【実録】雨が嫌いじゃないとか 嘘を洗い流すとか
2004年09月29日(水)

朝、雨が降っていた。
「めんどいーでも集中講・・・」
心地よい布団とおさらばして、出かけることに。
でも、電車には間に合いそうにない。
「学校まで送って行ってあげようか?」
全ては、この母の一言から始まった。

かくして、親子で津までドライブする羽目に。
思えば、強まる雨足も隣車線からの水しぶきもまだ余裕でした、この頃は。
23号線を走ること40分。学校に到着してしまう。

医学部病院の奥で降ろしてもらって、人文学部まで歩く。
いつもなら、5分とかからない。
人文学部の駐車場に差し掛かって、一瞬、自分の目を疑った。
海だ。そこには海が広がっていた。
同時期に駐車場に到着した民法の石橋先生も、困り顔。
水深15センチ。もう、ザブザブ進むしかなかった。

人文学部に到着。いや、「上陸」と言ったほうが正しい。
海からあがったような様相で、
廊下をキュッキュキュッキュ言わせながら、視聴覚室を目指す。
15分ほど遅刻なので、ノート大量に書かなくちゃいけないかも・・・と懸念。

視聴覚室は、雨の独特のにおいがした。
心なしか人が少ない。
授業はゆっくり進んでいて全然問題がなかった。
遅れて来る人も多く、ゆかちも濡れネズミになりながら着た。。
なぜか、遅れて来る人はみんな苦笑いの薄笑い。
まぁ、無理もない。外はとんでもないことになりつつあった。

2コマ目がまだ終わらない内に、事務の人が現れた。
「まだ、大雨警報なんですけど、近鉄も止まって車も水ついているんで…」
なにぃ!!!!????

ここから、帰りたいのに帰れないライス部の迷走は始まる。
他の集中講をとっていたあーさも合流し、
とりあえず、ご飯を食べることに(←何故かゆとりを持って行動)
外に出れないので、生協にご飯が買いに行けないあたしに
みんなはいろいろ恵んでくれた(感涙)ありがとう、ライス部☆

さて、ご飯を食べ終わると、やることがなくなり、周りの様子を伺う。
人文学部の水のつきようは酷く、外に出れそうにない。
校舎をウロウロしながら、研究室に行ってみる。
先生も帰れなくなっていることを知る。

ここで、美香りんが思い切った行動に出る。
「あたし、帰るわ」
えーーーっ!!今からですか!?
驚きはしたものの、賢明な判断かもしれない。
このまま水がつき続けると、
美香りんのデミ子(DEMIO)もゆかちのマサオ(MOVE)もやばそう。
いや、確実にやばいな。こりゃ。
そして、あたしの携帯も残りの電池は一個…。
というわけで、家の周りも水ついてやばいゆかちを置いて
美香りんは果敢に外界へ旅立った。GoodLuck美香りん…
その後、再び視聴覚室で対策を練る。が、対策なんてたつわけもなく…
そして、あーさも「帰ってみるわ」と去っていく。う
「いつでも来ていいからなぁ」と温かい言葉を残して。

取り残されたゆかちとあたい。
今、外界から孤立していることを実感。
陸の孤島、三重大学!自衛隊に救援を依頼してくれ的な勢い。
途方もなく、再び、研究室に戻る。
「先生、ありえんのやけー」と先生と愚痴っていると、
美香りんから電話。美香りんが外界へ旅立ってから、一時間経っていた。
「駐車場がやばいらしい」
実は、美香りんもあまりの冠水に駐車場から動けずにいた。
しかし、ゆかちのマサオのボンネット半分くらいまで水がき始めたと言う。
これは、やばい。本当に本当にやばい。
 
これまで感じたことのない危機感に襲われ、あたし達も勇気を出すことに。

「先生、あたしら行きます!」
「え?本当に??」
先生からスーパーの袋をもらい、カバンに雨対を施す。
「やっぱり、僕が行くよ」と先生が言う。
危ないから、先生が行って車を動かしてくれると言う。
「いやいや、大丈夫です。あたし達、行きます」
そう言って、先生のご好意を断る。
この時、あたし達は、もう、なんだかテンションが上がってきていたのだ。
豪雨の日のテンション、なにか恐ろしい。
ヤケにウキウキしてしまう・・・魔物が住んでいる。
「GoodLuck、先生!」そう言い残して、研究室を後にする。

一歩外に出ると、もう傘は大して意味を成していなかった。
水深15センチ…進むうちにどんどん深くなる。
既にジーパンはべたべた。水深30センチ。
ザバザバ水をかきわけながら、水産門を目指す。
が、途中、本当に泣きそうになる。三翠ホールで休憩。
これ、大丈夫かな、あたし達?生きて帰れるの、あたし達?
3年間馴染んだはずの大学がまったく別の場所に見える。
怖い??うん、結構、いや、かなり怖い・・・。
水が苦手なゆかちにとっては、怖いどころの騒ぎじゃない。

