカリスマになっていた。 時は1999年世紀末になにがおこるのだろうか?

禁じ手を使った。 
後書きに悪魔崇拝のはしりをつくったので後悔してるとの記述があった。文化土壌がちがうためわからないが、このラストはないだろというのが率直な感想。 これでホラーからアンチホラーへおとしたつもりなんだろうか。 風刺小説とのことだがラストまでよんだらコメディだったのかというイメージしかのこらない。

評価 △



2003年03月23日(日) マイノリティ・リポート (改題)

マイノリティ・リポート フィリップ・K・ディック著  早川文庫 1999/6/30

『少数報告』を改題し映画と同じタイトルをつけている。『追憶売ります』(トータルリコール原作)も同時収録されており、 ディックファンでなくても楽しめるラインアップになっている。 改題して再収録というのはずるいな。。

評価 ○



2003年03月22日(土) リセットボタン (異種生命体)

リセットボタン  酒井秀行 著  文芸社 2003/2/15

水をください!!!!! お礼に左胸に3つのリセットボタンをつけてあげます。
最初のリセットで、多額の水道代金をちゃらにしてもらう。あと残り2回。何に使うか?

人生のやり直しに、共感をいだけるのではないか。<前書きより。
軽くよめた。 著者がイメージしている読者層は4・50代ではないだろうか。 そのわりに読後感は児童書を読んだというもの。。。。。ラストのまとめ方をみても人生訓ではあるが、なぜこんなに軽いんだろう。

評価 △
 



2003年03月21日(金) 棘 (女教師ラブ)

棘  鳴海 章 著    徳間書店  2000/9/30

中学校の国語教師、 麻生里久(あそうりく)は17歳年上の夫と別居し夜はデート倶楽部で働いている。 女教師そのラベルに群がる男達。 連続猟奇事件。 いじめ。 スコーピオンとは誰か?

女教師にたいする妄想の産物<あとがきより。
登場人物にも子宮回帰の願望をかたらせていた。 男はマザコンであるゆえに女教師にあこがれる。 みごとに妄想が結実していた。 その点では作者の意図どおりであり見事かもしれない。 

評価 △



2003年03月20日(木) 趣味は読書。  (ベストセラーを斬る)

趣味は読書。  斎藤美奈子著  平凡社 2003/1/25

本、ないしは読書する人について
1 読書の王道は現代の古老が語る「ありがたい人生訓」である
2 究極の癒し本は「寂しいお父さん」に効く物語だった
3 タレントの告白本は「意外に売れない」という事実
4 見慣れた素材、古い素材もラベルを換えればまだイケる
5 大人の本は「中学生むけ」につくるとちょうどいい
6 ものすごく売れる本はゆるい、明るい、衛生無害

個々の本についての論評はおいておく。 斎藤節ともいえる表現が新鮮にうつった。 楽しめる本ではある。

評価 ○



2003年03月19日(水) 十二支の童話 (寓話)

十二支の童話   薄井ゆうじ著  アクセス・パブリッシング  2003/1/21

十二支をねたにした寓話(そのまんまやね)

十二星座をネタにしたものもあるが 薄い軽い結論なし という印象が寓話らしい。 考えたいひとは自分で勝手に解釈していかようにもどうぞ という本ではないだろうか。  その場を楽しみたいひとはそれなりに、 イソップのようだ。

評価 △



2003年03月18日(火) 邪光 (自問自答)

邪光  牧村 泉 著     幻冬舎   2003/2/10

連続殺人事件をひきおこした宗教団体教祖の娘が 隣室に越してきた。 子供には罪がないのに嫌がらせをする人々に対し憤りをおぼえるヒロイン。 子供ならではの率直な表現にとまどいを感じつつも惹かれていく。 そして事件がまたおこる。

第3回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
古典的なホラーである。 自問自答に近く自らを崩壊させる。 予定調和にあった流れで安心(?)してよみすすめることができた。 

評価 ○



2003年03月17日(月) K・Nの悲劇 (憑依出産)

K・Nの悲劇  高野和明 著   講談社 2003/2/4

本が売れた。 一躍有名人になったライター夫婦の話。 うかれて購入したマンションだが あとが続かなかった。 経済的理由より中絶を決めたそのとき妻になにかが憑いた。これは心因性のものだろうか? それとも?? 「わたし誰だかわかる?」その答えは?

