しゃぼん暮らし
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2004年12月24日(金) まふゆび



しばらくニッキ

冬休み。


みなさん


あたたかき冬の日を。




きょうは五時半に起きて走りました。

自転車にふたりのりしてる老年の男女をみた。
後部に横すわりした
おばあちゃんの足がぴんと伸びていて
かわいかった。


きょうで
ひとつ歳をとりました。



でもべつだん変わりありません。


今アイロンをかけています。
しゅうしゅういってます。



それではね。





2004年12月19日(日) 点眼

おでかけ

船とか港とか観覧車が
光り輝くところへ

人、人、人、、、、

人工雪がふりそそいだり
巨大ツリーが音楽を奏でたりするのを
(ここまできて冬ソナ?)

見学


「ラブなひとばっかだねぇ」と
小三



駅までの動く歩道はぎっしりと人がつまっていて
脇の動かない歩道を

全速で走りだす

おさないひとらが
きゃあきゃあとしがみつく

ええぃっ、じゃまっけじゃぁ、とふりほどき走る
しがみつかれ、ふりほどき、こちらもタックルしてねじ伏せて
ごろごろ転がりながら



すすむ


こんなことしてるの
わたしたちだけだった


ひろたさんは遠くから
見ていたようだ



小雨


2004年12月18日(土) レーン

あるいは、熱いれもんの夜



(置くのだ、投げるのではなく)


と遠い昔に教わったおぼえがある
マイ・ボール、マイ・シューズのひとだった

左利きのユイを見ているのは面白い
力任せで自分の重心がうまくとれないようだ
鋭いスピンを繰り返して
あっちこっちにぶつかって

午後
公園で二列に子ども会のひとたちを並ばせて
コヤマさんはふわふわの毛の上着を着ていて
「このしろいおばちゃんについといで」と言った

レーンの連なる遊技場にきた私たち
わたし、何年ぶりかなあ、置くの、と思いつつ

小さい子用の発射台、なんてあるんですね
原色、びっくり
レイの番がくるたびに五年生の健人君が据えてくれた
一投目が終わると残ったピンに角度を定めて

二時間、みんなで投げまくる




夕方解散
急いで子供達にごはんを食べさせて
ドレス、とかを着る

幼稚園の夜のクリスマス会
もう今年でさいご

蝋燭も聖歌隊もちいさな劇場も
サンタさんたちも

東方の三博士は空の星にみちびかれた
だからうえをむいて、みなさん、
と若い牧師さま
このひとは講話としてのネタを
いくつお持ちなのであろうか、とすこし考える
博士が運んだという、香りのするものがお母さん達のあいだをまわる
くんくん、と
くんくん、


