冒険記録日誌
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| 2005年10月16日(日) |
邪悪な略奪者(ジョン・サザーランド、ギャレス・ヒル/社会思想社) |
ウォーロック15号に収録されているゲームブック。 もとはホワイト・ドワーフ誌という雑誌に3回にわたって連載されていた作品を、日本のウォーロック誌では一度に掲載したものらしい。 そのため100パラグラフ前後の短編ゲームブック3本から構成された、3部作のような内容になっています。
ファンタジー世界の物語で、ゲームのルールはFFシリーズのものとまったく同じですが、タイタンが舞台ではなく、よくある無名の戦士がダンジョンや怪しい森を探索するタイプの物語とはまったく違います。主人公はある王国に使える領主という設定なのです。 3年ほどの間、友人に領地の統治をまかせて、王のために冒険に旅立っていた主人公。帰ってみると、平和だった領地は邪悪な勢力にすっかり乗っ取られてしまっていた。おまけに主人公は化け物に捕まってしまって、自分の城の牢に閉じ込められてしまった、というところからゲームは始まります。 第一部が牢から抜け出し城から脱出するまで。第二部は略奪者たちの情報を集め、領地の奪還を整えるまでの準備。第三部は軍隊とともに城へ攻め入って、邪悪な略奪者を退治するというストーリーの流れになっています。 実際に3部作を通して遊んでいると、合計でも300パラグラフしかないのに壮大な映画の主人公になったような気分が味わえます。 第一部で牢を脱出するときの緊張感や、第ニ部で謎の老人との出会い、第三部での軍隊の指揮など、ある種の映画にありそうな展開はすべて含んでいて、悪くいえばベタなストーリーなのだけど、数百人規模の集団戦闘など、ゲームブックでは珍しい要素が、つい新鮮に見えてしまうのです。 終盤では友人たちとの再会と別れなど、泣ける要素もしっかり用意してあって、無事にクリアすると「いやー、ゲームブックって、本当にいいもんですね」という気分になることでしょう。
戦闘バランスは楽な方で謎かけの要素も薄く、ゲームとしては簡単。逆に進行のテンポが良いともいえるので、ストーリーをメインに楽しむべき作品でしょう。技術点7の主人公でも選択肢が良ければ、クリアが十分可能になっている作りは好感がもてます。 難点はバグがいくつかあったこと。私の場合はウォーロックの前の所有者が、鉛筆書きでパラグラフ番号の訂正をしてくれていたので助かりましたが、結構苦痛なんですよね。間違いさがしって。
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