くじら浜
 夢使い







井戸の中 8   2014年04月01日(火)

とても長い深い階段をおりていった。

闇と対峙し、闇に抱かれ、ふたりは闇に溶けていく。
かすかに風のにおいがした。

いまならどこだって行けると思った。そこは峠から下りたくじら浜かもしれないし、ひとりで登ったおでもり山かもしれないし、夢を話したがじゅまるの上なのかもしれない。君の行きたいとこはどこなんだい。わたしはわたしを知っている人が誰もいないとおいとおいとこに行きたいな。だったらぼくがそこに連れてってあげるよ。

ふたりはさらに深く闇に溶けていった。






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