もっと遊んでいたかった



門から庭へはじまるひろがるしろい電飾のひかり
誰もいない教室の窓や木の椅子に映っている

そとのものがすべて内に映りこんで
そしてわたしがそれを見ていた

わたしがひとりで
あの中にいるような感覚におそわれる



だれか


いたでしょう




             ね




帰宅して
きょうは忙しかった、
楽しかったね、と


レモネードを飲んだ

ちっさい子がふざけて
はうっと息をふきかける



れもんくさい






2004年12月16日(木) たとへば君

すくってもすくってもすくっても

きりがないのである

「ああ、達成感がないわー」とエプロンの人々

軍手を忘れてきてしまって
幾度も
つかむ

葉のかたまりを
さわって
指で

大きなゴミ袋に枯葉たちひしめいて
ナイロンのないぶに滲んでくる水滴はみえない
こきゅう、してないのかな
やっぱり


葉裏の砂を落として



「んぎゃあ!」


とおくで悲鳴がして
猫のうんちをつかんでしまったミチルママである
鴨吉(鳥)の水のみ場で手を洗いながら


「ひろたさん、素手はあぶないよー」


今度はこっちへやって来る

「もう、わたし、いやだあ!」


袋をおおきく広げて
なかに風をいれながら
近づいてきた

そして

袋の入り口をもったまま
枯れ葉の山をかかえこんだ




「億万長者方式ですね」



2004年12月15日(水) はすかい

   ひいらぎ
   かざろう

           ららららら

      ら 

              ららら
         ♪


誰もいない
音楽室でお弁当を食べて
おにぎり、さめた温野菜、お茶

音をとっていた


聖歌隊の楽曲と
新年コーラスの音符があたまのなかで
交錯しています


        
      すまいる、あげいん、すまいる、あげいん、
        
               どんなあなたも
            ♪




フルヤ先生がやってきて発声練習

壁に手を
斜めにからだをささえながら
声を出す


きゅーゅーっ、となる


先生がひとりひとりの骨にふれてゆく

肋骨をあげてもらう

鼻のうしろのあたりに血を集めてゆく




   うすい、こおり、を

           たた、き、わって、


       ♪

                おどり、あがれ、


      こいよ、ふあなよ、



2004年12月13日(月) 11手

葉はおおきくて
てのひら状

これは八手

でも緑の線は11本あるよ
だから

我が家の玄関に
水のペットボトル


ぽんっと

帰り道
歩きながらともだちにふっていたもんね
やわらかい手さき

挨拶



いつのまにか近所のガレージショップが
古着屋さんになっていて
しかもぜんぶ着物

困る

車椅子を運びながら
ダンボール箱の帯の刺繍など眺めていると
ああ、500円なのね、
笑いつつ物色して
小春日和、とはこういうものであろうか、と思う
おばあちゃん


シャッターの奥

天井に渡した粗末なロープに
吊るされている
幾重もの裾の

目の端にどうしても映ってしまって
動けなくなる

極月ね

きれいね



くらい漣

なんてきれい


2004年12月12日(日) キレンジャーぷらむ

寒い寒い日になって
わざと各停に乗る日曜日

南大沢へ
ぷらむ短歌会

やさしい雰囲気にいつもほうっとしてしまう
東さんの声といっしょに


「鍋のウコン」「初木枯」「黄色人種の声」「巻きしめた黄の蕾」「それぞれの繭つくるよう」「萌黄」「はざま」「黄みを帯び」

さてお題は<黄>でした
わたしさいきん題詠にがてかも・・・ぬぬぬ

<短歌ミニ講座>は大野道夫氏の巻
そういえば先日のffの打ち上げで
お会いしたばかり

根源的疲労の夜中しゅわしゅわと老レスラーが火を放ちたり(大野道夫)

どういうわけかぷらむにもプロレスなひとたちがいて
みょうに熱く盛り上がる
可笑しかった


夫の仕事の都合でざんねんながら忘年会はしつれいして
家路を急ぎました



人を待つ一人一人へ雪は降り池袋とはさびしき袋(大野道夫)


2004年12月11日(土) ミシン工場で

屋上

冬の陽が正方形の浮きあ

がった床に

差し込んでくる

朝になってゆくところです

蝶番がなかった

ビルの側面にはりついた薄い外階段は
いつもわたしを誘惑する
靴音をみとめる鉢植えされた植物たち

侵入者は

しかしいわゆるチェアにあさく腰掛けて

屋上には
しろいペンキが所々剥げて
鉄の色がみえている
ゆるやかな椅子があったのです


それだけ



2004年12月10日(金) タレント

ハウスの
おおきなツリーにりぼんを結ぶ
ゆるやかな終わりにむかって運ばれる季節
祝祭

贈り物にはやはりひとつの才能が
ひつようであることよ



もっとうえのほうへ

ここですかね





痩身の男の子のようなそのひとは気になっていたのだった
秋口まで姿を見せなかった
きのうたまたま隣でゴール付近を守っていて
親子サッカー
ぜいぜいと息を切らして
やっぱおうえんだけにしときゃよかった、
やみあがりはきついわ、と
わたし癌だったのと言う
もどってこれたの、と
そよとも靡かない短髪のぶっきらぼうな声音




朝おしゃれしているひとに
「これからデート?」と冗談めかすと
「たまごっち二個組」らしい
「ミチルのために走るのね」
「うん、横浜まで、」
クリスマスの人気商品なのか
開店時間へ走るミチル母さん



「ひろたさん、かりん、いらない?」


園庭の裏の坂道を歩いていると
宗一郎せんせいに声をかけられる
寒い日だった

きいろの果実は遠くはなれている
なんてきれいな、でも
香りがわからない
こんなところに実っていたのを知らなかった
なんとなくもったいない気がして

「ごめんね、今度」と言うと

「じつは、ひろたさん、」と来週のクリスマス祝会の
ちょっとしたお手伝いを頼まれる

「なんだーかりんでつられるところだったのかー」と笑った





このへんですか





夕刻
ひとりでそっとはいった喫茶店に


加湿器があった

部屋がせまいためか
透明な冷却ボックスのうえに置かれて
いた



たかいところから
かしつされることははじめてだった





2004年12月07日(火) かお


五歳のれいちゃん
さようなら
と裸の子をだっこしていました


(あした誕生日)




カラヴァッジオの描くマグダラのマリアは
とてもかなしそうな顔をしています

どうしてあんなにかなしそうなんだろう

聖歌隊の楽譜、
表紙の絵をさがしていて

「1953年ころ・・・、ふつうのひとをモデルにして聖人をかいたので、そのころのひとからはよくおもわれていませんでした」


座布団のうえには
年賀状の筆文字したためていて

(羽音、光、泉、遷都、窓、孵、広葉、、、05050505)