映像的な作品。 シナリオのようである。 論理的なものはなくムードを楽しむにはいいかもしれない。

評価 △



2003年03月16日(日) ムジカ・マキーナ (別世界)

ムジカ・マキーナ 高野史緒 著  早川文庫 2002/5/10

第一部 時代は中世音楽愛好家ベルンシュタイン公爵(ベルンシュタイン公国君主)は『魔笛』というなのドラッグを追っていた。 オルガニスト(ブルックナー)やウィーンフィル練習指揮者(フランツ)とのかかわりで、予期せぬ事件にまきこまれていく。
第二部 舞台はロンドンへうつる。 人気DJとなったフランツは メモリ(ヘッド)を駆使して自分の思い描く天上の音楽を実現させようとしていた。 直接イメージをとりこみたい。その誘惑にかられ 一線を越えようとしていた。 仲間の不可解な死。 音楽機械(ムジカ・マキーナ)とは?

作者の好きな設定である。 ベルンシュタイン公、 音楽家フランツ この名前は中公ノベルスの『ウィーン薔薇の騎士』シリーズにもでてくる。 時代設定も同じ。 正直第一部は またかという思いがあり 読むのに時間かかった。 2部になって一転SF風味がくわわったので 読了できたと思う。

評価 △(パラレルワールドということらしいが信者でないかぎりしらける)



2003年03月15日(土) オルガニスト (想い)

オルガニスト  山之口洋 著   新潮文庫 2001/9/1

音楽大学助教授テオドールのところへ一枚のディスクが持ち込まれた。 その演奏は友人ヨーゼフのものを喚起させた。 バッハに取り憑かれた天才オルガニスト。 事故ののため右半身不随となりテオの前からきえたかけがえのない友人であった。 音楽のためにすべてを投げだし想いを昇華させる。

オルガニストとは教会にあるパイプオルガンに類似した楽器を操る奏者のことである。 なにかを得るためには犠牲にするものが大きいほどいいのだろうか。 天上と地上の架け橋となる教会で起こる惨事。 自己完結していながらもヨーゼフの想いをけなすことはできない。

評価 ○



2003年03月14日(金) 100%ピュア 上下(親探し)

100%ピュア 上下 比留間久夫 著  1994/7/3

連続幼女誘拐殺人事件にからみ 千夏と 特別な男の子のロンドが始まる。
電子マガジン『メディアQ』セーラー服探偵団の愛は 叫んだ
「なんで誰も、お、女の子のことをかたらないの?・・・・・犯人が何をしたか、あ、あなたたち、本当にわかったるの!・・・なんで犯人にそんな理解をしめさなきゃならないの!」

父親探し、母親探し。 欠落したものをうめるためにそれぞれの方法でどん欲に追い求める二人。 たとえラストがどうであろうと満たされたのであろう。

評価 ○



2003年03月13日(木) きみの血を (吸血鬼)

きみの血を シオドア・スタージョン著  早川書房 2003/1/31

米軍兵士ジョージは上官から恋人に宛てて出した手紙の内容について問いただされた。 突如錯乱し襲いかかったが 上官を助けたのは意外なことにジョージの手からしたたり落ちる血であった。 恍惚としてそれを味わうジョージ。 その異常性のため矯正施設へおくられ、精神科医フィルとのやりとりがはじまった。

解説に1961年に出版されたモダンホラーの鼻祖というべき作品、キングもこれをかなり評価しているとの記述あり。 SF作家としての認識しかなかったので意外だった。 特に煽る記述もなく、淡々と話しは進むがなかなか味がある。 最後まであかされなかった手紙の記述に全てが集約しており、うまさを感じた。

評価 ○



2003年03月12日(水) アンジェリク (漫画)

アンジェリク  木原敏江画/S.A.ゴロン原作 秋田書店

時はルイ14世のころ。 天真爛漫にそだったアンジェリクが好き放題勝手放題に人を翻弄する。 金でほほをたたいた婚約者、幼なじみ、初恋の君と 順に結ばれ、全員の運命をかえる。 魔性の女。 みためは金髪緑の目という可憐さながら
罪を振りまく。 で いっさいの反省もない。つぎつぎお相手がわいて出る。綺麗だからこそ許される展開である。

