冒険記録日誌
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| 2014年01月20日(月) |
もしもソーサリーがライトノベルだったら その8 |
あなたと少女は洞窟の奥へと歩き続けた。 時々訪れる別れ道は少女の言うとおりに進む。岩や段差など道には起伏に飛んできたが、歩けないことはない。こんな暗闇の中で気がめいりそうな行程ではあるが、自信があるのか少女の足取りはしっかりしている。 足が止まったのは、前方にあきらかに人工的な空間が見えたからだ。あなたは念のため少女に岩陰に隠れるようにいい、松明をかかげて一人近づいていった。
そこは粗野ではあったが、材木をより集めて作った祭壇のように見えた。少女を誘拐した一味が鬼神を称えるために設置したものかもしれない。 もっとよく見ようと目をこらすと、祭壇の中央にうずくまる小さな人影が見えた。剣を抜いてゆっくりと近づき、あなたは驚愕に目を見開く。 手足をしばられて転がされている娘だ。意識はある。口も塞がれているようだが、剣を抜いたあなたを見て恐怖に怯えている。そして彼女は、黒髪といい、あなたに依頼をしたプロテウスに似ていた。 どうゆうことだ?今まで一緒にいた女の子は誰だ?急いで振り返ったが、さっきまで一緒だった少女の姿は消えていた。 混乱はしたが、ひとまず新たに発見した娘を縛っている縄を斬ってやる。プロテウスに頼まれてきたんだというと、娘は泣きながらあなたにしがみついた。相当な恐怖があったのだろう、呻くような声ばかりで一言もでてこない。しかし、この子が本当の酋長の娘であろうことは間違いないと思えた。 あなたは剣をしまい、片手で優しく抱きかかえながらも、もう一度さきほどまでのつれを探しまわったが、見つからなかった。
仕方なく戻ろうと一歩踏み出したとき、空間に響く恐ろしい咆哮が聞こえた。祭壇がゆれている。急いで酋長の娘を岩陰に押し込むと、剣を再び抜く。 祭壇が破壊され、中から老人の顔をもつライオンが飛び出した。あなたはその化け物の尻尾がサソリのものであることにすぐに気づいた。 こいつはマンティコアだ。戦士でないあなたが剣で勝てる相手ではない。 化け物はまっすぐあなたに爪を立てて、飛び込んできた。間一髪で間に合ったあなたの呪文により、その爪は見えない障壁に弾き飛ばされる。 背後で鈍い音が響く。爪攻撃をおとりに背後から襲ってきた毒針をも障壁が弾き飛ばしたのだ。 だが、このままでは攻撃もできない。それに無防備な酋長の娘を化け物が発見したらどうにもできなくなる。化け物が攻撃をはじかれて怯んでいるスキに、魔法の障壁を解除し、次の呪文を唱え始めた。
マンティコアもあなたが単なる生贄ではないことに気がついたようだ。身構えるように身を低くしてうなる。しかし、すぐに次の攻撃がこないことはあなたに幸いした。唱えていた呪文が完成、見えない魔法の幕がマンティコアを包み込む感覚。相手の意思を支配する強力な呪文が発動したのだ。 マンティコアに目立った変化はない。だが、あなたがその場から動かないように念じると、マンティコアはうなるのをやめ、静かにうずくまった。 さすがに安心のあまりに力が抜ける、いや精神的な問題だけではなく、さきほどの障壁の魔法といい強力な魔法を2回も続けて使ったので、体力を消耗したのもある。今はこれ以上魔法が使えるかどうか。 いかに火や雷の魔法でもマンティコアを一撃で仕留める自信がなかったので、精神魔法を選んだのだがうまくいったようだ。 魔法の効能がきれないうちに、早くこの場から抜け出さなくてはならない。
マンティコアから目を離さず、酋長の娘のところへ後退する。恐怖に身動きできない彼女に安心するように声をかけたところで、マインティコアの飛び出してきた祭壇からかすかに物音がした。 最初に会った謎の少女かもしれない。薄暗闇でよくわからないので、そちらに松明を掲げて目をこらしたが何もない。おそらく壊れた祭壇の破片が崩れたのだろう。そう確認して視線をマンティコアの方角に戻すと、怪物の姿はなかった。 驚いて周囲を見渡そうとして、突進するマンティコアの巨体に跳ね飛ばされ、体が地面に叩きつけられた。同時に毒針を突き出したマンティコアの尻尾があなたのふとももに突き刺さる。 「おろかなアナランド人よ。あのような魔法で我を縛れると思ったか」 マンティコアの頭部から老人のしわがれた声がした。想像していた以上に知能が高いようだ。そうと知っていれば違う魔法を使ったものをしくじった! 