Leonna's Anahori Journal
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2009年06月18日(木) 四万温泉(2)

 
四万温泉の泉質は、ナトリウム‐カルシウム塩化物硫酸塩泉(弱食塩泉)だそうで、町中に硫黄臭がまったく漂っていないのが少々さみしい。しかし、そのおかげ(?)で飲泉が可能なのだった。ブラボー。飲める温泉へ行くと用法用量を守らずにとにかくガブガブ飲むチマリスである。今回もたくさん飲んだ。

下の写真は散歩途中で立ち寄った飲泉所(Y撮影)。
タダなのを良いことに何杯も汲んでは飲み、「なんか、ほんのりとしょっぱい味がする〜」などとはしゃいでいたのだが、あとで写真をみたらそもそも飲泉所の名前が「塩之湯」というのだった。
 


 
四万温泉でもうひとついいなと思ったのは、お湯が熱いこと。ひなびた雰囲気だけど、温泉パワーはなかなか。四万川に沿って白い湯煙があがり、町中には無料で入れる外湯がいくつもある。ブラボー!ブラボー!!
 
ところで、小さな温泉町を流れる渓流四万川は、とてもきれいな薄水色をしている。きれいはきれいだけど、こういう色はあまり見たことがない。はい、これが水色ですよ、というまるで見本のような色と透明感なのだ。川底の色とりどりの小石の色が全部きれいに見える。上流にある積善館のそばの橋の先は普通の水の色で魚が泳いでいたから、あの薄水色は川岸(あるいは川底)から湧出して流れ込む温泉成分と関係があるのかもしれない。

散歩帰りに酒屋で日本酒「水芭蕉」を買った。以前、草津で飲んで美味しかった冷用酒だ。温泉には地酒。これもチマリスの掟のひとつ。「水芭蕉」は人気商品とみえて(旨いもんなぁ!)吟醸だの、純米吟醸だのいろんな種類があった。甘口の純米吟醸の小瓶を選んで上機嫌で宿へ戻り、夕飯前に一風呂。熱めで、柔らかいけどしゃきっとした、いいお湯だった。
 
内湯で温まったあと、四万川に沿って造られた露天風呂に入ると、すぐそばで小さな段差を流れ落ちて下流へと向かう水のザーッという音がする。立ち上がってみると仄暗い照明の中に白い水しぶきが見える。怖い。ザーッという音がやたら大きく聞こえ出す。

前世で何があったのか知らないが、私は水の落ちる音が怖いのだ。特に、動物の口から水の吹き出る大きな噴水(ヨーロッパの町に多いやつ)は恐ろしくて、近くへ寄ることもできない。
ずいぶん前、会社の友人と大きな温水プールへ行ったとき、ブロンズ製の小さなイルカ(件のヨーロッパ風に造ってある)の口から水が流れ落ちている場所があり、最初気づかずに泳いでいたのだが、そばへ行って水を吐くイルカに気づくと慌てて水から上がった。気分が悪くて、それきり泳ぐ気がしなくなった。
 
川は人造物ではないし、昼間見る分には何でもなかったのだが、夜も休まずザーザーと流れ続けている(当たり前)。音だけで、暗くて見えない分にはそうでもないのだろうけれど、薄暗い中でしぶきをあげている水を見たら、急に恐ろしくなって露天風呂から出た。よろめきながら内湯へ退避。あー、こわかった。みんなあの中途半端な照明がいけないのだ。夜は暗いのが当たり前なのだから、見えないものは見えないままにしておくのがよろしい!
 
この訳の分からぬ恐怖心についてYに話したのだが、まったくわかってもらえず、不思議そうな顔をされてしまった。うーん。ま、そういうものかもしれません。あきらめて風呂場の外の休憩室でカプカプと飲泉した。 
 
 
 


2009年06月17日(水) 四万温泉(1)

 
先週末、友人と群馬県の四万温泉へ一泊で出かけた。
土曜の正午、上野発の特急草津で出発。さっそく東京駅GRAN STAで買って来た京風弁当をひろげる。同行のYは高校時代の同級生で、この頃ではパラグライダーで空の高い高いところを飛んでいる。先日、ついに念願のトップアウト(高度2千メートル超え)を果たしたという彼女にそのときの話など聴きながら、これもGRAN STAで調達してきたデザートを平らげる。
食事、おしゃべり、読書、睡眠、なんでも自由にできるのが汽車の旅の良いところだ。

中之条駅で下車して、バスに乗り換え、四万温泉までは四十分ほど。
交通渋滞とは無縁ののどかな風景の中をバスはスイスイと走る。梅雨時ゆえ曇天、小雨は覚悟のうえだったが結局一度も雨にあわずに済んだのは幸運であった。
 
四万温泉は四万川の渓流沿いに旅館の点在する静かな町だった。
今回の旅を計画してくれたYによると、この温泉街には「千と千尋の神隠し」に出てくるお湯屋のモデルになった積善館という旅館があるという。宿の部屋に荷物を置くとすぐ、散歩がてら出かけてみた。(下はYの撮った積善館の写真)
 
 


 
 
 
 
 


2009年06月10日(水) 知能指数が100以下

 
出勤前、テレビで村上春樹の新刊、100万部突破というニュース。
100万部には驚かないけれど、その書名を聞いて一瞬かたまる。
 
 
…ずっーと IQ84(アイキューはちじゅうよん) だと思ってました。
 
 
そう思い込んでいるものだから、amazonからメールが来ても、書店に告知が貼ってあっても、とにかく全部、IQ84(アイキューはちじゅうよん)と読んでしまう。つい先日も友人と電話で話しながら「ああ、アイキューはちじゅうよんねー」なんて言っちゃってました。

春樹とあたしの間の溝もここまで深くなったんじゃもう修復不可能かもね、とかなんとか、書いてみたところで虚しい。
あたしのIQ、ほんとに84くらいかもなぁ…
 
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ところで、この100万部という数字を見て思うのは、村上春樹、孤独だなぁということだ。
だって、内容もわからないうちから何十万部も新刊の予約が入って、発売数日で100万部が売れちゃうんだよ。ゲームソフトじゃなくて、純文学が。
これが孤独じゃなくて、なにが孤独なのさ。

春樹がコミュニケーション不全(決して他人の心に立入らない)の、わけわからん小説ばかり書いてたとしてもそりゃ当然、という気がしてしまうよ。
 
 





 


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