冒険記録日誌
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2021年05月08日(土) |
ギリシャ神話アドベンチャーゲーム2 ミノス王の宮廷(P.パーカー他/社会思想社) その7 |
原攻撃点 6 ヘパイストスの剣 (攻撃力+4)* 原防御点 10 ヘパイストスの胸当て(防御力+4)*、ヘパイストスの盾(防御力+4)*、古びた兜(防御力+2) 名誉点 28 恥辱点 6 所持品 母の宝石 守護神 アレス神 * 神々やそれに属する生き物との戦闘では、ポイントが6に増える。
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拙者が意識を取り戻すと使者の神ヘルメスが目の前にあった。 「たいぶてこずっているな。アルテウスの復讐からやり直して親書を手に入れたらどうだい」 ヘルメスは拙者にからかうように言ってからパット消えた。一巻からだと?とんでもないわい。 起き上がってあたりを見渡すと、船の甲板に寝転がっていた。船はクレタ島の港についたところだ。
船長と衛兵がなにやら話しこんでいるのが見て、心を決めた。ミノス王の宮殿に行けばどうしても武具を失ってしまう。しからば、最初から逃亡してはどうだろう。 拙者は脱兎のごとく、船から駆け降りると港を駆け出した。衛兵が慌てて拙者を追ってくる。 「待て奴隷め!脱走者はその場で切り捨てるぞ!」 奴隷ではござらん!衛兵が追いついてきたが、あっさり返り討ちにいたすと(名誉点を3点得る)、そのままミノタウロスの住む迷宮を目指して、道を走りつづけた。
いきなり、草むらからまた二人の衛兵が飛び掛ってきた。完全にフイをつかれてタックルを受けた拙者は地面に転がってしまう。なんたる不覚! 衛兵は拙者を牢にぶち込める。トホホ、結局捕まってしまうわけか。 いや、待てよ。ここは親書がなくてぶち込まれた牢屋と似ているがパラグラフ番号が違う。 試しにヒントを使って見ると、拙者は見張りの目を掻い潜って窓から脱出することができた。 回廊を進む選択肢もあったが、そのまま衛兵に見つからないよう建物の上へ上へと、壁をよじ登っていくことにする。てっぺん近くの窓にたどり着く頃には、腕がしびれてもう耐えられなくなっていたので、その窓から部屋に転がり込んだ。 「誰だい?」 するどい誰何の声が飛んできた。振り返ると、アマゾンの女戦士が1人槍を構えて立っていた。 アマゾンの女などミノスでは珍しいはず。そういえば! 「レンブラ。そなたはレンブラだな」 「なぜ私の名前を知っている?」 「私はアマゾンの女王アンティオペから、困ったときはそなたに助けを求めるように言われたのだ。拙者は今、衛兵に追われているのだ。しばらく身を隠させてもらえまいか」 レンブラが鼻をフンと鳴らした。 「なにを言う、アマゾン人は後ろ暗いことはせん。さあ、ミノスのところに言って、一緒に決着をつけようではないか」 なんということだ。アンティオペの助言は役に立たなかった。 おまけガチャガチャと音をたてて、衛兵達までやってきて飛び掛ってくる。もはや絶対絶命。 「お待ち!」 そのときレンブラが衛兵達を一喝した。 「私の前でかってなことはさせないよ。これは何の真似だい」 「レンブラ様。こやつは牢から脱走したのです!危険な奴でして」 「私にとって危険などあるものか。私がミノス王のところに連れて行く。女王アンティオペの友は私の友。弁明の機会も与えないのは不公平というものだ。さあ、そこをどきな」 衛兵達はオドオドと道をあけた。レンブラは拙者にだけわかるように片目をつぶると、「悪名高いのも役に立つのさね。あとでアンティオペの様子を聞かせておくれ」と囁いた。
レンブラと共にやってきた玉座の間には衛兵が立ち並び、ミノス王が立派な椅子に堂々と腰掛けていた。 「レンブラ。おまえは衛兵を殺したうえ、捕まった後も牢を抜け出すようなこの男を信頼するのか」 「はい。彼が衛兵を殺したのも、半ば正当防衛のようなもの。私が身元引受人になります」 拙者は、玉座の間につくまでの間にアマゾンの女王アンティオペとのいきさつをレンブラに語っていた。 幸いにもレンブラは、アンティオペを堂々と打ち負かした男に敬意を示してくれ、全面的に拙者の味方をしてくれることに決めたらしい。 レンブラの弁護を聞いて、ミノス王はしばらく考え込んでいたが、やがて拙者を無罪放免とすることに決めたようだ。 「わかった。では彼を改めて客人として、扱うことにしよう」 「ありがたき幸せ。こちらも改めて挨拶をいたしたい。拙者、冒険者のアルテウルスと申すもの」 「詳しい話は後で伺おう。おい、タイジア!客人の身なりを整えてやれ。旅の汗を流させてから宴席の場にお連れするのだ」 ミノス王の言葉にほっとすると、タイジアと呼ばれた若い娘について部屋を出て行った。役目を終えたレンブラは自分の居場所へ帰っていく。 拙者は部屋に案内され、宴席に出席するため身支度を整えることになった。