毒が体に入ったようだ。傷口を中心に悪寒が走る。それに酋長の娘が危ない。 あなたが娘をかばうように身を起こそうとすると、マンティコアが踏みつけた。 「あわれな半オークの娘などどうでもよい。全ては貴様の息の根を止めるために企てたこと。��王たちの冠��は魔王様のものだ」 マンティコアの言葉がうつろに響く。こいつもマンパンの魔王の手下なのか?しかし、あなたの使命はまだ相手には知られていないはずだが。 「いいだろう、死ぬ前に教えてやる。密偵からの情報だ。一度は直接貴様を殺めんとして、しくじったようだがな」 マンティコアは答えると、かすかに身をゆすって笑う。 絶対絶命の状況だ。もはや正義の女神リーブラ様に祈るくらいしか 「死ね」 もう一度尻尾の毒針が振り下ろされあなたの冒険は終わった・・・・・・。
「こんなところで終わっちゃ駄目じゃない、お兄ちゃん。そう何度も助けられないのよ」 一瞬、輝く太陽ようなの髪をもつ少女が視界にあらわれ、いたずらっぽく片目をつぶった気がした。
あなたは目を覚ましたかのように身をよじって尻尾をかわす。奇跡の力に身が震える。体を回っている毒が消えているのだ。消耗した体力も戻っている。 マンティコアも突然力を取り戻したあなたに戸惑っているようだ。急いで呪文を唱えて両手を突き出すと巨大な火の球が飛び出し、あなたに覆いかぶさっていたマンティコアを弾き飛ばした。絶叫をあげて岩の上を横倒しに転がった化け物が体を整えないうちに、その体に向かって糊の入った小瓶を叩きつけ、接着の呪文を唱えるとマンティコアは瞬時に地面の岩と密着して動けなくなった。 「なんという屈辱!こんな若造の前でこのような無様な格好を」 わめき声とともに毒針の尻尾が横に薙ぎ、あやうく身をかわす。 気合いをこめ、老人の頭部に向かって剣を撃ち込むと、さしものマンティコアも完全に動かなくなった。
酋長の娘を連れて外に出たあなたは、村人の熱烈な歓声をあびた。 村人が準備した即席の歓迎の宴にあなたは主賓として招待される。酒も入っており、しばらくすると村人が陽気に踊りだした。酋長の娘は疲労で寝込んでいるらしいが、怪我はなかったのでしばらくすれば元通りになるだろう。 今日一日はここで休んで体力を蓄え、明日の朝には城塞都市カーレに向かうことにしよう。 しっかりあなたの隣の席に座り、宴会を楽しんでいるアリアンナにそのことを伝え、ついでにマンティコアの言った言葉を教えてみた。するとアリアンナは呆れながらも、 「じゃ、あんたの助けた追剥が原因ってわけかい?お人好しの結果がこれってわけだ。あたいの言うことを聞いていればこんな苦労をしなくて良かったんだよ」 と、得意そうに言う。なにか機嫌がよさそうだ。傍でジャンがひどいめにあったと絶えずブツクサ言ってるが、まるで聞いていない。 「まあ、どちらにしても上手くいったんだから、もっと喜んで酒でも飲みなよ。あたいへの感謝の気持ちを込めて一気飲みしなよ」 ニヤニヤ笑って、あなたに大きな杯を渡し、壺から酒を注いでくれる。 確かにジャンに関することでは、助かったことは確かだ。あなたはアリアンナに礼を言うと、彼女についでもらった酒を飲みほして、あまりの味に飛び上がる!ゴキブリ数匹を胃袋に放り込んだような気分だ! 「オークの酒、グアーシュだよ。ここは半オークの村だからね!いい酒だったろう」 アリアンナは可笑しくてたまらないという風に大声で笑い転がっている。あなたは口を押さえ草木の茂みに向かって走りながら、今度はアリアンナを抑える方法がないものかと本気で考え始めていた。
第1部完
まだアナランドからそう離れていないシャムタンティの丘の一つに、黒いフードに身を包み、座り込む7つの人影があった。 もしもそこを通り過ぎる旅人がいれば、その者たちが放つあまりに怪しく重苦しい空気に魂を危険にさらしながらも、シュウシュウと囁くような奇妙な会話を聴くことができたであろう。 「あの者(マンティコア)がやられたようだな」 「しゅーーー・・・・・・、まあよい。奴は我ら魔王様の直属の中でも最弱・・・・・・」 「もとよりその程度の実力。混沌の面汚しよ」 「だが、そのアナランド人の存在は捨ておけぬ。魔王様にご報告せねば」 「そうさな。我らもマンパンへ引き返そう」 「途中、アナランド人を見かければ報告までもない。われが倒してみせよう」 「くくっ、そう慌てるな。しょせん、我ら七匹の大蛇の敵ではない・・・・・・」
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