白日の独白
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2004年07月31日(土) テョコレートの人。

貴方は『相手の秘密を見事に暴く会話の魔術師』タイプです

他人の秘密を知りたい訳じゃない。
唯、秘密も秘密でない事も全部含めて、僕の話をしたくないだけ。
衝動的に語ってしまうと、何時も僕は怒っている。
一体何に対しての怒りなのかは僕にも解らなくて、どんどん混乱する。
口から出てくる言葉達は、得体の知れないものになって僕を呑みこむ。
それが堪らなく怖いだけ。

秘密なんかどうでもいいけれど、僕は『言葉の魔術師』にはなりたいです。


2004年07月30日(金) 茶番。

暑くも無く涼しくも無く、けれど不快な風が通り抜けていた。

改札の前で女が倒れていた。
僕は靴を履いていたのでよく解らないけれど、日陰のコンクリートは気持ちがいいのかもしれない。
周りへ助けを求めるだけで自力では何も出来ない無力な男が可哀想だったので声をかけた。
と、女は僕の言葉に反応してムクリと起きた。
要するに女はそういう訳だったようです。

女の大きくて丸い御尻を見て、今日は豚カツを食べることに決めた。


2004年07月26日(月) 無資格者。

その資格を与えられないのは、自分ではどうすることもできないこと。

君が一言も話さずに、何かを押し留めている姿を見て可哀想だと想っていた。
彼女を取り巻く環境が急に動き始めたのを目の当たりにして、君だけじゃない。
僕もまた無価値な存在なのだと知った。
僕は関係無いから、決して心動かされないと想っていたのは唯の否認。
君を可哀想と思う事で、惨めな僕を認識することを防衛していただけ。

薄っぺらな人間。
反吐が出る。


2004年07月22日(木) いつもと違う。

彼女とふたりで、いつもと少しだけ違うことについて確認してみた。
一体『何』がそうさせたのか。
『あのコ』は他とどう違っていたのか。

『あのコ』の素直さや従順さは、表面上だけだと理解していた。
剥き出しの感情を受け止める事に少し疲れていた僕には、その表面上の素直さが心地好かった。
と同時に、一刻も早く手放したかった。
『あのコ』が一転するのは目に見えていて、それが嫌だった。

結局、僕等は『あのコ』に巻き込まれたのだ。
それが『あのコ』の遣り方。


2004年07月20日(火) カセクシス。

眼が合った。
そして暫しの沈黙。
初めに逸らしたのは君。

君は恐ろしいモノを見たようだ。
眼を逸らすだけでは足りなくて、母の乳房に逃げ込んだ。
怖いモノ見たさ
時折視線を上げては直ぐに逃げ出すのに、目を瞑ることは出来ない。
母は気付こうともせずに「甘えん坊」と笑っていた。

君もそうやって大人になるよ。
理解はされなくても、君には逃げ込む場所が『今』はある。
けれどそれも直ぐになくなるだろう。
だからこそ、その乳房の暖かさを忘れないで。


2004年07月15日(木) 『果て』以前。

天井をゆろゆろと這っていた風船が、気付くと小さく萎んで床に寝そべっているように。
張り詰めていた気持ちが、少しずつ少しずつ抜けていたことに気付かなかった。
もう少し待てば結末は同じになるのに、自らの手で止め具を外してしまった。
『あと1回』
つまりまだ終ってはいない。

真っ白な砂浜は消え失せて、此処にまで汚れた水が。
そして『悪魔』が僕の顔を覗き込んだ。
はての浜へ行く夢を見た。


2004年07月13日(火) 皆勤賞派。

『休む』というのが怖かった。
自分が世界から取り残されてしまうような気がするから。
それが取り越し苦労だいうことも解っていても、行くしかなかった。

あの時の僕は小学生で、冬休み前に病気で10日程休んだことがあった。
学校に行かない毎日は気楽で、勝手に冬休みに入った事にしていた。
けれどいつまでも家で唯寝ている事を母は許さず、僕は学校へ行かされた。
久し振りの登校。
クラスメイトの反応に戦々恐々としていた僕に対する周囲の反応は、驚く程淡白であった。
僕は居ても居なくても同じということだった。
『他人は自分が考える程、自分の事を考えてはいない』
10日後に得た答えだった。