いや、まてまてまてまて。これじゃ、最初の冒険の時と同じ展開に戻っただけじゃないか。 数時間後、やはりというべきか宴会の席で親書がないのがばれて、再び牢にぶちこまれてしまう。 そして二日後には、迷宮に裸同然で放り込まれるわけだ。 うむむむ。こうなったら、仕方がない。迷宮内に強力な武器が転がっていることを祈るしかあるまい。 今度はマッピングして丹念に迷宮を探索してやろうと決意する。
石造りで湿った迷宮の中に拙者は再び放り込まれた。 今回も持参できたのはアリアドネ姫からいただいた毛玉だけだ。松明やランプなぞ持っていないので、攻撃点と防御点から二点ずつマイナスのペナルティを受ける。 今回は慎重に歩みを進め、マッピングをしていく。時々、迷宮の床に竪琴などのアイテムが落ちていたり、水溜りに行き逢って「水を飲むか」などの選択肢が登場するが、一通りマッピングするまではと、無視をして歩いていく。 革張りの小箱が迷宮の壁に設置してあった。む、宝箱のようで誘惑があるのぉ。これは開けてみるか。
オオオオオオオオオオオォォォォォオ!
壁を揺るがすほどの恐ろしい大音響が響きわたった!ミノタウロスの位置が近いのだ! 恐慌をきたして箱を取り落とすと、走ってその場を離れる。(恥辱点を1点負う)やはりだ。この迷宮は、こちらから何かしようとしたときのみ、危険が発生する仕組みらしい。 この事件で懲りた拙者は、マッピングに専念することにした。イベントを無視すれば危険がないとわかれば、こんなものは単調な迷路にすぎない。 そして最初の冒険でふれたとおり、迷宮の壁の多くには、数々の神話を解説した見事な壁画が描かれているので、探索中も退屈することはなかった。中にはミノタウロスの犠牲者の骨の山など、芳しくない見世物もあったがな。
どのくらい歩いたじゃろうか。 前方に明かりが見えたと思うと、ほどなく設置された松明に照らされる小ホールにたどり着いた。 そんなにまぶしいわけでもないが、久しぶりの光に目を細くして部屋を見渡す。 ガランとした、調度品など何もない空間だが、床には一体の骸骨が転がっていた。拙者はいぶかしい思いでそれをまじまじと眺める。 骸骨は立派な鎧を着込んでいたが、鎧の破損のぐあいからして、背後から何か猛獣の(むろんミノタウロスじゃろう)一撃を受けたらしい。それがそのまま致命傷になったようだ。 そして骸骨からほんの少し離れた位置に、一振りの剣が転がっていた。たいそう素晴らしい、まるで神々によって鍛えられたかのようにオーラを放つ剣が。 「ま、まさか」 拙者は体の震えが抑えられなかった。兄上であるテセウスは、女神ヘラからこのような剣を与えられて、この迷宮に入ったのではなかったか。すると、この骸骨は! こみあがる衝撃とミノタウロスへの怒りをたぎらせながら、拙者は兄の剣に手を伸ばした。 そのとき背中に重い一撃を受けて、拙者は床をふっとぶ!(軽傷状態になる) かろうじて剣をつかんで振り返ると、ミノタウロスが斧を振り上げてもう一撃を拙者に加えんとしている所ではないか。 「おのれ!許せん!」 兄の剣は予想通り強力な武器だった。攻撃力+8のうえ、なんと防御力にも+8の効果があるのだ。 それに、ここは明かりのある小ホールということだから、本文に指示がないものの暗闇によるペナルティはこの際、無視してもかまわないだろう。 「くたばれ、化け物。キェェェェェ!」 ミノタウロスの脇に、拙者の渾身の一撃が決まる!奴の傷口から血が噴き出した。(ミノタウロスが軽傷状態になる) じゃが、ミノタウロスはダメージには一切かまわず、拙者にもう一撃を振り下ろした。命中! 拙者は重傷状態になってしまう。しまった!こうなると、攻撃力を決める際にサイコロを一つしかふれなくなるのだ。ミノタウロスはさらにジリジリと拙者に近づいてくる。 無常にもミノタウロスのトドメの一振りが拙者の体に食い込み、拙者は床に崩れ落ちる。
完
by 銀斎
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