実際 漫画になったのは フランスを舞台にした第一部(といっていいか)だけであり、原作はさらに続く。

女の子向けである。 

評価 ○(浸り具合がここまできたら ok)



2003年03月11日(火) The Five Star Stories (漫画)

The Five Star Stories  永野護 著 角川書店

ファティマ、マスター、MHの物語。 世界があってよい。
最初から全てのストーリー骨格ができておりそれに肉付けする形である。
ラストまでわかっていながらも ついつい追ってしまう。

評価 ○(個人的好み)



2003年03月10日(月) 夢みる宝石 (ファンタジー)

夢みる宝石 シオドア・スタージョン著 早川文庫 1979/7/31

水晶は夢を見る。 創造する。 
ホーティはジャンキーといつも一緒だった。 養父のもとから逃げだし、カーニバル一座(小人や鰐男ら異形のものたち)の仲間になった。 座長は夢の産物であるクリスタル人を集め、水晶に命令するすべを探し求めていた。 夢の産物は水晶とシンクロし、支配されていた。 水晶は一つだけでは異形のものしかうみださない。 では番いになったらどうなるのか?

異形ではあるが精神はまともなクリスタル人たちが魅力的である。 主人公ホーティを媒介として異形ゆえのせつなさ純粋さがみえてくる。 何度も読み返す作品。

評価 ○



2003年03月09日(日) 不思議な体験 (淡々と)

不思議な体験  比留間久夫著 集英社  1997/2/25

短編集
「サリーちゃんのパパとママがぷかり虚空に現れ、「うん」とうなずく」
   僕をささえてくれたのは 山岸ゆかりの一言だった。 彼女は透視能力をもっていた。 
「静電気の国の女」
   霊感体質ゆえに静電気で髪が逆立つ女性。 
「不思議な体験」
「ワイルド・ライフ」
   狼のエメラルダとなのる女の子を東京まで乗せていく。 車中での会話。
「雪女’96」
   俺は カードを2枚もっている。そこから引き出すためにフォローは万全。
「世界中が幸せになれ」
   
ぱらぱらと眺めて超能力や 人格乖離、 幽霊談といったエンタメ系の短編集かとおもって読んでみた。 しかしその要素より、人間を描きたかったように感じられた。 一シーンのみを描いてあるため 比留間氏の作品がどのようなものかは まだわからないが、 読みやすい作品であることは確かである。

評価 ○



2003年03月08日(土) 群青の夜の羽毛布(家族)

群青の夜の羽毛布  山本文緒 著  幻冬舎 1995/11/20

一時が万事なんですよ。 みんなわたしに頼っているふりをして、本当は疎ましく思っているんです。
あいつらにいつか復讐してやろって思ってるんですよ。
どうして毎日、家に帰らないとならないんでしょう。
家族には入れ物が必要なんです。
もしもう一度生まれ変わることができたら、わたしはきっと子供はつくらないでしょうね。結婚もしないかもしれません。
わたしは家族というものが、今は心から恐ろしいんです。<本文より

この作品を支配しているのは独白の主であるが正体がなかなかみえてこない。 さとるの物語はかなり進行が遅く、いらいらしそうだが、独白に助けられている。

評価 ○ 



2003年03月07日(金) ドラゴンの眼 (児童書 ファンタジー)

ドラゴンの眼 上下 スティーブン・キング アーティストハウス 2001/3/10

デレイン王国での物語。 王国がほしくなった悪い魔術師が国王を毒殺しました。 兄王子は賢く立派だったので邪魔です。 国王殺害犯人にしたてました。 塔に閉じこめました。 友達のベンが王子を助けるためにがんばりました。 魔術師をたおしました。 めでたしめでたし

キングが娘ナオミと友人の息子ベンのために書いた児童ファンタジー。 たむらしげるの表紙に惹かれて読んだ。 絶対悪の魔術師と 根は善良だがながされやすい人々、 毅然として立ち向かう王子という 三者で物語は進む。 しかし 王子気が長すぎる。 何年も幽閉されて脱出のために途方もない労力をついやし とても剣と魔法と竜の世界でのできごととはおもえないくらいだ。 安直に冒険ものにならないところが キングゆえだろうか。 魔術師は他の作品でも絶対悪としてでているらしい。 ファンは楽しめるかも。