ちらかる
ちらかる

にわたずみ



「ベーキング・パウダーは使わないの、卵白だけでふくらむのよ」




とほき彼方の壁のうえにはくれなゐの衣を着たるマリア・マグダレナ(斎藤茂吉)




2004年12月05日(日) 黄な粉を浴びて

夜の嵐が去って
ぴかぴかの晴天である

もう公園では薪を積んで釜をしかけて
しろい熱い煙がもうもうと


子ども会のお餅つき大会
とても暖かい日になったけれど

強風


火の粉が飛んでくる
灰、黄な粉、片栗粉などせいいっぱい浴びて
一日はたらく


<兎やさん>の御主人が助っ人にきてくれた 
近所のおいしい和菓子屋さん
さすが職人さん!
ゆびをじっと見てしまう
みるみる餡玉がしろいお餅にくるまって
大福ができていった


きなこあんこ、しろもち、お雑煮までつくる
そして炊きたてのモチゴメにかつぶしとお醤油をまぜて
かっちり握ったちいさいおにぎりが美味しかった





2004年12月04日(土) はめ絵の鯨

オープン・スクール

はじめに坂をのぼってユイの小学校へ
眠そうなひろたさん(夫)をひっぱってきた
じぶんの娘、こんななのよ


わたしはしばらく参観してから幼稚園のほうへ
年長さんと一年生の合流授業が行われているのだ
妹はこっちのほう

巨大なダンボールの三角柱が所々に
どん、どん、と立っていて子供達が絵を描いている
床にはびっしりシートが敷いてあるので
おもうぞんぶん、絵の具を滴らせて遊べる
平筆を曲がり角に走らせながら
ダンボールにむかっておしゃべりしながら移動しながら描く子
ひとつの面に物語を展開させている子
ひとりひとりむしんに作業しながら
おなじ三角柱に動くともだちを感じながら

絵の具が乾くと
今度はノコギリだ

取っ手のあかい
ちびのこ

まざりたい

今しがた描いたばかりの世界に切り込んでゆく
その手のちから
順手逆手あぶない手
いくつもの柱を回って歩いて
いろんな手の動きを確かめる


ひとりひとり切り取りたい所、形、大きさが違うのだ

柱が揺れて
さっとそばの大人が手を添えてささえる


とこだどこだ
君達は空白をつくってゆく

もっともっと
ちいさいひとたち


(巨大なパズルをつくる授業なのですね)

先生方は黒子のようだった
時間がきて感想を言い合う場面が終わっても

(理想的な現場ですね)


不思議な穴がいくつも空いて
手が入る
風が通る


いつまでも
遊んでいたい




もっともっと


2004年12月02日(木) 枯葉のアルバム

見当をつける、ということが
わりあい下手なため

こうやっていつまでもしゃがんでいる

れんが色の表紙のアルバム
すいこまれるように頁をめくってゆく
なんだろう このモノクロのあかるさは


施設のおつかい
川沿いの路をえんえん歩いてかえる
さむざむとしたゴミ捨て場には
烏のつつくものがないらしい
それはぽつんと捨てられてあって

黄ばんだ写真の数々

異国からきたひとたちの学校での記念写真が多い
横浜中華街のなかのふるい学校か
こまかい文字、レイアウト、ところどころに素朴なカットが添えられていて
個人がちゃんとつくりました、という本になっている



しかし

主人公がわからない



もと持ち主は男のひとのようだ
やんちゃな仲間とふざけているスナップ



どのひと?



そして現在は中華街の料理人なのかもしれない
裏にレシピの束



しばらく眺めたあと
二枚の写真を抜き出した

十字架のある建物のまえに整列している夏の少年少女達
なふだ、しろい靴、おさない脚を出して
みんなまっすぐに手をさげて

もう一枚は
伊豆めぐり 東海バス定期遊覧 ハワンアンコース 植物園前
とある もうずいぶん大人になっている 中年といわれるような齢
皆ゆったりと座って 椰子の木々 うしろにまるいフォルムのバス
女の人達のクラシカルな帽子


わからない


そしてスンドウフチゲ、の材料と作り方がかかれた
お料理のメモを持って帰る



なんとなくひろたさんに見せたくなって


きっとなにも言わないと思う


2004年12月01日(水) 単三茶



ぼちゃん、

と音がして

昨夜わたしのカップに子供達が乾電池を
落としました

そんなような

師走です


理由もなく市場で働きたい

実はエゴン・シーレが好きです
めずらしい髭のポストカードを見つけたので
もうすぐお誕生日の髭の画伯に送りました
今月はお誕生日者がおおい


雪を待っているのに
気配なしさ


早朝
暖冬とはいえしゃつ一枚ではしのげぬ、と
いつまでも明けないような沈んだ青を
みながら走っていますと
数日前、路上に捨てられたジャンパーが、ふかぶかと、待っていて
今それを着て走っています

かってしてすいません



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