工学部前は、更にえらいことになっていた。
これ、車大丈夫かな??ってか、あたし達大丈夫かな?(笑)
水産門になんとか到着。命からがら。

これは・・・(笑)
もう、笑うしかなかった。
すごい勢いで流れている、水が。立っているだけで足がとられそう。
そして、目の前には腰まで浸かりながら歩く人の姿が。
あちゃーすぐ向こうに美香りんのデミオが見えている。
まだ、その中に美香りんはいるはず。
見えてるのに、渡れない。もどかしいったらありゃしない。
これは道ではない。川だ。しかも、大河だ。
ちょっぴり、ちょっぴりだけ、
天の川に隔てられた織姫と彦星の気持ちが分かった21歳の秋の初め。

こういう危機的状況の時、人はヤケにフレンドリーになる。
色んな人が「大丈夫?」と声をかけてくれる。
(そんだけ、あたしらが大丈夫じゃなさそうに見えたのかもしれないが)
見ず知らずのお兄さんとどうすればいいか語らい、
見ず知らずのおばさんが「あなた達行く所なかった家へおいで」と言ってくれる。
三重大はなんていい人ばかりなんだ!
そんな見ず知らずの人たちに励まされ大河(ミシシッピ川級)を渡ることに。

もう、冷たいとか、気持ち悪いとか、そんなことは言っていられなかった。
前進あるのみ。脳内BGMは奥田民生♪前進前進前進〜
水は嘲笑うかのように、あたし達の太ももを直撃。
こんな冠水生まれて初めてだよ(笑)
ある意味、貴重な経験をしたけどさ。
これから、大雨のときはゴムボートを持参したほうがいいのか?
ってか、こんなに大雨降ったら学校休みでいいんじゃないか?
だいたい、雨は嫌いなんだって・・・(以下略)
邪念いっぱいで、なんとか駐車場に到着。
なんだろう、このやり遂げた感は(笑)
ゆかちは、急いでマサオを救出。
車内に水は入ったものの、動くみたいでとりあえず一安心。

さて、美香りんも合流し、行き場を無くしたあたし達は、
頼みの綱のあーさんちを目指す。
それも、かなり遠回りしなければならなかった。
しかし、遠回りしても、結局腰あたりまで浸かる羽目に(笑)
必死の思いで、あーさんちに到着。
「すんません、避難させてください・・・(懇願)」

こんなずぶ濡れのあたし達をあーさは快く受け入れてくれた。
そして、玄関先でパンツ一丁になる3人。
ジーパン、重っ!
パンツ一丁で玄関と微妙に外をウロウロしながら、ジーパンを絞る。
いいのか、こんな20代!!(泣)
その後、あーさはどんべいを作ってくれる。
やっとこさ、生きた心地がした。よかった、生きてて。
この味、生涯忘れない。
そして、ありがとう、あーさ(泣)

その後、グダグダと過ごす。
ニュースで各地の様子を見て、「三重大の方が悲惨だよな・・・」とやさぐれ。
夕方になり、水も引き始めてるし、お腹がすいたので、
出前を取ろうと試みる。
まぁ、予想はつくと思いますが(笑)
アオキーズピザもピザーラもガストも100番も、ダメー(笑)

出前を諦め、なんか買出しに行くことに。
ここで、また美香りんが果敢にも「今しかない、帰るわ!」と帰る。
その後、美香りんからの連絡は途絶えた。安否が気遣われる。

ゆかちとあたしは買い出しの前に、
携帯の充電器を求め、内木くんちを訪ねる。
結局、出席点に惑わされず集中講に来なかったナイキが正しかったのね。
ホント、ナイキさまさまで充電復活(感涙)FOMAって素晴らしいね☆
やっと、母に連絡をつけることができ、明日の朝迎えに来てもらう事に。
ホントありがとう、ナイキ(号泣)このお礼は必ず・・・

ゆかちと無事だったマサオで23号線を走る。
道路には所構わず動かなくなった車が止まっている。
なんだか、すさまじい光景だ。怖い、ほんとに怖い。
こんなこと有り得ない事だと思っていた。ニュースの中の話だと思っていた。

ゆかちとミニストップに入った。
というか、入る前に止められた。
「今から清掃に入りますので、営業は見合わせております」
ガーン、ショック!コンビニでそんなこと・・・。
次向かったサティーも明かりが消えている。
そこで、総合文化センターのほうのマックへ行き、
江戸橋のローソンへ行き、買い出しを終えた。
その後、あーさんちでプチパーティー状態。
こうなりゃ、楽しめ(笑)

そんなこんなで、大変な一日でした。
本当に大変な一日でした。
非常に貴重な体験でした。
何度も「今日学校来なきゃよかった」と後悔はしました。
でも、色んな大事なことが分かった気がします。
でも、もう二度と味わいたくないね、あの冠水は(笑)
雨の怖さ、水の怖さを思い知った一日。
以上、この長文日記はあーさんちからお送りしました(笑)
ホント今日は助けてくれたみんなに感謝感激雨あられ。
あ、もう雨は散々ですよね(笑)




SOUL FOUNDATION / イボンヌ