評価 △



2003年03月06日(木) よく見る夢 (2時間ドラマ)

よく見る夢  シドニィ・シェルダン著  アカデミー出版 2003/2/1

局所切り取り連続殺人事件。 彼らとつきあっていた女性は存在していなかった。 3人の女性と5つの死体。 これらを結ぶものはなんだろうか。 驚愕の事実がかくされていた。 

登場人物がすくなく シェルダンの超訳は読みやすい。 まったく共通点のない3人が協調したラストは予想の範囲内になった。 設定等はなんら目新しさがなく、意外性もないが読んでる間は楽しめる。 このまま映像にできそうだ。

評価 ○



2003年03月05日(水) Mの日記 (アダルトとのうたい文句・官能ミステリ?)

Mの日記  ローラ・リーズ著  早川書房  2000/5/20

「O嬢の物語」に匹敵する作品と高い評価を得ている<解説より

ノーラは、妹(フラニー)の日記につづられていたMとの日々を読み、 彼女のことをなにもしらなかったことに気づいた。 いったい何をみて、何を感じて、どうして殺されたのか。 フラニーを殺したのはMではないだろうか。 陵辱されて縛られて放置され、発見されたときには腐乱していた。 Mを探ろうとしたところ新たな世界に誘われた。

この作品をしったのは 「つめたいセックス」を検索したとき。 なんと図書館にあるというのでどの程度のものか興味をひかれた。 抑えた描写でさほどのグロテスクさでもない。 調教、獣姦程度であった。 興奮させるための小説ではない。主人公の心理変化が ありきたりな筋を通りながらもこの作品では唯一読めるところかもしれない。

評価 △



2003年03月04日(火) 空のかあさま 金子みすゞ全集2 (詩)

空のかあさま 金子みすゞ全集2  JULA出版局 1984/8/25

星のかず

十(とお)しきやない        十しきやない
指で、               指で、
お星の               お星の
かずを、              かずを、
かずへて              かずへて
ゐるよ。              ゆかう。
きのふも              いついつ
けふも。              までも。

含蓄がある。

評価 ○



2003年03月03日(月) 12の星の物語 (つれづれ)

12の星の物語  薄井ゆうじ著  アクセス・パブリッシング 2002/12/23

12星座をモチーフにした作品。寓話である。

どの物語が好きかによって、自分の気づかなかった一面が見えてくるかもしれません。この本は宇宙とあなたの心を映し出す、12枚の鏡です。<後書きより

長編のほうがムードあり好み。

評価 △



2003年03月02日(日) 人形(ギニョル)  (空虚)

人形(ギニョル)  佐藤ラギ著  新潮社 2003/1/20

SM作家猪俣泰三は 同性愛パブにでいりしていた。 ギニョルの噂をききいってみると、そこにいたのはガラスの眼をした少年だった。 だれにでもタダでなんでもさせる男娼ーギニョル。 その裸体はまさに傷の陳列だった。 嗜虐的炎をもえあがらせる存在。 惑わされ虜になった。

第三回ホラーサスペンス大賞受賞作。

人の暗黒面クローズアップを意図しているのだろうか。 だとしたらありがちな折檻でそれを表現したため 怖さはかなり減っている。 
まったくこわくなかった。 この賞を受賞している作品3作連続こわいとおもわないということは。。。 これ以上参考にしないほうが いいということだろうか。

評価 × (個人的嗜好のため)



2003年03月01日(土) ダーウィンの剃刀(サスペンス)

ダーウィンの剃刀  ダン・シモンズ著  早川書房  2002/1/15

事故復元調査員 ダーウィン・マイナー が マフィアに命を狙われた。 しらずに大規模詐欺グループのしっぽをつかんでいたらしい。 何故、狙われたのか。 相手を誘い出すための囮役をひきうける。

一般にサスペンスといえば 狙われた時点から非日常の世界に入り込む。 しかし、ダーウィンは淡々と普段通りの仕事をこなしており、好感もてる。 数式やうんちく、事故復元も多種でてくるので それをよむだけでも楽しいだろう。(チャレンジャー号爆発、 ダイアナ妃事故など) 二段組なのでとっつきにくいが読み始めたら一気に終わる。

評価 ◎


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