答えを得た所で即開き直れることはなくて、その後も僕は皆勤賞を取っていた。
最近になって漸く、何も心配せずに時に休めるようになった。
僕が少し自由になれた所もある事に、少しだけ安堵する。


2004年07月12日(月) 君が見えない。

いつもの僕なら冷静に対処したはずだ。
心が動くのを堪え、感情を殺し、抑揚の無い声で。

引鉄は一体何だったのだろうか。
『疲れていたから』だけじゃないのは明白。
彼の立場が悪いのを善いことに、僕はサディスティックに振舞っていた。
そうでなければ、こんなにも罪悪感や後味の悪さはない。

彼に誰を投影していたの?
彼はとても気弱そうな人だった。


2004年07月11日(日) 言っても仕方のないこと。

彼女の口から溢れ出した言葉。
彼女を見詰め、頷きや相槌をして、時に同意する。
きっと彼女はそれを望んでいるから。
けれど僕は不平不満には厭き厭きしている。
僕達が話すことは他にあるのに、煙に撒かれたと密やかに彼女を責める。

他者を責める彼女と彼女を責める僕。
僕が変わらなければ、結局何も変わらない。
また、心が離れた。


2004年07月07日(水) 残るのは自嘲。

読んでいた本の内容は頭には入らず唯只管文字を目で追う。仕舞にはそれすらもできなくる。心拍数が上がるのを感じ喉に違和感。ガムシロップがたっぷり入ったアイス珈琲が急に苦味を増して胃を刺激する。込上げる吐気を必死に抑える。手が震え始めた。何も手につかないのに何かをしないと居ても立っても居られない。目の前がチカチカとしてきて頭も重たくなる。息が苦しい。胸が苦しい。煙草が欲しい。僕に普通の呼吸の仕方を想い出させてくれるはず。何だか寒い。周りの音がやけに五月蝿い。静かにしろ。こんな想いまでするならやめればいいのにと僕は言う。けれど『何か』を期待している僕はやめる気なんかない。『何か』は嬉しいことかもしれないし嬉しくないことかもしれない。『何か』がわからないから不安になる。苦しくなる。『何か』なんて何もないと冷静な僕は言う。珈琲を一飲み。席を立って歩き出す。立ち止まって煙草を一本。煙草を二本。『僕は大丈夫』と御呪い。そして結果は冷静な僕の勝ち。『何か』なんて何もなくて。僕は誰とも視線を合わせず逃げるようにその場を立ち去る。


2004年07月04日(日) 6.名古屋市美術館/7.エッシャー展

☆名古屋市美術館(常設展)

本当は大好きな豊田市美術館に行くつもりだったけれど、企画展は6日から。
どうせなから行ったことの無い名古屋市美術館へ・・・・その程度の気持ちだった。
広さも質も丁度良く感じられ、予想外によかった。
僕の絵の趣味が少し変わってきたことの気付かされた。

★ エッシャー展
☆ 松坂屋美術館

『騙し絵』も大好きだけれど、そこに至るまでの風景画は素晴らしい。
エッシャーの絵と風景写真との対比から、物事を把握する能力の高さが窺い知れた。
何を残し、何を捨てるのか・・・・取捨選択する能力に溜息。
僕もエッシャーで訓練しよう。
表面を見る。表面の裏をみる。表面の周りを見る。


2004年07月01日(木) 必死の鎧。

何とも言えない唸り声が前方から聞えたので反射的に其方を見遣る。
ヨレヨレのTシャツに黒のリュックを左肩にかけた屑男が、柄シャツを着たヤクザ崩れの屑男に凄い形相で睨むと足早に立ち去った。
ヤクザ崩れの屑男は2度程呼び掛け、舎弟と思しき屑男に追い駆けさせた。
15秒程言葉で罵りあった後は、唾をかけたり殴ったりしていた。
どうやら小競合いの原因は『肩がぶつかったから』のようであった。
急に屑舎弟は脱兎の如く逃げ、リュックの屑男が其れを追い、見ると警官がふたりを追い駆けて行った。

周りに居た人々は、足を止めてふたりの遣り取りを遠巻きに眺めていた。
その表情は『苦笑い』とか『嘲笑』或は『無表情』で、『恐怖』ではなかった。
彼等が護ろうとしているものの儚さに、何だか居た堪れなくなった。


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